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【フランス留学時代】初めてフランスの地を踏んだ日のこと

今回は気分を変えてフランス留学の話でも。フランス語との関わりは某大学の文学部仏文学専攻に入った事がきっかけですが、正直、願書を出す前、特別フランスやフランス語が好きだったとか言うことはなく、ひょんな成り行きです。

後から振り返ると、そこからベトナムに続く運命的な線が見えるようにも思うのですが、まぁ、それも追々、垣間見えてくればよいかと。

さて、時は1994年2月8日、スーツケース一つを持って成田空港へ。人生それまで海外に出たことなく、浮かれ気分だったのでしょう、免税店で浮世絵柄のSwatchを買ったのはご愛嬌。

パリへはキャセイパシフィックの香港経由。啓徳空港に着陸する際の街の光景は噂通りにエキサイティングで気分を盛り上げてくれました。

パリ行きに乗り換えた後は深夜でもあり、すぐに寝てしまい、目が覚めた時は既にシャルル・ド・ゴール空港。夜明け前の空は暗く、霧雨にどんより煙っていました。

それでも初めての海外、初めてのフランス、気分揚々、到着ロビーに出ましたが、さて、これからどうすれば良かったっけ?留学先の大学があるノルマンディ地方に行く列車はパリのサン・ラザール駅から出るので、まずはパリの中心部に向かわなければいけないのだけど、駅はどこ?

尋ねようにも早朝の空港にはスタッフや警備の人など全然見当たらず、店も案内所も開いていない。まぁ、ひとまずフランスには着いたし、なんとかなるだろうと空港内をウロウロしていると、ようやく一軒のカフェが開き、ギャルソンが準備をしている。

これ幸いと中に入り、フランス到着後 記念すべき初フレーズ、"Un café,s’il vous plaît"を発声。ついにフランスに来たんだ!と感慨に耽るも束の間、まだ両替をしていないことに気づき、焦る。その時、コーヒー一杯 5フランだったか。手元にあるのは100フランのトラベラーチェックのみ。

恐る恐るギャルソンに、"ごめん、両替所が開いてなくて、今 T/Cしかないのだけど.."と言ったら、特に文句などなくサラッと"ok"とサインし、お釣りを渡してくれました。クールだけど優しいギャルソンに出会え、またパリに行く電車賃が出来、これは幸先よし!と思ったのでした。

そうこうしてカフェを出る頃には空港内に人も増え、ウロウロしていたら親切な人が、中心に行くならRERだよ。自分と一緒に行けば良いと、最寄りの駅まで連れて行ってくれました。

殺風景な郊外からパリ市内の中心に入ってくると気分もまた高揚してきます。サン・ラザール駅に着き、通勤時の人波を、場違いにスーツケースをゴロゴロさせてホテルを探すアジア人一人、でしたが、そんな事も気にならず、駅裏に、おかみさん一人で切り盛りするような旅館を見つけ、しばし休憩。しかし、なんと言っても、あの"パリ"にいるのですから、じっとしていられません。すぐに街へ飛び出しました。

目指すは"オルセー美術館"。なぜ いの一番にそこを目指したかというと、大学一年のフランス語の授業に使われたテキストの一つに、オルセー美術館の絵画を用いたものがあり、それが印象的だったからです。

曇天の下、威風堂々としたオルセー美術館を目の前に、すぐには中に入れず、前のパン屋でテイクアウトしたクロック・ムッシューを食べながら、あぁ、これからフランス生活が始まるのだなぁと思ったのでした。

今もフランス留学する人は多いと思いますが、30年前のフランス留学についての思い出も何かの役に立つかも知れないですし、"多言語学習"にも繋がるところですので、フランス留学のエピソードやフランス語学習についても少しずつ文章化できたらよいなと思う次第です。

記念すべき初めてのパリ。
一番最初に向かったのはオルセー美術館。
その時に撮った写真は実家に飾られています。

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