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サイババ吻合 〜おっさんずラジオvol.2〜 (1/26/2021投稿)

お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。


北原「吻合企画やりたいんですけど、どう思います?」

太田「ん?ええんちゃう」


昨年こんな感じの会話から始まったチームWADA冠動脈吻合オンライントレーニング企画。吻合大会の歴代の上位入賞者が若手チャレンジャーを教育し吻合大会に挑むという画期的な企画でした。残念ながらコロナの影響で大会は中止になってしまいましたが、若手の手術手技トレーニングに一石を投じた企画だったのではないでしょうか?このようなすごい企画を頭で思いつくより早く脊髄反射で実行に移した北原先生は本当に凄いですね。時代の寵児ですね。


すごい!すごい!北原先生ってすごい!


そんな折、日本冠動脈外科学会主催のオンラインベースの第一回冠動脈吻合技術競技大会なるものが現在開催されているようです。匠と呼ばれるような大御所の心臓外科医の先生方が企画、審査を務めておられ、まさにオフィシャルな感じがすごいのです。北原先生の企画原案(?)が正式に学会に採用された感ありますよね。


すごい!すごい!北原先生ってすごい!

先日、この大会の外科専門医を取る前段階の若い先生方のクラスの大会動画を見る機会がありました。冠動脈バイパス術(CABG)を全く(ほとんど)やったことがない先生方のはずなのですが、みなさん非常に上手で驚きました。かなりやり込んで練習しているのが見てとって分かりました。恥を忍んで申しますと、明らかに私なんかより上手でした。


ふと思い出したのですが、昨年のチームWADA吻合企画の際、こんな会話があったように記憶しています。

太田「へーそんな吻合大会があるんやね、僕も出てみよかな」

北原「太田先生はもう別にいいんですよ」

太田「なんで?いい仕事すると思うで?」

北原「いや、もうアテンディングですし。それに年齢制限で出場できないっす」

太田「あ、そうなん。じゃあアルバイトで参加しよかな」

北原「バイト?」

太田「そそ、出場者が吻合中に「汗!」って言ったら「はい!」って汗ふく係」

北原「いやいや、「汗!」なんてドラマの中だけですから」

太田「へーそなんや」

北原「いやいや、先生毎日オペしてますから。ないでしょ「汗!」なんて」

太田「そか〜時給460円やったのになあ」

北原「そんなバイトないっていうか時給安っす!」


北原先生ってボケを全部拾ってくれるんですよね。(元)慶応ボーイなのにすごいでしょ?

すごい!すごい!北原先生ってすごい!


ま、それはおいといて、ここでのポイントは2人とも吻合企画で実際に縫わなくていい、大会に出場しなくていいって最初から思ってるってことなんです。自分の実力(醜態)を披露することなく、企画中は司会・審査員・コメンテーターとしてのうのうとしていればいいってことなんです。

「太田先生はもう別にいいんですよ」

これほど私に安堵を与えてくれる台詞があったでしょうか?逃げる必要すらない、最初から完全なる立方位、いわゆる“パーフェクトキューブ”で守られているのですから。


今では私も北原先生もCABGはもう嫌というほど数をこなしてきている(あ、まあ数えれる程度ですけど)。それでも吻合大会の吻合に関してはCABGをしたことがない若手の先生たちの方がおそらく高得点なのだと思うのです。まあやってみないとわからないんですけどね。


って、思ってたらですね!この大会はSクラスなるものが存在し、部長や教授を含め誰でも出場できる無差別級クラスってのがあるってんですよ!つまり私も北原先生も出場できちゃうわけです。。。これはやばいです。


あ、ちょと先に言っておきたいこと言っておきます。

近年のトレーニングシステムの改良改善はめざましいものがあると思います。若いうちから無駄を省いたシステマティックな教育プログラムを享受でき、教育のツールも進化し充実している。留学なんてオプションがあることや、そのノウハウも、鼻くそをほじりながらポテトチップを食べてソファーでゴロンしながら携帯をいじるだけで、世界の巨匠Google先生が懇切丁寧に教えてくれる。一昔前の心臓外科医の教育は、例えば魔界の入り口でずっとずっと門番をして、ある日突然「今日はお前が鬼を退治してこい!当然一人でいけるだろ?」って魔界に放り出される感じ。対して最近の教育は、安全な教室でまずは魔界についてのレクチャー、YouTubeで魔界の様子を学ぶ、最初の現地魔界ツアーは装甲車バスを使用、続いてガイド付きの見学者用通路を使用、そして最初の独り立ちの際は強力な封魔の武器をもらい、なんなら最初から鬼も少し弱らせておいてくれるまさに夢の魔界ツアー。

なんか、何言ってるか分かりませんけど、決して皮肉ではなく、つまり羨ましいのです。そしてそれを十二分に謳歌し存分にトレーニングを積んだ若手の先生が封魔の持針器で特級の吻合を披露するのを目の当たりにするともはや畏敬の念すら感じるのです。


だからヤバイんです。私の装備はヒノキの棒、皮の盾に皮の鎧、そしてふしぎなぼうし。最弱です。封魔の持針器とか見たこともない。でもですね、私は思うのです。現在も進化中の心臓外科教育プログラムは素晴らしいし羨ましい。でもその反面とても理屈っぽくて量産的。理論に基づいて進めてるだけに0か100か、アリかナシか、できるかできないか、すべきかすべきでないか、全てが杓子定規になっているような気がするのです。だからみんな余裕がないように見えてしまう。みなさん優秀なので何一つ取りこぼしてはいけない空気感にがんじがらめになっているような気がするのです。私はもっといい加減で、自由でフレキシブルな方が面白くて楽しいと思うのですよね。


そ・こ・で! 本題です。(やっと)

0でも100でもない世界。そだな。。。12くらいの(低いな!)世界にあなたをご招待したいのです。日々、0か100か、毒か薬かの世界で戦っているあなたにオロナミンCくらいのものを試してもらいたいのです。

有意義なものを全て削り取り、無駄なもののみを詰め込んであなたの人生に「自由」をお届けします。「おっさんずラジオ第二弾!!〜サイババ〜」どうぞお楽しみください!

今回は無差別級の募集はすでに終わってました(良かった。。。いやほんとに気づいた時には終わってたんですって)。もし来年もこの「恐ろしく忌まわしい」大会があるとすると、いずれ今年中にこんなヤバイ会話がありそうだな。。。


太田「へーそんな吻合大会があるんやね、僕も出てみよかな」


選択肢A: 北原「太田先生はもう別にいいんですよ」

選択肢B: 北原「太田先生はもう別にいいんですよ、代わりに僕が出ます」

選択肢C: 北原「あ、じゃあ一緒に出ましょうか」


*業務連絡 北原先生、今回ブログ内で北原先生のこと大分褒めたと思うんですよ。ええ、先生の好感度上昇にずいぶん貢献してると思うんですよ。ね?だから、わかるよね?。。。ね?なんなら先生が欲しがってる「ナイト型ペン置き」もう3体ほど送るから。

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