コミュニティへの向き合い方にもCAP定理が当てはまるのでは?
はじめに
平たくいうと、
コミュニティに属す場合に、キャラとコミュニティとのギャップによって不都合なことが発生していないか??という問題。
インターネットによってコミュニティが多層化して、このCAP定理問題が増加しているんじゃないかと考えている。
とりあえず、前提となる用語について確認。
用語の定義
ここでいうキャラとは
自分が所属しているコミュニティでのキャラクターのこと。
SNSや個々のサービスのアカウントをイメージするとわかりやすい。
タイトルではキャラクターという言葉を使用しているが、
個人格、ペルソナの方が意味合いとしては近い。
CAP定理とは
分散コンピューティングにおいて、CAP定理(ブリュワーの定理(Brewer’s Theorem))というものがある。
これをコミュニティにおける人格にあてはめるには、まずCAPを整合性、意思決定の速度、量だとする。
・整合性を保ったまま量が増えると、意思決定は遅くなる。
・意思決定を早くして量が増えると、整合性がとれなくなっていく。
・意思決定が早いままで整合性を保つと、分断する(量が減る)。
情報工学のCAP定理3つ全てが同時に成り立たないことは理論的にも証明されている。そこで、
分散システムをコミュニティとして置き換えた場合、個人にも当てはまるのでは?という話。
以下が定義の解説。
Consistency 一貫性
誰かがデータを更新した後、すべて同時に同じデータが表示されること
Availability 可用性
どんな要求に対しても、常に有効な応答を返すこと
Patition tolerance ネットワーク分断耐性
通信障害が発生した場合に、いずれかのシステムが引き続き機能できること
個々の例をみていく。
キャラクター例
Consistency 一貫性
意思決定の整合性、ある意味では誠実さといいかえてもよい。コミュニティからのイメージに対してブレないキャラだ。
これが欠けると…
ウソ、タテマエが多くなる、外野からの心象が悪くなりがち。
よくいえば臨機応変、朝令暮改。
八方美人で信用ならない人物とみなされるようになる。
複数コミュニティに対してフットワークが軽いと単純に情報が混線したり、タスクが積みあがったりして帳尻が合わなくなっていくやつだ。
(ここでいうキャラの一貫性とは、あくまで周囲から見たキャラクターとしての一貫性のため、後述の人格の分断耐性(自己の一貫性)とは異なることを留意したい。)
Availability 可用性
意思決定の速さ。レスポンス。
他の人の判断に関わらず即座に発言や行動ができるキャラ。
これが欠けると…
端的にコミュ障、仕事が遅い、鈍いとみなされる。慎重、思慮深いと思われればプラスになるが…。
一貫性と分断耐性を保つためには、すべてのコミュニティに対して適切な回答を用意しなければならない。
複数コミュニティでの整合性をとるためには時間がかかる問題も多く、その分メンタル面にも負荷がかかりやられてしまうヒトも多そう。
Patition tolerance ネットワーク分断耐性
自己の分断に耐性がある、ということは複数コミュニティを横断して人格を使い分けることができる。使い分けても確固たる自己を持っているということだ。すなわち別人のようなキャラになることができる。
学校とクラブで、違う友人と違うキャラでなじむことができるタイプだ。
職場ではパワハラ、家庭では優しいパパなどもありがちなスタイルかもしれない。
これが欠けると…
コミュニティによって顔を使い分けられない。全てのコミュニティで同じキャラクターでいることになる。
たとえば親、上司、子供、恋人に対して全く同じ顔で接する人だ。
コミュニティごとに使い分けをしなくてもよい場合、コミュニティをうまく溶け込ませているとみなすこともできる。(会社のヒトと家族ぐるみで仲良くするなど。)
ただ欠けているタイプのヒトはそもそも使い分けができない。
日常生活で分断しているヒトは多くはないと思うが、昨今SNSなどによってアカウントごとに切り替えているヒトは多そうなので、令和人は割と分断耐性がある気がしている。
CAP定理によれば、傾向としてはどこか一つが欠けるはず。
超人なら複数コミュニティに対して別キャラで真摯かつ迅速に対応できるのでは???と思うかもしれないが、まず周囲から真摯だとは見なされにくい。
たとえば、身内の不幸で泣いたあとすぐに別のパーティでハメをハズして、ある団体への批判をSNSで言った後、現実では人付き合いとしてその団体に寄付していたら、全体を通して誠実とは思われないだろう。
その場その場では適切な行動をとっているにも関わらずだ。
(別人としてなら許されるかもしれないが)
一貫性と分断耐性は即座には成立しづらいことが直感的にもわかる。成立させようとすると時間を要することが多い。
誠実なまま人格が変わらないのであれば、どこかで無能とみなされることを覚悟する。
有能かつ人格を変えられないのであれば、どこかで薄情とみなされることを覚悟する。
誠実で有能とみなされているなら、複数のコミュニティをまたぐことは難しい。
という感じですかね、ざっくり。
感想
情報工学のCAP定理のほうでも、完全同期が不可能なだけで可用性や一貫性の性能向上はなされているため、人格のCAPを短い時間で修正できる優れた人類は存在するかも。
恐ろしいことに、分散どころか集中コンピューティングもうまくいってないヒトも存在する…
(極端に言えば2つどころか0のタイプがいる、一貫性もなく、可用性も低く、分断耐性もない、つまり軽薄でコミュ障で常にキャラが同じ、うっ胸が)
これは当然ありうる話…
多くの障害をテクノロジーで解決してきたように、この問題も整備されていくときがくるのだろうか???
コミュニティにおけるペルソナ、人格を自覚し、キャラクター属性を意識することで適切な人付き合いに寄与するのではと考え、とりあえず分類してみたので、他の人の参考にでもなれば。
以前書いたSFのショートショートは以下。意識、記憶、人格みたいなテーマに関心あり(たぶん)。オススメSF紹介してください。