ベトナムの結婚式
昨日、結婚式を挙げた。
結婚3年目にして、ここベトナムの地で多くの人に見守られながら無事に終えることができた。
日本で結婚式をしたことがないので、友人の結婚式に数回参加したときの僅かな記憶しかないが、ベトナムの結婚式と日本のそれとは大きな違いがないように感じた。
まず初めに、妻の実家で御先祖様に誓いを立てた。
私は日本から持ってきた紋付袴、妻はアオザイの衣装だった。
豪華絢爛に飾られた仏前で、妻の親と、私の親役として参加してくださった妻側の親族がスピーチをして、御先祖様にお供え物をして、親族の方たちと庭で1枚1枚写真撮影をした。
この流れは本来、花嫁花婿双方の実家にて儀式を行うらしいが、外国人であり親が参加できない私のために、妻の両親が色々な配慮をしてくれた。
その1つとして、私の親役の滞在する場所まで朝早くから車で迎えに行き、そこから私の親族役の方々とお供え物を持ってきた。
ちなみに、花嫁花婿の移動のためにレンタルされたその車は、ボンネットを色とりどりの花で飾られた華やかな赤のメルセデスベンツだった。これは義兄のチョイスだったようだ。
午後、赤のメルセデスで披露宴会場まで移動した。
披露宴会場に選ばれた、わりと広めのレストランには、300人ほどのゲストが集まった。
ところで、ゲスト300人に招待状を送ったり披露宴や写真撮影の段取りをとってくれたり全ての手配をしてくれたのは、妻の母親と義兄だ。
私は、この2人からとても感謝されているのだが、逆に私の方こそ感謝しなければならないと思っている。
この300人の親族や友人の中には、半日かけて参加してくれた方もいた。
そんな方々と式場入口の外に飾られたオブジェの前で、披露宴開始の時間まで1組ずつ写真をとった。
仏前式のときは紋付で汗だくに、ここでは黒のスーツで汗だくになりながら、300人のゲストと妻と共に一緒に写真撮影をした。
さて、披露宴開始だ。
ステージ中央まで妻と2人で進んでいくところ、途中で娘が2人の傍に駆け寄ってきた。
ヴァージンロードで娘が加わり、3人で舞台に上がった。
舞台袖には両親が控えていた。
主役の3人にスポットライトが当たり、MCに紹介されるが先か大きな拍手が沸き起こった。
その後、両親と酒を飲むポーズを交わし、ケーキ入刀をして乾杯。
それから、各ゲストのテーブルへ挨拶と写真撮影に入った。
ゲスト達は談笑しながら食事をしたりステージでカラオケを披露したりしていた。
花嫁花婿はほとんど食事をする間もなく、常にゲスト達と挨拶を交わした。
ゲスト達が帰りだす頃、また外に出て送りだした。
もちろん、そのときも写真撮影をして、まるでスーパースターさながらの結婚式だった。
余談になるが、ベトナムの結婚式で300人というと、まだ少ない方らしい。
日本だとかなり多い方だと思うが、花婿側の親族や友人が参加していないことを考慮すると、やはり大人数だろう。
この日の私の役割としては、挨拶と写真撮影で一日が過ぎ、汗まみれになった紋付とスーツからして、これまで食べ過ぎた分がカロリー消費されたんじゃないかと思うほど、式が終わった頃はぐったりした。
その一方で、妻は感動していた。
いや、私が全く感動しなかったわけではないが、妻の感動とは比にならないものだ。
先月、急にベトナム行きを決めた。
そのときはただ、妻が親に会いたがっていることや自分の気分転換のために旅行気分で決めたことだった。
それが、いつの間にか挙式することになった。
以前から、個人的には結婚式などしなくてもいいと思っていたが、やはり女性からすると結婚式は人生最大のイベントだということがあらためてわかった。
無論、これは既婚女子にとっての話だ。
特に、妻のご両親は、妻が末っ子だけに本当に嬉しかったようだし、私に対してとても感謝していると伝えてくれた。
人生とは、本当にわからないものだ。
もし、病気で仕事を辞めていなければ、今ここにいなかったのだから。
これが、運命というものなのだろうか。
妻と娘を愛し続け、しっかり支えていくためにも、帰国後は新たな職場で精一杯働きたいと覚悟をいっそう強くした。