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【あらかじめnote】素晴らしきジャイアンリサイタルの世界【ドラえもん】

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 言わずと知れたガキ大将、ジャイアン。

「ドラえもん 第12巻」(小学館)68ページ『正義のみかたセルフ仮面』より引用

 彼の特技は、野球ケンカ、そしてもう一つ。

「ドラえもん 第13巻」(小学館)36ページ『ちく電スーツ』より引用

 歌ですね。

 え?特技じゃない?

 彼の歌にかける情熱と言ったら、とても小学生とは思えないレベル。

 既存の楽曲を歌うだけでなく、定期的に新曲を作っては、のび太たち友人に無理やり披露する場を設けています。

 それが、「ジャイアンリサイタル」

 このリサイタル、歌の出来はともかく、ジャイアンがかなり力を入れて準備していることが伺えるんですよ。

 本日は、そんなジャイアンの陰の努力の一部をご紹介。


 まずはリサイタルのチケットから。毎回かは分かりませんが、わざわざチケットを用意する気合の入れよう。

「ドラえもん 第8巻」(小学館)38ページ『キャンデーなめて歌手になろう』より引用

 「サ」と「タ」の字が入れ替わって「リタイサル」となってしまっていますが、ご愛嬌。この頃は「空き地」を「いつもの原っぱ」と呼んでいるんですね。

「ドラえもん 第24巻」(小学館)147ページ『ジャイアンリサイタルを楽しむ方法』より引用

 「ジャイアン激唱」という力強いタイトルを、周りのトゲトゲした枠が強調。それにしても「ついに」本日開演って自分で言うのはどうなのか。

「ドラえもん 第29巻」(小学館)86ページ『あいつを固めちゃえ』より引用

 「おまたせしました!!」というこれまた力強いタイトルと書体。このチケットをジャイアンは、開催当日、一軒一軒友人宅に配り歩いています。泣ける。

「ドラえもん 第32巻」(小学館)145ページ『腹話ロボット』より引用

 いつ見ても「欠席した者はぶんなぐる」という一言が何より面白い。「御招待」じゃ無いじゃん。でも「新曲発表」とわざわざ題するあたり、彼の新曲に対する自信が感じられていいですね。

「ドラえもん 第18巻」(小学館)40ページ『スパイ衛星でさぐれ』より引用

 12時間!流石に休憩は挟むようですが、普通の歌手のリサイタルでも12時間歌うことは中々無いと思いますけどね。凄まじい。
 なお、切符やビラはスタンプ刷りのようです。

「ドラえもん 第18巻」(小学館)40ページ『スパイ衛星でさぐれ』より引用

 まさか、一から彫って作っているのでしょうか。すごい。

「ドラえもん 第39巻」(小学館)72ページ『ジャストホンネ』より引用

 こちらはスネ夫の発言(御機嫌取りのおべっか)を受けて、ジャイアンがその日のうちに作成したビラ。
 ……いや、スタンプ刷りだとしたら有り得ない速さ。恐らく、以前から準備していたものと思われます。


 さて、チケットだけではなく、会場の設営にも余念がないジャイアン。ガキ大将の「権力」を笠に着ることなく、準備は全て一人で行うのがジャイアンスタイル(ただし、ファンクラブの会長たちは例外)。

「ドラえもん 第16巻」(小学館)7ページ『音のない世界』より引用

 木箱を並べ、会場の設営に勤しむジャイアン。傍らに置かれたランドセルが、彼らが小学生であるということを思い出させてくれますが、その行動力は、一般的な小学生のレベルを遥かに超えています。

「ドラえもん 第16巻」(小学館)7ページ『音のない世界』より引用

 (前のコマにもちらっと映っていますが、)この横断幕とポールへの飾り付けまで全て一人でやっていると思うとすごい。

 さらに、この横断幕は使い回すことなく、一リサイタルごとに一つずつ用意されているのです。

「ドラえもん 第10巻」(小学館)11ページ『おそだアメ』より引用
「ドラえもん 第29巻」(小学館)92ページ『あいつを固めちゃえ』より引用

 剛田家の物置には、ジャイアンが使用した横断幕が一つ一つ大切に保管されていることでしょう。

「ドラえもん 第16巻」(小学館)125ページ『シンガーソングライター』より引用

 余談ですが、こちらの画像のお話では僅か「何日か」「100曲」作ったというからすごい。ドラえもんの「メロディーお玉」の力と、ジャイアンのバイタリティが合わさった成果だと言えましょう。今ならEDMとかボーカロイドの界隈で、驚異の小学生コンポーザーとして賞賛を浴びていたのかも。

「ドラえもん 第14巻」(小学館)54ページ『念録マイク』より引用

 風邪で声が出なかろうが、録音したテープでリサイタルを敢行する男、ジャイアン。たとえ病み上がりでも、会場(剛田家)の飾り付けには手を抜きません。

「ドラえもん 第33巻」(小学館)21ページ『フィーバー!!ジャイアンF・C』より引用

 こちらはファンクラブ開設の折、ジャイアンが開催したチャリティコンサートのポスター。ドラえもんからポスターの印刷機を借りて作成されたもので、そのデザインのセンスには目を見張るものがあります。
 いや、空き地にこんな大きなポスター無断で出すなよ。
 ちなみに、松竹梅では一般的に松、竹、梅の順に等級が高くなるようですが、元々はそれぞれに優劣は無かったそうですよ。

「ドラえもん 第11巻」(小学館)170ページ『ジャイアンの心の友』より引用

 こちらはレコードを作る機械を借りたジャイアンが、それらを販売する際に作成した店頭ポップ。「あまくせつなくうたいあげて…」と言うように、彼の得意分野はラブソングです。このあたり、少女漫画家志望のジャイ子と通ずるものがあるのかも。

「ドラえもん 第5巻」(小学館)172ページ『おしかけ』より引用

 少女趣味。この台詞も今だと問題があるなあ。

 ポスターの極めつけはこれ。

「ドラえもん 第41巻」(小学館)143ページ『恐怖のディナーショー』より引用

 単発で終わるエピソードがほとんどを占める中、実は「ジャイアンファンクラブ」の設定はその後も活きており、ちょくちょく再登場するのです(TC35巻『ジャイアンへのホットなレター』等)。
 雷を背景に、野性味溢れる衣装に身を包んだジャイアンが、まるで咆哮するかのようなポーズで歌い上げる姿。「おまちかね!」と題していますが誰も待っていないのは言うまでもありません。関係ありませんが、このお話では松>竹のようです。

 それにしても、「ディナーショー」のメインビジュアルが「原始人」モチーフの衣装とは、一体どんな料理を振る舞うつもりだったんでしょうね。まあ、セミの抜け殻とか入ってるアレなんですけど……。

「ドラえもん 第41巻」(小学館)149ページ『恐怖のディナーショー』より引用

 ちなみに、超有名エピソード『ジャイアンシチュー』に登場した料理にセミの抜け殻が入っていると思われている方もいらっしゃいますが、原作版「ジャイアンシチュー」に「セミのぬけがら」は入っていません。

「ドラえもん 第13巻」(小学館)44ページ『ジャイアンシチュー』より引用

 これがジャイアンシチュー。

 『恐怖のディナーショー』は『ジャイアンシチュー』が前提となっているエピソードなのですが、その作中でジャイアンが「だれもつくったことのない、スペシャル料理だ」と発言している通り、彼自身も作るのは初めて。一度作ったことがあるジャイアンシチューには馴染まない台詞です。
 また、それぞれのお話の初出は、『ジャイアンシチュー』が「小三」1977年1月号なのに対し、『恐怖のディナーショー』が「小四」1989年8月号。時期的にも、『ジャイアンシチュー』初掲載時はセミの抜け殻を入手できる季節ではなさそう。
 まあ、こんなに長々と書き連ねてはみたものの、アニメ版『ジャイアンシチュー』にはセミの抜け殻がバッチリ入っていたようです。このくだりいる?

 閑話休題。

 とにかく、ジャイアンが、歌とリサイタルに並々ならぬ情熱を注いでいるということが分かりました。
 小学生ながら、そのバイタリティには見習うべきものが多くあります。がんばれ!ジャイアン!!
まあ、彼の歌を聞かされる側からはたまったものではないのですが……。

 なお、引退宣言をしたこともありましたが

「ドラえもん 第40巻」(小学館)69ページ『ふつうの男の子にもどらない』より引用

 あえなく撤回。見事ジャイアンの歌は「永遠」と相成ったようです。

 これからも、その歌にかける情熱の炎を燃やし続けて欲しいですね。


 ……

 

「ドラえもん 第39巻」(小学館)ページ『ジャイアン殺人事件』より引用

 わはははは。

 ではでは。
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