好きって言えない話
私はアイドルが好きだ。
でも「好き」と口に出したり文字にしたりして表すことは苦手だ。
それは何故か?
言ったら本当になってしまうから。
好きが本当になってしまったら、きっと次は「大好き」になってしまう。
それは本来悪いことではないし、むしろ良いことのはず。
でも私にとって「好きになること」は少しだけ怖くて、認めたくないことなのかもしれない。
以前の私は、好きになったら全速前進なところがあった。
実際、好きなアイドルのためにライブのチケット代・遠征費・チェキ代・プレゼント代等々……と浪費を重ねてしまい、生活が困窮しかけた経験もある。
さらに私には、色んなアイドルを推してきて一度だけ、最悪な思い出になった推しがいる。
詳細は伏せるけれど、彼らのグループが解散して推しに会えなくなって、落ち着いた頃に過去を振り返ったら「自分って大切にされてなかったよなぁ」と感じてしまった。
好きの魔法が解けるのは一瞬。
そして好きであれば好きであるほど、魔法が解けたときのダメージは大きく、傷も深い。
威尊くんとINIに出会うまで、「男性アイドルなんてろくなもんじゃない」と信じて疑わなかった。
というか、今も根底にその意識は残してある。
そうやっていつか裏切られたとき・推すのをやめるときのためにリスクヘッジをしている。
我ながら、私って嫌な奴だと思う。
来月に、今の推しである後藤威尊くんと対面で話せる機会をいただいた。
私の記憶では、威尊くんは今まで毎回「大好き」と言ってくれた。
私も「大好きだよ」と返答した。
でも心から大好きだと、ちゃんと伝えられたことはあっただろうか。
好きになって良いか? 信じてみても良いか?
何度も考えてはみたけれど答えは出ない。
後藤威尊=王子様(になりたい人)だけれど、そんなの建前じゃん? 自己紹介文句みたいなものじゃん?
と、また嫌な奴の人格が顔をのぞかせる。
彼が時折発する耳触りの良い言葉は本当に本心? 鵜呑みにしても大丈夫?
性格が悪すぎて、とてもご本人に直接言えたことではない。申し訳ない。
これは威尊くんがどうこうではなく、完全に私というどうしようもなく救いようのないオタクの問題。
だからどうか威尊MINIの皆さん怒らないで、叩かないでください(もう遅い)。
客観的に見れば当たり前に、彼は信頼できる素敵なアイドルです。
そんなことは私だって分かっているので。
素直に大好きって言える人は良いな、羨ましい。
私もまた昔のようにバカみたいに「大好き!」「ずっと一緒だよ」って言えるようになりたいな、なんて。
叶わないことを思いながら、次会うときは何を話そう、どんな服装・髪型で行こう、と考えている。
そういえば、先日特典会2次申し込みの当落発表があった。
頑張ったオタクはみんな偉いし、可愛いしかっこいい。
今回推しに会える人も、残念ながらその機会を得られなかった人も、絶対みんなで幸せになろうね。