なぜベトナム人は過剰なまでに家族を大事にするのか ~家族は最後のセーフティーネット~

ベトナム人と関わったことがある人なら、ベトナム人の過剰なまでの家族主義(chủ nghĩa gia đình)と言われる家族第一信仰を誰しも感じたことがあるでしょう。

職業、年齢、貴賤など関係なく、どんなベトナム人でも「親が大事」「家族が一番」「子どものために」などの信仰を必ずといっていいほど持っています。

ではなぜベトナム人は過剰なまでに家族を大事にするのでしょうか?

家族は最後のセーフティーネット

それは共産党政府にとって都合の良い「最後のセーフティーネット」として機能しているからだと考えられます。

なぜベトナム政府にとって国民が家族主義でいてくれたほうが都合がいいのでしょうか。それは親と子が互いに補完し合い、家族が共依存の関係にあると、国民の生活の責任を政府が負わずに家族に押し付けることができるからです。

例えば都会で働く子どもが失業した時は親のいる実家に帰れば衣食住の保障がされます。近年のコロナ禍でも都市部に出稼ぎに来ていた多くの人が失業して田舎に帰りました。仕事は失っても実家に帰れば最低限の生活の保障はされるわけです。

また、親が年老いて介護が必要になった時は逆に今度は子どもが親の面倒をみます。ベトナムには老人ホームなどがほとんど普及していないため、家で家族が介護しなければなりません。

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