非日常へと
人を旅へと駆り立てるひとつの要因に、
非日常的な世界へ身を投じたいという欲求があるだろう。
現代人は忙しない日常生活に疲弊している。
変わり映えのない朝に、他人と一緒に箱詰めにされて揺られる通勤電車。
人並み以上の富を得られる訳でもなく、されど人並みの生活は保障される変わり映えのない労働。
守るべき存在が大きくなり、劇的に自分を変化させる事ができなくなった事への心の中の葛藤。
果たして、自分はこれで良かったのか?こういう事を考える事自体、家族に失礼ではないのか?
いくら自問しようと答えは出ない。
同僚や先輩達は、面白いスマホゲームがどうやら、小遣いが少ないやら、会社の悪口やら。
そんなつまらないごく普通の存在であるサラリーマンの中の一人である自分。
そんな時せめて旅に出て、非日常を味わう事で、何か違う自分や、新しいイメージが湧いてくるような期待。
都合よくそんなものは見つからないが、非日常を味わう事によってつまらない日常も自分の人生の一部である事を再認識させてくれる。
全て自分の想い通りにできる人間などいないのだから。
家族の為、大切なものを守るため。
立派な理由じゃないか。
それで良いはずだ。
自分の心にだけ閉まっておこう。
これで良かったか?の正解は自問しても、誰かに問い掛けようとも、明確な正解はないのだから。
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