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デザイナー界隈の仕事のすすめ方やココロエ(その2)
どうもこんにちは、ベテランデザイナーのはしあやです。
以前からずーっと気になっていたのですが、
デザイナーって業種、どこに入ると思われますか?
その前に「業種」ってどこに○つけるのか迷ったことありませんか?
応募用紙とかWebアンケートだって、ちょっと前までは「デザイン」の項目はないものも多かったです。ギリギリ「企画」はありましたけど。
「一般事務」ではないし「営業」でもない。
かと言って「企画」でもないし「研究」でもない。
「広告業」なのか?と言われると、それに入れる会社もあれば、若干違うジャンルを取り扱っている会社もあったりしてそこが悩みどころ?
業種一覧というものがあってですね。
総務省が出している「日本標準産業分類」っていうのがあるのですが、
そうこれ。大体はこの分類を元にアンケートの業種職種なんてものが作られている傾向にあったりします。
A 農業,林業
B 漁業
C 鉱業,採石業,砂利採取業
D 建設業
E 製造業
F 電気・ガス・熱供給・水道業
G 情報通信業
H 運輸業,郵便業
I 卸売業・小売業
J 金融業,保険業
K 不動産業,物品賃貸業
L 学術研究,専門・技術サービス業
M 宿泊業,飲食店
N 生活関連サービス業,娯楽業
O 教育学習支援業
P 医療,福祉
Q 複合サービス事業
R サービス業(他に分類されないもの)
S 公務(他に分類されるものを除く)
T 分類不能の産業
・・・・・。
「N」なのかな?それとも「Q」なのかな「G」なのかもしれない。
もうわかんないから「T」でいいや!!!的な。
(あ「分類不能」ってある意味かっこよくないですか?(中二病?))
と毎回迷って付けていたのですが、どうもそれは私だけではなかった模様。
同じ会社の同じ部署で同じ仕事しているよね???
ある日、某東京ビッグサイトで開催される展示会へ同僚と行ったときのこと。
東京大阪名古屋と出発地がバラバラだったのもあって、到着した者から勝手に受付を終えることにして集合したわけですが。
全員、首から下げている参加賞の「色」が違っていたという事案発生!
※申請の業種・職種?によって色が違う
見合わせて思わず苦笑いしてしまいました。
当然ながら、私は「デザイナー枠」を見つけていたのでそれで発行してもらっていたのですが、後輩はなぜか「業者枠」に入ってしまい、一緒に歩いているとデザイナーさんたちからは後輩ばかりが声を掛けられ名刺を渡され、しかも交渉までされているという始末。
私はというと、普通に「転職の勧誘」とかされたり・・・。
下請け先の個人や会社を探しに一緒にでかけたはずなのに、名乗っている職種によって周りの対応が全く違ったわけです。
まぁこれはあくまでもその日一日のことであり、イベント参加しただけの話ではありますが、最初に「どう名乗るか」でかなり違ってくるという。
で、結局○○業なの?
分類へのチェックの場合はさておきまして、はっきりいって「職業デザイナー」は「芸術家」でも「アーティスト」でもないというのはたくさんのデザイナーのみなさんが発信している通りです。
どちらかというと「サービス業」が一番近いのではないかと思っています。
いや、まごうことなく「サービス業」でしょ。
こういう話を、新人デザイナーの卵さん達に話すと、露骨に嫌な顔をする人が多いです。
「自分はデザイン業をしたいのであって、サービス業に就いた覚えはありません!!」
と豪語した卵さんも実際にいました(すぐ辞めたけど
そして、飲食からの転職希望者さんの面接では「サービス業のブラックなところが嫌で、前からずっと憧れていたデザイナーになりたいと思って応募しました。デザイナーの方が、飲食の店員より仕事としてもやりがいがあると思います!」という若い方もいました・・・。
(「うーわー・・・ははは・・・(痛いぞ)」としか答えられず)
もう一度言おう。
デザイナーはサービス業なので、そもそもサービス業が嫌だとか、サービス業を下に見る発言をする時点で「かなり間違えている」と思いますので、残念ながら「勉強しなおし、出直して」としか言えなかったです、面接官としては。
いろんなところで言ってきていますが、デザイナーというのは「自分を表現する手段」でもなければ「自分のつくりたいものを作る」仕事でもありません。また、「お客様が作りたいものを作る」という単純なものでもありません。
お客様が作りたいというものに対して、
・何が作りたいと言っているのか、困っているのかを聞き出す力
・それが本当に必要なものかを見極める力
・確実に必要なものと不要なものを分けて提案する力
・なおそれには予算に関する知識やリサーチは必須
・意図しないものにも対応できる能力を持つ
・要望をよりよい形に仕上げる力
・スケジュール管理は必須
・納期遅れなどはもっての他、無理してでも合わせる
・名前が全面に出ることはないが、何かあったら責任は発生する
なので、必要な要素はほぼ全て「サービス」に繋がっていくのです。
センスとかは二の次でも構わない(その案件のセンスに合う別の人がいればその人に任せるための下準備をする方に回ればいいだけ、強引に合わないのに自分が自分が、はご法度)。
サービス業としての代表的な飲食店の店員さんを見ればわかります。
トップになっている店員さんの動きや気配りなどは、まさしくデザイナーには必須の事項を「ほんの数秒で実行する」という神業に等しいことをやってのけているすごい方々がたくさんいます。
飲食店でのお話にたとえてみると
サービスマインドに優れた店員さんと、そうでない店員さんとで結果的に同じサービスを受けたとしても、お客様の受け方は180度違ってくることもあります。
あなたはカフェの店員だとします。
お客様からブラックコーヒーの注文があったとしましょう。
「お客様を見ると、お疲れのようで甘いものが欲しそうだ!自分はエスプレッソもコンテストで優勝したくらいに自信があるから、ここはサービスで値段の高いカフェラテを差額なしで淹れて差し上げよう!」
一見、「めちゃくちゃ気の利いた思考」にも見えなくはないですよね。
ただ、ここには絶対的に必要なものが抜けています。
そう、前回書いた「ホウ・レン・ソウ」です。
オーダーを変えるに当たって、まずお客様の要望を何も聞いてないし、頼んだものではないと受け取ってもらえず、支払いもいただけず、さらには怒りまで感じてしまい…もしかすると二度とお店には来てくれないかもしれません。
ただそこで、下記の流れをたどっていたとしたらどうでしょうか。
※( )内はデザイン業務に置き換えた例
STEP1
お客様が「ブラックコーヒー」を注文した(見積の依頼があった)
STEP2
あなたはお客様の様子を判断して、疲れていることやいつも甘い飲み物を飲む人だという内容を聞き出した(見積と内容決定のためのヒアリング)
STEP3
なぜ「カフェラテにしたほうがお客様のためになるか」を説明(プレゼン)して、料金差額を今回はサービスで飲んで欲しいと提案(見積提示、プラスアルファのサービス上乗せ)
STEP4
お客様がそのメリットに気づいて「それならカフェラテでお願いしたいです」と提案を飲んでくれる(発注確定)
STEP5
お客様に質の良いカフェラテを提供(納品)
STEP6
質の良いカフェラテの上、値段のサービスもあり(顧客満足発生)
カフェに入ってきたお客さんは、カフェのなにかのメニューを買おうとして来店しています。それには「専門家の力=カフェ店員さんのプロの珈琲技術」を求めてきているのです。
決して、「○○さんに会いに来た」だけではないのです。
※稀に「大好きな店員さんに恋をして…」とかはあるかもしれませんが別次元の話なのでそこはそれ…
デザインでも同じこと。
クライアント様は何かの成果を得るために、デザインが必要になります。
だから専門家に発注しています。
提供する「最終物」が違ったとしても、「サービスを提供」しているのには代わりがありません。
そういうところに気をつけながらデザイン業務を行っていれば、自然とデザインにどう向き合えばいいのか、仕事そのものをどう考えて向かっていけばいいのかが自然とわかるのではないでしょうか。
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