赤い彗星ブログ V3.1.1.3(2017/6/14投稿)
お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。
全ては目標を達成するための手段であり、ゴールに到達できるのであれば過程は問わない。と言ってみたりして。
American Board Certified. かっちょいい響きです。アメリカの胸部外科専門医資格を持っているか持っていないかは就職活動に大きく影響します。アテンディングのポジションに関しては、専門医を持っていない場合は応募資格すらないのが普通です。私は専門医資格を持っていないので、シカゴ大学への就職は数々の方の協力と、特例手続きが必要でした。制度は変わりつつありますが、アメリカでは5年間の一般外科レジデンシーの後、2−3年の胸部外科レジデンシーを経て晴れてこの専門医資格を得ることができます。もちろんその時々に試験や、面接があり厳しいセレクションがかかります。何より外科のレジデンシー応募にはアメリカ人の中でもエリートがひしめく非常に狭き門です。特に最近増えてきた新制度の心臓外科6年一貫教育プログラムは超難関です。私の場合は、アメリカで5年間の一般外科をするのが嫌だったので、そのような過程を経なくていい心臓外科フェローすることを選んだ。なんて言ってますが、実際は外科のレジデンシーに応募しても箸にも棒にもかからなかったと思います。ゆえに、これらの難関を乗り越えて専門医資格を取得し、アメリカ人と同等の立場で活躍される日本人の先生方は本当に尊敬します。私のようなものと彼らを同じようにアメリカで臨床をしている日本人外科医として一括りにするのは失礼にあたると思います。冒頭のように、最もらしいことを言ってみても、結局は負け犬の遠吠えに過ぎないのかもしれないですね。まさにザクはザクでも”通常の3倍のスピード”、格が違うというのはこういうことなんだろうと思います。
「で、でもブライトさん、このスピードで迫れるザクなんてありはしませんよ」
「ヤ、ヤツだ。。。。」
写真:こんな私でも立場上、当科の胸部外科レジデントの面接官を毎年することになります。写真は面接の前夜、シカゴにある有名なジョンハンコックセンターのSignature Roomを貸し切ってレセプション時の様子です。他のアメリカ人のアテンディング(面接官)にとって、このような場での振る舞い、会話、レジデント同士のやりとりの仕方なども重要な評価項目の一つのようです。アジア人系の人によく見られる物静かで会話が少ない人は「he/she is quiet」と評価されます。このレッテルを貼られるとどんなに試験の点数が良くても、面接で頑張っても、ほぼその時点で足切り状態で採用されることはほぼ皆無です。日本人の私的には「そうではない、なぜ沈黙の美学を理解しないのか?!」といつも思いますが、こればかりは文化の違いなので対応するしかありません。アテンディングの面接に出向く北原先生には少ないながらに私の知る限りの面接のノウハウを伝授しました。後は本人の実力次第ですね。良い結果を期待しております。えらそうなことを言いつつしょぼい私は面接官の立場はそっちのけで、レセプション会場の隅で他人の靴の光り具合をチェックしつつ、カクテルレセプション用のビュッフェとビールで一人でチビチビやっているのであります。