本間ゴルフブログ V5.5.1(2017/6/14投稿)
お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。
弘法筆を選ばず。
無理です。選びまくりです。
アメリカで臨床に携わるようになって以来、ずっとずっと理解不能だったのが、セッシです。とにかく物がつかめない。短いセッシはまだましですが、ちょっと長め、というか心臓外科において普通の長さのセッシになってくると先がきかなかったり、すぐ交差してなんせ掴めない。神戸大学にいた時には大北教授の選んだ道具が並び、セッシは素晴らしくアメリカのそれとは比べものにならないものでした。世の中にはそんな素晴らしいセッシが存在するのになぜこんなイマイチなセッシを使うのか?全く理解不能でした。ピッツバーグでもニューヨークでも同じでした。うまく掴めずに苦労していると、前立ちのアテンディングは「haha、このセッシはお前のことが嫌いなんだなー」なんて笑って、、、「そそ、僕は愛想のない顔してますからねーハハハー、って笑ってる場合じゃねえええええええええ」とキャシー塚本よろしくセッシを壁にぶん投げそうになったことは多々ありました。まさかシカゴは大丈夫よね?ね?
「オッス、おらセッシ!久しぶりだなー!」「ですよねー、やっぱ一緒ですよねー」
シカゴでの最初の症例は89歳の上行大動脈破裂の症例でした。まだ病院のIDも持っていないくらい最初の時期で、深夜に苦労してたどりつた手術室で待ち構えていたのはやはりかのセッシ野郎でした。慣れない手術室、慣れないスタッフ、死にかけの患者さん、そんなことよりセッシ野郎のいたずらに苦労したことしか記憶に残らない第一例目でした。しかし、今までとの最大の違いはアテンディングになって、自分の手術道具をリクエストできることでした。速攻で大北教授と同じセッシを注文しました。今やオペ室では私の「こだわり」のセッシということで私専用として分別されていますが、私にしてみればちゃんと本来の道具としての目的を果たすという最低限の条件を満たすものにすぎないのですが。まあ例のセッシ野郎を排除するというこだわりと言われればその通りです。
写真:私は右利きなんですが、なぜか腕時計は右手にします。本来の左手にするとなんか気持ち悪いのです。故に時計を右手にして、字を書いたりすると邪魔になるのでその度に外すはめになり、そのうちめんどくさくなって腕時計はしない人になりました。先日、とある学会の際にアメリカで活躍中の日本人心臓外科医の先生がたくさん集まる夕食会に招待していただきました。写真の時計はどちらも異なる日本人大御所外科医の先生方のものです。片や時計は時間がわかればそれでいい派の先生のもので100円カシオ。片やおそらく私の乗っている車が何台も買えるであろう、でも何時だかよく分からない高級時計。それぞれの外科医のこだわりが見えて面白いですね。ちなみにこの高級時計はサブの方で、メインの方の時計は当時修理に出しているところとのことでした。修理代について聞いてみると修理代金ももちろん「超高級」で私の履いている革靴が何足も買える金額でした。こだわりって恐ろしい。