持たない暮らし→持つことの憂鬱
これまで国内外で10回以上引越しをしてきて、その都度、荷物を整理してきたので、モノは少ないほうだと思う。両親がすでに亡くなっていて、とりあえず要らないものは実家に置いておく、ということもできないので、2DKの今の住まいにあるものが私の全財産。
「断捨離」ブームもあって、モノを持たないシンプルな暮らしは憧れでもあるけれど、私の場合は、それが新たにモノを買うことへの抵抗にもなっている。もちろん、どうしても必要なものは買うのだけど、おしゃれなインテリアとか食器とか、なくても困らないものだと、「引っ越すとき処分しないといけないかもしれないしなぁ」と、躊躇してしまうのである。モノが増えることへの恐怖心と言ってもいいかもしれない。
母がモノが捨てられない人で、数年前に不慮の事故で突然亡くなったとき、実家はモノで溢れていて、片づけるのが本当に大変だった。妹と2人、途方に暮れてしまったほど。そのときの経験も影響しているのかもしれない。当時、私はまだ独身で、「もし私がたくさんの荷物を抱えて死んだら、妹や姪っ子に迷惑がかかってしまう!」と真面目に考えたのだ。
ハワイに移住したら、こんな感じのインテリアにしたい、とワクワクする気持ちがある一方で、将来本土に引っ越すときのことを考えるとワクワクしきれないというジレンマ。そのあたりの抵抗感や恐怖感を、「本当に気に入ったものだけに囲まれて心地よく暮らすために吟味する」というポジティブな行動に変えていけるといいのだろうな。
「必要」なモノだけでは、やっぱり寂しい。あまり先のことを考えすぎず、今の私の気持ちを満たすものを手元に置いて愛でる。そんな心のゆとりも必要だ。新天地での生活はそこを目指してみよう。
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