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【ハンノイクラブの場末より愛を込めて】 ゴーゴーバー嬢が高齢化する理由

ラオスの夜遊び七不思議の一つとして、欧米人が来ない、遊ばないというのが挙げられます。隣国のタイでは欧米人が幅を利かせてゴーゴーバーで盛りがっているにもかかわらず、ラオスではその勇姿を片手で数えるほどしか見たことがありません。夜遊びのレベルがプロ野球と少年野球ほどに差があるため当然といえば当然です。そして埋めることのできない絶対的な差はエンターテインメント性にあると思います。プロ選手より野球が上手いアマチュア選手は存在する可能性がありますが、エンターテインメント性という一点において、金銭授受が発生し娯楽として見せる事を宿命づけられたプロ野球にアマチュア野球が勝つことは不可能です。

欧米人がよくたむろする、ゴーゴーバーはエンターテインメント色が強いというのは自明でしょう。かたや日中韓の好きなゴーゴーバーは容姿だけ整った、踊りもせずユラユラするだけのエセダンサーと相場は決まっています。

そんなタイ風俗を代表する”ゴーゴーバー嬢"高齢化の一途をたどっています。高齢化の理由ついては元底辺キャバ嬢(そう紹介されていました)ライターであるカワノアユミさんの記事によると大きく3つあるとされています。

一つは高等教育の進学率の上昇、二つ目はフリーランス化、三つ目はパパ活です。つまりタイは経済的に発展したことで、中学卒業後すぐに働く必要のある層の人口が減っている、そして夜のお店で働くとしても、それは本業ではなく中抜きもされないフリーランス、もしくは効率的に稼げるパパ活へと人材が流れているというのが記事の大枠のようです。若い人材がゴーゴーバーにリクルートできない、そして時代に取り残された旧人材が今もなおタイ風俗に残っていることが高齢化に拍車をかけている。なるほど、その通りだと思います。

ただ、高齢化の理由に一つ付け加えることができるのであればタイ夜遊びの「エンターテインメントへの傾倒」にあるのではないかと思います。ある時期より夜遊びのキラーコンテンツであるゴーゴーバーは、欧米人好みのエンターテインメント色が強い店へと一気に振れました。

その証拠にこれまで女性禁制だった男の聖域はすでに崩壊しており、女性も入店する事が許されるようになりました。観光名所にもノミネートされ、団体客で賑わっています。それは美術館へ行く、遊園地に行く、プロ野球観戦しに行く娯楽とそう変わりません。

売春が人類最古の職業というのを聞いたことがあると思います。売春が職業だとするならば、売春は他の職業と決定的な違いがあり、それは職業訓練が必要とされない(むしろ低年齢であること、職業訓練されていないことが市場価値を形成したりする)ところにあります。本来、お金を稼ぐというのはある種のスキルを身につけ、その行使をもって対価を得ることですが、売春はその成り立ちが逆になっています。

依然として欧米人の売り上げが上位を占めていること、パイを増やすため幅広い層にアプローチすることを考えるとエンターテインメント色の強い店やサービスを増やすことは経営的に必然だと思います。そしてエンターテインメント性を高めるということは、従業員にスキルを身につけてもらい、その行使を求めることになる。習熟度が困難であり、有用なスキルを身に付けるのにはそれなりの経験や期間が必要であることを考えると高齢化は必須なのではないかと思います。

タイ風俗の高齢化が取り沙汰されはじめてから、こぞって夜の店で従事する人たちが性産業の合法化を求めたのは偶然ではないでしょう。それは自分たちが行っていることが列記とした職業だということを認識し始めた、認識して欲しいという声にほかなりません。

実際に性産業の合法化されると不都合な人間も多くいることから、最終的にどうなるのかわからないけれど、利益は莫大ながら違法という大きな黒が白に変わった瞬間にタイの性産業がもう一度大きく変化することは間違いないでしょう。

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