ヘアドネーションとケア帽子の話

今使っている私のアイコンは、いきもの画家 POPPOさんが描いてくれたもの。

家族に聞いても、zoomで会ったnoteの中の友達に聞いても

みんな一様に口を揃えて言う。「似ている」と。

描かれた当初のショートカットは少しだけ伸びて、ギリ一つ結びができるぐらい。

今、髪を伸ばしている。

今日は、髪の毛について書いてみようと思う。

昨年、noteを始めてから自分がHSPだということを知った。

確かに普段から、いろんなことが気になりながら生活をしている。

スーパーに行って、目の前で誰かが手放したカートを使うのが嫌だ。

潔癖ではないけれど、カートの持ち手を触った時に誰かの温もりが残っていると

「しまった!」と思ってその部分がしばらく触れなくなる。

そんな感じだから古着を着ることも、娘に着せることもできない。

食事中は子供のコップを置いている位置が気になって

倒さないようにずらしておくのは日常茶飯事になっている。

字を書いたり作業をするときはいつも、袖をまくらないと書くことができない。

俯いたときに、顔の横に髪が垂れてくるのがどうにも耐えられない。

だから私の髪は必然的に短めのショートヘアーか、長いときは結ぶことになる。

それもきっちり結んでおきたいから、ポニーテールかおだんごヘアーがデフォ。

毎日おだんごにしていると美容院に行くのも忘れてしまうから

気がつくと、髪が腰やお尻まで伸びているってことが何度もあった。

ある日急に髪を結ぶのに耐えられなくなって

美容院に行ってバッサリとショートにしてもらう。

そんなことを繰り返して何十年も生きてきた。

髪を切ると担当の美容師さんは

「こんなに長い髪をバッサリ切る人ってなかなかいないから、たのしい♪」

って喜んでくれる。

高校生の頃美容院に行って、やっぱり腰までの髪を短くしてもらった。

その頃ずっと考えていたことがあって、

せっかくの長い髪を有効利用できるんじゃないかって思っていた。

誰か、髪を必要としている人がいるんじゃないかと考えて

初めて会った男性美容師だったけど、思い切って聞いてみた。

すると美容師は変な顔をして「持って帰る?」って聞いてきた。

思ってた答えと違っていたので「いえ、いいです」って言うのが精一杯だった。

って話を何年かぶりに思い出したのは、

あとりえ あっしゅ/Atelier Hさんの記事を読んだときだった。

ヘアドネーションとは髪の毛の寄付のこと。

この髪を使ってメディカルウィッグ(医療用ウィッグ)を作り、

病気などで必要になった人へ届けるボランティア活動のことを言う。

そう、これ!当時の私がやりたいと思っていたのは。

そのことを あっしゅさんに話すと、とても丁寧にいろいろ教えていただき。

コメント欄もたくさんの方で盛り上がり、体験談などを聞くこともできた。

髪ってやっぱり顔の印象を左右するものだから大切で

あまりオシャレに興味がない私でも譲れないこだわりを持っている。

それは、前髪があるということ。長さは眉毛が見えてはいけない。

理由は自分でもわかっている。

前髪で隠さないと、見るに耐えない顔だから。

私の将来の夢に「僧侶になること」があるのだけど

そうなると「剃髪」は例え一時的でも宗派によっては避けて通れない道だと思う。

今は僧侶になろうとはあまり考えていないけど、

一時本気で悩んで腹を括ったこともあった。

自分以外の人の髪の話で言うと、実家の男衆は揃って髪がなかった。

父も祖父も。弟だけは危ない時期もあったけど、何とか持ち堪えている。

だから男性の髪があろうがなかろうが、さほど問題ではないのかもしれない。

先週夫と一緒に飲みに行った居酒屋で、彼はカウンターに座る他の客の

後ろ姿を見ながら私にこっそり聞いてきた。「俺、勝ってる?」って。

え?別に量とか気になる感じじゃないじゃんって思いながら

「勝ってるよ」って言ったけど、聞かれたのは毛量じゃなかった。

色の話だった。夫は私より2歳年下なんだけど、明らかに白い髪が多い。

私は若い頃は茶髪にしていたけど、もう何十年も髪の色を変えたことはなく

そのままの状態でも白髪はほとんど生えていない。

のほほんと生きてる妻に対して、夫は気苦労が多いのだろう。

「髪の量も勝ってるけど、白髪の量も勝ってるよ」って言っておいた。

でも笑い話で済まないのが女性の場合で

中学の頃、精神的なストレスからくる脱毛症でかつらを使用している友達がいた。

また実家の母は、まだ二十代前半で未婚の私が長女を妊娠したときに

髪がごっそり抜け落ちてしまった。

奇しくもそれを見つけたのは、一緒に母の手伝いをしていた私だった。

それから数年母は髪の毛に悩まされることになるのだが

「髪の毛のふりかけ」なるものを使ってうまく隠していた。

そして先日、私は1本の記事に出会う。

にこにこぼたんさんが私の記事にコメントしてくださったご縁で

見に行った先にあった記事。

闘病中のにこにこぼたんさんがやりたいことを見つけたって内容で

その中で初めて「ケア帽子」というものを知る。

例えば抗がん剤を使った治療で髪が抜け落ちたときにかぶる帽子。

子供の入学式に行く決心が なかなかできなかった にこにこぼたんさんが

このケア帽子との出会いで転機を迎えることになる。

気分が落ち込めば いくらでも体調は悪くなるし
反対に 気分が上がれば体調は良くなる

前向きな気持ちになったにこにこぼたんさん。

彼女が言うのだから、とても説得力がある。

そして元々ハンドメイドが好きなので、

自分に合ったケア帽子を自作するようになる。

ひと針ひと針編んでいく帽子はとても丁寧で素敵なデザイン。

そしてにこにこぼたんさんの気づきが素晴らしかった。

これって 私がボランティアさんから頂いたみたいに誰かの役に もし少しでも立てるなら もらってくれる人がいるなら すごく嬉しいことなんじゃないだろうか

そして今は「私の気持ちを受け取って頂いてありがとうございます」って気持ちで

自分の帽子のみならず、ボランティアでプレゼントする用の帽子も編んでいる。

それが、にこにこぼたんさんが見つけた「やりたいこと」。

私は同じような境遇の人に少しでも心を軽くして欲しい
その人その人に合う帽子を作りたい
帽子で生きることがもっと楽しくなって欲しい!
そのためにもっと上手になりたい
今そう思っています

自分で経験したからこそ言える、重みのある言葉。

そして魂から溢れるやさしい気持ち。本当の意味の真心。

がん相談支援センターにボランティアで持っていくための帽子を

楽しみながらも志事として作るにこにこぼたんさん。

その材料費として使ってもらうため

たくさんの方がサポートしようと並んでいたので

僭越ながら私も並ばせていただきました。

ケア帽子って今回新しく知った単語だったけど、

裁縫をする人にとっても気になるワードじゃないかなって。

調べてみるといろんなデザインがあって中には簡単なものもあり

少しだけ裁縫をする私は、余裕があったら作ってみたいなって

考えている今日この頃です。

未来はいつも面白い!