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「ベトナム語が話せる」というのはどういう状態か? ②

前回の記事で、「ベトナム語が話せる」ために、まずは短く簡単なフレーズでやり取りを始め、徐々に会話のキャッチボールを増やしていきながら、「通じる」「理解できる」といった成功体験を積み重ねることだと述べました。

今回はここからさらに一歩進めて、次のステップである「本当のベトナム語会話」とは何かについて考えてみたいと思います。


型通りの会話の限界

私がベトナム語を学び始めた頃、Facebookで日本語を話すベトナム人と知り合い、ビデオ通話で会話をしました。彼は一見、日本語をスムーズに話しているように見えましたが、その内容は以下のようなものでした。

「普段は何をしていますか?」
「私は映画をよく見ます。あなたの好きな映画は?」
「私は小説が好きです。あなたはどんな本を読みますか?」
「ベトナムにはたくさんの美味しい食べ物があります。あなたの好きな食べ物はなんですか?」

一見会話が成立しているようで、質問もしてくれますが、次第に気づいたのは、相手が私自身に興味を持っているわけではないということでした。彼は私の答えに特に関心を持っておらず、ただとりとめのない薄い質問をしているだけで、私の話を受けてさらに深く知ろうとする姿勢は見えませんでした。

この時、「ああ、これはただ日本語の練習相手にされているだけなんだ」と感じたのです。話している内容はテキストやフレーズ集から引き出したような、型通りのやり取りに過ぎず、彼の個性や考えはまったく見えてきませんでした。彼は「日本人に対して知っている日本語を使って話している」だけで、会話相手としての私自身には興味を持っていなかったのです。

会話の本質とは

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