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忘れ物が戻ってきた

 妻とカフェに入ったときのことです。私達が席につくと、注文を取りに来た若い女性の店員さんが、私にあるものを差し出しました。見ると1週間ほど前から行方が分からなくなっていた私の黒いポーチです。驚きました。

 出先に置き忘れたのだろうとは推測できましたが、それがどこかも分からず、「もう戻ってこないだろうな」と、半分以上は諦めていたのです。中に貴重品は入っておらず、本が1冊入っていただけでしたが、それでも非常に嬉しく、店員さんには何度も頭を下げてお礼を言いました。

 調べてみると、前回、このカフェに来たのはちょうど1週間前。お店に立ち寄ったのは、その時が初めてでした。ポーチを持ってきてくれた店員さんは、その時にお店にいたのでしょうが、言葉を交わした記憶はなく、私は彼女の顔も覚えていませんでした。

 店員20人ほどの小さな店とは言え、よくぞ私の顔を覚えていてくれたなあと感心します。「ベトナム人は人の顔を覚える能力が高いなあ」と改めて思いました。

 先日、カフェでトイレに立ったすきにパソコンを盗られてしまった知人の話を記事に書いたところ、何人かのかたから「一瞬でも目を離したら、盗られて当然」というコメントを頂きました。確かに、自分の持ち物からは、絶対に目を離さないのが原則だと私も思います。

 一方で、私はベトナムに通い始めた23年前から、カフェでパソコンを置きっぱなしにしてトイレに行っても、一度も盗難に遭ったことがありません。実は外出先に忘れ物をしたのは、今回が初めてではないのですが、私の記憶にある限り、今まで100%、戻ってきています。私はベトナムに関して「ツキ」があるのかもしれませんね。

(初出:2019年03月24日)

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