2020年Vinahouse12選
はじめに
あけましておめでとうございます。Robinikiです。
いささか遅刻気味ではありますが、2020年にリリースされたVinahouse楽曲から12曲を選んでご紹介する記事を投稿しようと思います。
記事で紹介している曲を繋いだMIXも用意していますので、流しながら読んで頂ければ幸いです。
選出の基準については、私Robinikiが2020年にリリースされたVinahouseの中でも特に気に入ったもの、DJで幾度となくかけたものとなります。
つまり、完全に私の趣味によって選出されており、ベトナム本国での人気や潮流とはズレている可能性が多分にあることにご留意ください。
SoundCloudのリンクが生きているトラックについては、トラックのタイトルにリンクを貼っています(なぜか本文埋め込みはできませんでした…)
私的2020年Vinahouse12選
Track 1. Dua Tay Day Nao (Kimi no Toriko)
リミキサー:LinhKu & DMix.x
元ネタ:summertime / cinnamons × evening cinema
一曲目は日本語の曲ですが、これは2020年にTikTokで爆流行りした曲です。
原曲のsummertimeは2014年頃のリリースで、インドネシアの方がリミックスしたものが東南アジアを中心にTikTokで使われまくりました。
一緒に入っているラップは詳細不明です。
Track 2. Banh My Khong 2020
リミキサー:LinhKu & Nelly
元ネタ:Bánh Mì Không / ĐạtG x DuUyên
Bánh Mì Khôngは2019年にリリースされたV-POPの曲で、結構ヒットしてたように思います。
前の曲に続きLinh Kuと、Nellyによるリミックスです。
Linh Kuはかなりのベテランで、2015年には既にVinahouseで活動をしていたかと思います。
Track 3. Nắng Ấm Xa Dần
リミキサー:KCV In Da House(DJ Khang Chivas)
元ネタ:Nắng Ấm Xa Dần / Sơn Tùng M-TP
ベトナムの男性アイドル、Sơn Tùng M-TPの曲が元ネタです。
Sơn Tùng M-TPはベトナムポップスシーンでトップクラスに人気のある人で、2019年頃にはSnoop Doggとコラボしていました。
このリミックスはベースがしっかりしていながら明るい雰囲気の曲で2020年一多用した曲トップスリーには入るでしょう。
KCV(Khang Chivasの略だと思います)は飛び抜けてオリジナリティ溢れるトラックを作るわけではないですが、どの曲もハイクオリティでプレイリストに入ってると安心です。
Track 4. Đoá Hồng Mong Manh
リミキサー:Vu Kem
元ネタ:999 Đóa Hồng / Dương Edward Cover
この曲はVietDeepと言われるジャンルのトラックで、BPMは普通より遅めの128で作られたものを早回しでかけてしまいました。
VietDeepについては下の方で解説しておりますのでよろしければ読んでみてください
元ネタとなる999 Đóa Hồngは、原曲が中国語の曲ですが、Vinahouseでは定番中の定番なリミックス元でして、かなり多くのトラックメイカーがリミックスしています。
原曲は↓です
リミックスをしているVu Kemは2019年までベースがガンガン動くタイプの曲をリリースしていたので、VietDeepを出してきたときは驚きました。
今後も目が離せないトラックメイカーの一人です。
Track 5. Cách Ly " IsoLate "
リミキサー:Bác sĩ Hải ,5tone ,Hanzoi
元ネタ:オリジナル(?)
これについては元ネタがあるかどうかわかりません。
Bác sĩ Hải は主にVietDeepを作曲する団体の主催者で、良質の曲をどんどんリリースしてくれます。
タイトルのCách Lyはつまり隔離ですね…2020年の世相を映した曲名です。
Track 6. 雪、無音、窓辺にて(Rikishi vina Remix)
リミキサー:Rikishi
元ネタ:雪、無音、窓辺にて。/ 長門有希(茅原実里)
この曲はとある配信イベントでも流され、一部を騒然とさせました。
リミキサーのRikishi氏は日本人で現状唯一定期的にVinahouseをリリースしている人です。最近名義は変わりましたが…
この曲は涼宮ハルヒの憂鬱という一昔前のライトノベルのキャラソンが元ネタで、なんで今このネタを選んだんだろう?と思っていたら、長らく新刊が出なかった原作小説の新刊が2020年に出ました。
Track 7. Hứa (Huy Mike Remix)
リミキサー:Huy Mike
元ネタ:Hứa / Khang Duy(?)
この曲のあたりからVinahouseというよりVinatranceといった方がよいかもしれません。
ベトナムは元々トランスの人気がある国で、ベトナム風のトランスも割と昔から作られていました。
Vinahouseのシーンとも近いところにありつつ、あまり交わってこなかったようなのですが、2020年はVinahouseとVinatranceの間をとるような曲が出てきており、Huy MikeもVinahouseとVinatranceのハイブリッド的な曲をよく出してます。
Track 8. Chàng Trai Năm 17 (Teejay remix)
リミキサー:Teejay
元ネタ:Chàng Trai Năm 17 / An Duy
Chàng Trai Năm 17 という曲が原曲でして、どうも青春時代を回想する激エモな歌詞をしているようなのですがベトナム語が読めないので詳細は不明です。
リミックスでは原曲のノスタルジックな雰囲気を残しつつもアップリフティングな仕上がりとなっており、2020年に多用した曲ベストスリーには間違いなく入る曲です。
Track 9. Cá Lớn(大魚)
リミキサー:Shen
元ネタ:大魚 / 周深
この曲も相当かけました。Nắng Ấm Xa Dần 、Chàng Trai Năm 17 と並んでかけまくった曲トップスリーです。
中国のアニメ映画、「大魚」の主題歌で、中国語曲のVinaTranceですね。
トラックメイカーのSHEN氏は他のトラックメイカーとのコラボなども少なく、まだ名前が知られてない方だと思いますが、良質のトランスを出す人で個人的にとても注目しています。
Track 10. I'm Sorry (Khoa Shake Remix)
リミキサー:Khoa Shake
元ネタ:不明
この曲の元ネタはわかりませんでした。欧米のヒット曲じゃないかとは思うのですが…
ご存じの方いらっしゃいましたらこっそり教えてください。
トラックメイカーのKhoa Shakeは最近OK VinahouseなどのVinahouseレーベル(?)でLiveをするなど、名を上げてきている若手という感じがします。
VinaTranceとVinahouseの橋渡しをするのが非常に上手い人だと思います。
音作りも重くてハードでよい感じです。
また、Liveを聴いてると感じますがPsyTranceとかHardstyle好きそう。
Youtubeで一番新しいLive動画(たぶん)貼っておきます。
Track 11. Shiva Style 2020(Thái Hoàng Remix)
リミキサー:Thái Hoàng
元ネタ:Shiva Style / Mandragora & Devochka
Thái Hoàngはオリジナリティ溢れるサウンドを作る人で、彼のフォロワーの曲がThái Hoàng StyleだのStyle THだの呼ばれるほど一派を確立している人です。
割と古い動画ですが、最初に聴いて衝撃を受けたLive動画貼っておきますね。なんでアニメTシャツ着てるんでしょうね?
本格的にフォロワーが増え始めたのは2019年頃からかもしれません。
もう既に割とビッグネーム扱いになってると思いますが、今でもちょくちょくフリーダウンロードの曲出してくれてるのが嬉しいですね。
今回選んだShiva Style 2020の原曲はPsyTranceです。
原曲もめちゃくちゃ有名というわけでもなく、曲自体も割と地味なので「なんでこの曲??」と思っていましたが安心安全のThái Hoàngクオリティでとてもよいです。
Track 12. Dancing With Your Ghost 2020 (ARS Remix)
リミキサー:ARS
元ネタ:Dancing With Your Ghost / Sasha Sloan
最後の曲はARSによるリミックスとなります。
2020年の11月に投稿されたこの記事中でもっとも最近の曲となります。
この方、恐らくカンボジアの方であるか、カンボジア系ベトナム人ではないかと思います。
Vinahouseはベトナムの隣国カンボジアでもある程度広まっているようなのです。
ARSの昔の曲はThai Hoangとよく似ていたのですが、最近は独自スタイルに昇華した感があります。
ARS Styleなどと呼ばれてフォロワーもいるようです。
特徴はシンセよりパーカッションが全面に出るスタイルと曲の途中でKhmer Remixになることですかね。Khmer Remixがわからない方はググってみて下さい。
原曲は正直知らない曲だったのですが、いい曲ですね。リミックスも原曲を活かしつつ自分のサウンドと両立させていてお気に入りです。
2020年Vinahouseトピック
最後に、私に観測できた範囲での2020年のVinahouseシーンでのトピックについて述べさせていただきます。
・ArtistUnionの閉鎖
ArtistUnionというWebサービスが2020年までありまして、今はもうありません。
ArtistUnionはいわゆるダウンロードゲートというサービスの一種で、多くのフリーリリースのVinahouseはこのArtistUnionを介してダウンロードする必要がありました。
そのArtistUnionがサービス終了したことにより、この記事で紹介するトラックを含む多くの過去作がダウンロード不可になってしまいました。
・新ムーブメントの勃興
一言でVinahouseといえど、実は結構な数の派生ジャンルというか、ムーブメントがあることがわかってきました。
その中でも、2020年特に活発に動きが見られたものはBass Cực Mạnh とVietDeep(Deephouse)の二種類でしょう。
Bass Cực Mạnh(ベースカクマン)は正に今年に入ってから勃興したムーブメントでなかったかと思います。
Cực Mạnhという語は「極度に強い」というような意味合いで捉えて概ね間違いではないでしょう。
その名の通り、比較的シンプルだった過去のVinahouseのベースラインに対し、より複雑で動きがありマッシヴなベースラインをした楽曲を指します。
実際のサウンドについてはMixを聴いてご確認ください。
対してVietDeepは通常のVinahouseより遅めのテンポで、派手さを抑えた楽曲を指す言葉です。
元々はDeepHouseと呼ばれていたサウンドですが、紛らわしいためかVietDeepと呼ばれることが多くなってきたように思います。
以前からあったスタイルなのですが、2020年に急激に楽曲数が増えた印象があります。
テンポについては、多くのVinahouseがBPM135-140で製作されるのに対しVietDeepはBPM124-128ほどで作られているように思います。
音作りについても低域や高域の強い音色の使用は控えられ、サックスやギターなどの楽器音を使う曲も見受けられます。
Viet Deepの隆盛は、このDJ TiLoの人気が上昇したことに一因がある気がします。
また何か新しく分かったことがあれば追記するかもしれません。
2021年が皆様にとって良い年となることを祈っております。
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