宇宙とOuter wilds
宇宙の本を読んだ。
単体でも面白かったが、頭にouter wildsがちらつく。取ったメモ、だいたいアウワイのことを考えている。
以下はその時のメモ。天文学的にはごく基礎の話だと思う。正しさより考察の楽しさを優先しているし、ゲームのネタバレがある。
恒星の寿命
太陽のような「恒星」は、星の中心で核融合反応を行うことで光り、水素がなくなって核融合反応を終えることで死ぬ。
恒星の寿命は質量による。質量が大きくて重い星は寿命が短く、質量が小さい星は寿命が長い。
恒星の寿命は、質量が太陽の半分で2000億年、太陽と同等で100億年、太陽の二倍で10億年くらい。10倍で1億年、20倍で1000万年。
質量が大きいと重力も大きくなるため、星の外側から中心を圧縮する力が強くかかる。これにより内部の圧力・温度が上がり、核融合の進みが早くなり、結果として寿命が早まる。
地球などの「惑星」は、こういう形での死は訪れない。
恒星の質量が太陽の8倍以下の場合:
核融合反応の終了後、中心部が星の重さを支えることができずに潰れ、逆に星の外層で残っていた水素が核融合を起こし、膨らんでいく。
外層のガスが膨張することで表面温度が下がり、見かけが黄色から赤色に変わる(赤色巨星)。この状態は数億年程度続く。
時間と共に、中心部から表面のガスに対する重力が小さくなってガスが離れて(惑星状星雲)、青白い中心部が露出する(白色矮星/わいせい)。
白色矮星は核融合をしないので、長い年月をかけてそのまま冷え、やがて光を失う。
恒星の質量が太陽の8倍以上ある場合:
略。赤色巨星になり、その後もさらに核融合が進む。
中心が一定の温度を超えると、鉄(最も安定した核融合結果)の核が破壊され、星の中心部分の圧力が減少。コアで恒星の重量を支えることができなくなり、一気に収縮し、反動で巨大な爆発現象を起こす(超新星爆発)。
超新星爆発で星の中心部以外は吹き飛び、まき散らした鉱物は次の星の材料になる。
質量が太陽の8~25倍の恒星は中性子星になり、25倍以上の恒星はブラックホールになる。
この「太陽を基準にしている」ところ、他の目盛りがないことが伝わってきて、とてもいい。
木の炉辺から見える太陽は、我々の太陽(太陽系の質量の99%を占める)の8倍以上の質量がある。すごい。
恒星の寿命は質量に反比例して、太陽の2倍の質量の星で10億年、10倍で1億年、20倍で1000万年くらい。彼らの太陽は何歳くらいだろう。
恒星の色は、赤→黄→白→青 の順で温度が上がっていく。超新星爆発時の太陽はもう~すごい熱さということだ。
wikiいわく、我々の銀河系における超新星爆発の発生割合は、100年から200年に一度。平均発生割合は、1つの銀河で40年に1回程度。
なので、22分間に複数個の爆発らしいものが観測できる事態は、実際異常であるようだ。
また、超新星爆発の半径50光年以内の惑星は生物的に壊滅的な打撃を受ける。……ので、某エンディングはそれ以上の距離を逃げたことになる。
ちなみに……
「恋愛に関していえば妹の密度は中性子星並み」と言われていた人は、おそらく本当にとんでもない。
ブラックホール
光すらも脱出できない天体。中心に超高密度の天体がある。
ブラックホールと他の宇宙の境界に当たる部分を「事象の地平面」と呼ぶ。これの内側がブラックホールの内側ということになる。
2019年に撮影に成功したブラックホールは直径が400億km。それ何km?
この写真に写ったのは、ブラックホールの重力により事象の地平面の周囲にまとわりついた光球の姿。理論上、これより内側は撮影できない。
仮に、宇宙船がブラックホールに入ったら:
外から観察すると:
宇宙船はブラックホールの強い重力を受け、赤っぽく、前後が潰れたように見える。
事象の地平面に近付くにつれ、だんだん動きがゆっくりになり、この付近で止まったように見える。
宇宙船に乗っている人は:
いつブラックホールに侵入できたのかは分からず、重力もあまり感じない。
ただ、体や物理的なものはちゃんと重力を受けており、ブラックホールの中心に近いほうからだんだん引き延ばされ、スパゲティのように細長くなり(!?)、死ぬ。
ブラックホールの想像図は、おおよそゲーム内のブラックホールと同じ。
ブラックホールがワープ機能を持つゲームは多いが、現実でそういう素振りはないようだ。
宇宙全体の銀河は網目のような大規模構造(星ができる場所/できない場所が分かれる)を作っている。
銀河が存在しない場所はボイド(空洞)と呼ばれる。
ダークマター(目に見えない)がたくさん存在する場所は重力が重くなり、星間ガスを引き寄せるなどして星ができる元になる。
彗星
彗星は塵が混ざった氷の塊で、「汚れた雪だるま」と例えられる。流星とは全くの別物。
太陽に近づくと、受ける熱の量が増えるために氷が解ける。塵による長い尾が伸び、またガスや塵は希薄な大気と化す。その際の放出物が光って見える。
wikiいわく、塵の尾とイオンの尾は別方向に伸びる(=二又みたいに見える)。構成には猛毒も含まれる。
侵入者。
「熱を保持する大気がない、かつ、太陽光が当たらない面」はかなり冷え込むので、溶けた部分がまた凍るのもありうる。
Nomaiのシャトルが侵入者に閉じ込められたのも、これのためだったんだろうか。Nomaiくらいの技術者なら避けられる気もするけど。
その他
各惑星について考えたこと。
木の炉辺
大気:あり 水:あり 重力:あり
平和な星。
間欠泉などの熱は生命を助けるようだから、Hearthianもあの辺を起点に進化したのかも。もしくは、地上に打ちあげられてなお生き延びたやつがいたか。Hearthianの目は4つ。
闇の水中で暮らすにしては多い。間欠泉付近のわずかな光を受け取るために目が増えたのか。(ゲーム都合かもしれないが)地上も真っ暗になることは少ない。
砂時計の双子星
大気:なし 水:なし 重力:軽い
太陽に近く、大気がない。太陽熱のガードも熱の保持もできないので、太陽に面すると死ぬほど熱くなるし、当たらなくなると死ぬほど冷え込む。雰囲気が似ている火星の気温幅は20℃~-140℃。太陽光によって大気がはぎとられる現象もあるらしい。怖。
太陽があの大きさに見える距離は、もうマグマを浴びるのと大して変わらない気がする。超新星爆発前だし表面温度は下がってマシになってる?灰の双子星から落ちてくる砂は溶けていないので、気温は石や砂の融点(低くて1000℃くらい)以下になる。砂の行き来は反転するらしいから、砂の形状も大きく変わってはいないはず。
まあそもそも木が生えているから、生物の生きられる環境ではある。Chertが頑張って熱に耐えているだけとかそんなことはない。何mか掘ると10℃くらい上がる(忘れた)し、地下は相応に熱そう。Nomaiが文章を残していた通り。
闇のイバラ
大気:なし 水:なし(元の惑星には氷が存在する) 重力:外側はあり
生物の生まれる条件は有機物・水・エネルギーがあること。
もう少し太陽に近ければ、水が存在する温暖な気候になり、木の炉辺みたいに生活できる環境だった可能性がある。ただし、まあ、アンコウという先住民がいるので……。逆にアンコウは何なんだ。
地球も、数度の全球凍結(スノーボールアース)の融解自体が生物進化を促した論がある。ワンチャンあ、ある……
くらげがなぜ闇のイバラ付近にいたかの説明はあったっけ。ともかく水は確かに存在したらしい。闇のイバラの種は、氷の惑星の環境でも、木の炉辺の環境でも、変わらず根を張れる。少なくとも低めの温度では死なない。とても強い。
脆い空洞
大気:なし 水:あり 重力:あり
脆い。どうやってNomaiの時代から今の時代まで崩れずに済んでいたんだろう。もしくは、だいぶ崩れてきた結果が今見える空洞なのかな。
地表の色味でそれっぽい鉱石とか特定できそう。プレイ中は量子の石に似ているな~ってずっと思ってた。関係なかった。
地球の初期の土台はかんらん石らしいが(忘れた)、あんまり色味は似ていない。水があるし、惑星自体も大きいので、お友達がいなければ安住の地の一つになり得たかもしれない。
空洞のランタンのエネルギーはどこから生まれているんだろう。22分でも目に見えてマグマのかさが減るし、いずれ枯れるときがくるんだろうか。
巨人の大海
大気:なし 水:あり 重力:強い
重力が強い。常に雨が降る大嵐。風も止まない。台風が数百年生きている木星みたいだ。
ここから何か分かることがありそうだが、自分は詳しくない。星の陸地のなさに対して、島はちゃんと島の形を保っている。かつて重力に引かれて落ちた隕石とかなんだろうか。
我々の深海には、4000℃の熱湯が噴き出す熱水噴出孔がある。地下にしみた海水がマグマで温められて出てくるもので、化学物質が豊富。噴出孔周りには鉱物が出来やすい(チムニー)。
成分は電池の材料に近いものが含まれており、熱湯が噴出する際に付近の岩に電気が流れていることになる。これらの電気を食べ、有機物を作って生きる細菌もいる。巨人の大海に海底らしい海底はないが、くらげもこのように電気を食って生きているのかもしれない。
終わり
出典の記載があるもの以外は『美しい宇宙事典』荒舩良孝より。分かりやすくていい本でした。
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