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【あらかじめnote】素晴らしき頻出モブの世界 お隣さん編【ドラえもん】

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 『ドラえもん』に登場する魅力的なキャラクターの数々。

 「ドラえもん」「のび太」「しずちゃん」などの言わずと知れたレギュラーキャラから、一話限りの特徴的なキャラクターまで、その在り方は様々です。 

「ドラえもん 第22巻」(小学館)133ページ『うつしっぱなしミラー』より引用

 転校生の「うらなりくん」。このお話にしか登場しないが(アニメの背景とかには出て来たりする)、大切な「ドラえもん」ワールドの登場人物の一人です。

 こうしたキャラクター達が登場するお話を通じて、作中に登場するキャラクターの一人一人が、人間であり、その生活があり、その人生があるということを改めて思い起こさせてくれます。

 では、この方をご存じでしょうか。(画像中央)

「ドラえもん 第25巻」(小学館)177ページ『あしたの新聞』より引用

 もちろんご存じですよね。
 
 野比家のお隣さんです。

 ……。

 え?知らない?

 (実際知らない方が大半なのではないか、と思ったことが今回この文章を書いた動機の一つである)

 このお隣さん、「のび太ないし野比家が、近所の大人に、ドラえもんのひみつ道具を通じてちょっかいをかける」という全く同じ文脈で、ちょくちょく登場しているのです。

 引用した『あしたの新聞』のあらすじ。「新聞日づけ変更ポスト」という超ニッチな道具で明日の新聞を入手したところ、お隣に空き巣が入ることを知ったのび太とドラえもん。「通り抜けフープ」不法侵入し見張り役を買って出たは良いものの、肝心の空き巣はのび太たちがいたために断念。それに伴って未来が変わってしまい、のび太たちの不法侵入のみが咎められる結果になってしまった……というオチ。

 驚いたような、困ったような表情がなんとも言えません。指の開き具合も二重丸。いや家に帰ってみたら子供と猫型ロボットが寝てたら驚くよそりゃ。

 続いてはこちら。

「ドラえもん 第32巻」(小学館)123ページ『大富豪のび太』より引用

 「もしもボックス」で物価のう~んと安い世界にしたのび太が、物を買いすぎて「家に入りきらないや」と、隣の家を倉庫として買い上げようとするシーン。

 具体的には物価が10万分の1になっていますので、千円は一億円相当。それにしたって、家族に何の相談も無しに、そんな規模の売買を現金でするのはどうかと……。

 真面目な話、隣の家の子が「一億円でこの家売ってください」なんて言って来たら、100%いたずらか、もしくは銀行ごっこか何かだと思うでしょう。
 お隣さんは、それに微笑ましく乗ってあげた形なのではないでしょうか。
 優しい。

 なお、次のコマ。

「ドラえもん 第32巻」(小学館)123ページ『大富豪のび太』より引用

 優しくない。

 (宣伝)こちらもよろしくお願いします。

 (宣伝終わり) 

 最後。

「ドラえもん 第44巻」(小学館)134ページ『季節カンヅメ』より引用

 周りの季節を変えられる「季節カンヅメ」。夏が良いパパと冬が良いママでけんかになり、チャンネル争い(死語)の如くカンヅメ争いをしたところ、とばっちりを食ってしまったお隣さんの図。
 隣の庭にゴミをポイポイ捨てるのが昭和。いや昭和でもやっちゃダメなんですけど。

「ドラえもん 第5巻」(小学館)38ページ『地球製造法』より引用

 ママの倫理観。

 それにしても、深刻な表情のお隣さんと、驚きはしつつも全く悪びれていない野比家の表情との対比が素晴らしいオチ。

 さて、お隣さんが登場する回はこのくらいなのですが、一つ疑問が。

 それは、このお隣さんは左側のお隣さんなのか?それとも右側のお隣さんなのか?ということです。

 先ほどの『大富豪のび太』によれば

「ドラえもん 第32巻」(小学館)123ページ『大富豪のび太』より引用

 のび太の家を正面に見て右側に歩いているので、(向かって)右隣り。明白ですね。

 ところが、『あしたの新聞』では

「ドラえもん 第25巻」(小学館)177ページ『あしたの新聞』より引用

 のび太の部屋の窓は道路に面しているので、お隣さんの家は左隣にあるように見えます。

 はたまた、別のお話では

「ドラえもん 第15巻」(小学館)155ページ『騒音公害をカンヅメにしちゃえ』より引用

 「隣の家のステレオがうるさい」という状況を作るためだけに生み出された、左隣のお隣さん。

「ドラえもん 第15巻」(小学館)158ページ『騒音公害をカンヅメにしちゃえ』より引用

 左隣に別人が住んでいるということは、やはり右隣に住んでいるのかもしれません。


 「お隣さん」一つとっても、壮大なドラマをひも解くことができる『ドラえもん』。
 一見何気ない一コマにも、考察のしがいがある情報が詰まっていたり。
 「この人、他の話にも出てきたかな?」などの見方をしながら読んでみると、新しい発見があるかもしれませんね。

 ではでは。==================================================
 今月から、つらつらと『ドラえもん』にまつわる書きたいことを書いて行こうと思います。
 ただ、以前のような毎日更新は流石に厳しいため、毎週1回を目途に更新していけたらいいなと思っております。
 引き続き、よろしくお願いいたします。



 

 


 

 

 

 

 


 

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