[トマトのベトナム人論] 在日ベトナム人は2種類いる?
日本に住むベトナム人は、その来日背景や社会との関わり方によって大きく2タイプに分類できます。
それは、「旧世代」と「ニューカマー」です。この2つのグループは、その成り立ちや来日目的、文化的適応度などに明確な違いがあり、在日ベトナム人を理解するうえで重要なポイントとなります。
今回はこの2タイプの違いについて分かりやすく解説します。
旧世代とニューカマーのベトナム人の違い
来日背景と目的
旧世代のベトナム人は、1970~1980年代にベトナム戦争やインドシナ戦争の混乱を逃れ、難民として日本に移住した人々やその子孫を指します。彼らはViệt Kiều【越僑】とも呼ばれ、主に政治的理由から来日しました。
当時の彼らは、インドシナ難民として日本政府や民間支援団体からサポートを受け、日本での生活基盤を徐々に築いていきました。
一方、ニューカマーのベトナム人は、2010年代以降、日本の労働力不足を背景に、経済的な目的で来日した新しい世代を指します。彼らは母国よりも高い賃金を求め、日本を労働先として自ら選択しました。
この世代の移住者は、主に技能実習生や留学生で構成されており、さらには2014年に導入されたEPA(経済連携協定)による看護・介護分野での受け入れ、また2019年の特定技能ビザ制度の導入が彼らの増加を後押ししました。
また、ニューカマーのベトナム人は表向きは留学の形を取っているものの、実質的にはアルバイトで生活費を稼いだり、将来的に日本で就職するための準備として「学生」という名目で在留資格を取得している人も多く見られます。
このようなケースでは、勉強が主目的ではなく、日本での経済活動が主な目的となっているのが特徴です。
このように旧世代が戦争や政治的背景に基づいて日本に来たのに対し、ニューカマーは経済的な理由から移住しており、その来日の背景と目的には大きな違いがあります。
滞在期間とその目的
旧世代のベトナム人は、永住や長期滞在を前提に日本社会に根を下ろし、2世代目・3世代目になると完全に日本社会に同化しているケースが多く見られます。
一方、ニューカマーのベトナム人は数年間の短中期滞在を前提としており、最終的にベトナムへ帰国する意向を持つ人が多いのが特徴です。
社会的役割と影響
旧世代のベトナム人は、地域に小規模なコミュニティを形成しつつも、日本社会における存在感や影響力は限定的でした。そのため、大きな社会問題を引き起こすことはなく、地道に日本社会に溶け込む形で適応を進めてきました。
特に、ニューカマーが増加する以前の2010年代までの日本のネット世論は、ベトナム人の評価は好意的でした。この背景には、ベトナム戦争時代の反戦運動に共感を抱く世代や、反中感情を持つ日本人が、反中国的な立場を取るベトナム政府を支持する傾向があったことも影響しています。
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