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Quantum Neural Networks: Concepts, Applications, and Challenges

アニバーサリー休暇

まあこういった名前の年次休暇がある企業は多くあると思います。
筆者の職場にもあります。
なんと10月末までに使わないと今年の分は終わってしまうらしいのです。
マズい、モネ展行ってスパ銭行くぞ。


概要

Quantum Neural Networks: Concepts, Applications, and Challenges
written by Yunseok Kwak, Won Joon Yun, Soyi Jung, Joongheon Kim
published on Mon, 2 Aug 2021

[Abstract]
Quantum deep learning is a research field for the use of quantum computing techniques for training deep neural networks. The research topics and directions of deep learning and quantum computing have been separated for long time, however by discovering that quantum circuits can act like artificial neural networks, quantum deep learning research is widely adopted. This paper explains the backgrounds and basic principles of quantum deep learning and also introduces major achievements. After that, this paper discusses the challenges of quantum deep learning research in multiple perspectives. Lastly, this paper presents various future research directions and application fields of quantum deep learning.

[Abstract(翻訳)]
量子深層学習は、量子コンピューティング技術を使って深層ニューラルネットワークを学習するための研究分野である。これまでの長い間、深層学習と量子コンピューティングの研究トピックや方向性は別のものとして考えられていたが、量子回路が人工ニューラルネットワークのように機能することが発見されたことにより、量子深層学習の研究が広く採用されるようになった。この論文では、量子深層学習の背景と基本的な原理を説明し、主要な成果も紹介する。その後、量子深層学習の研究課題について、さまざまな視点から議論する。最後に、量子深層学習の今後の研究の方向や応用分野についても提示する。

コンテンツ

量子コンピューティングと深層学習

深層学習の分野では、勾配消失や大規模なパラメータ学習の非効率性といった課題が徐々に克服されつつある。
量子コンピューティングについても、特にVQCの発展により、従来の方法では解決が難しかった複雑な問題を解く能力を示して大きな注目を浴びている。

この論文では、量子コンピューティングと深層学習を組み合わせた「量子深層学習」の背景知識や基本的な原理、最新の研究成果や課題、そして将来の研究の方向性についてを紹介する。

VQC

VQCは、自由パラメータを含む回転ゲートを使った量子回路であり、関数の近似や最適化、分類などのタスクを実行する。
VQCを利用するアルゴリズムは「変分量子アルゴリズム(VQA)」と呼ばれ、古典的コンピュータと量子コンピュータのハイブリッドアルゴリズムである。

VQCは、関数をパラメータ学習によって近似するという点で人工ニューラルネットワークに似ているが、量子コンピューティングの特性からいくつかの相違点もある。
特に量子回路では、操作が可逆で線形であるため古典的なニューラルネットワークで使用される活性化関数の代わりに「量子もつれ」を用いて多層構造を実現する。
このようにして構築された量子回路ベースのニューラルネットワークは「量子ニューラルネットワーク(QNN)」と呼ばれる。

QNN

QNNでは、データは次のように処理される。

QNN

入力データを量子状態としてエンコードし、パラメータ化された回転ゲートやエンタングリングゲートを通して変換する。
その後、量子状態を測定し、最適化アルゴリズムでパラメータを更新する。

QCNN

量子畳み込みニューラルネットワーク(QCNN)は、畳み込み層とプーリング層を量子回路内に埋め込んだCNNである。

QCNN

入力データを量子状態に符号化し、準局所的なユニタリーゲートによってフィルタリングされた特徴マップを作成する。
次に、制御回転ゲートによるプーリング層でこの特徴マップをダウンサンプルし、最終的に全結合層を介して出力を生成する。
現在はまだ、量子計算環境が整っていない分、古典的なCNNより優れた性能を発揮するのが難しいが、将来的にFTQCではQCNNが優位性を持つことが期待されている。

強化学習への応用

深層強化学習の研究が著しく発展する一方で、量子深層強化学習の研究はまだ初期段階にある。
現在のアプローチとしては、単純に方策のニューラルネットワークをQNNに置き換えるというものであるが、他にも複素MDPを過程することで、QNNの計算複雑性を上手く利用できるのではないかというアイデアも存在する。

その他の応用例

ブロックチェーンなどの十分に分散されたプラットフォームでの、QNNの応用も考えられている。

挑戦

勾配消失問題は、QNNに限らず古典的なニューラルネットワークにおける重要な問題である。
QNNでは、これを特に「不毛な台地」問題と呼んでおり、扱う量子ビット数が多くなるほど問題の規模が指数関数的に大きくなってしまい、勾配計算が難しくなってしまう。
これを回避するために、パラメータの初期値の設定が重要になるのだが、QNNそのものが大規模になってしまうとどうしても避けられない。
これは未解決問題として残っている。

また、現在の量子コンピュータはNISQデバイスであり、実用化に向いていない。
VQAのほとんどがFTQCの完成を心待ちにしている状況である。

最後に、量子優位性について、量子コンピュータは常に古典アルゴリズムを凌駕するわけではない。
古典コンピュータが苦手とし、量子コンピュータに有利な素因数分解のアルゴリズムなどのユースケースが見つからない以上は、あまり期待ができない。

結論

量子深層学習の期待は大いにある一方で、非常に挑戦的な内容にもなっている。
これからのハードウェアを中心とした技術の発展が楽しみである。

感想

QCNNや量子深層強化学習など、QNNの考えは多岐に渡ると筆者は考えています。
ただ、結論にもあるように、多くの挑戦(問題)が阻んでいることは確かであり、筆者の修論研究のQAOAの話でも、状態数の爆発がTSPの問題をより複雑化しているということがよくわかりました。
それでもやっぱりQNNって何かしらのブレイクスルーを生み出す可能性があると思うんですよね。
2029年のIBMの発表を待ちましょう。

終わりの1曲

Ed Sheeran - Bibia Be Ye Ye

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