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作品もギャラリーも素敵だった、山本容子版画展@国際文学館(村上春樹ライブラリー)

そんなわけで、山本容子さんの銅版画展を見てきました。
ひとつ前の記事で早稲田大学のことをアップしましたが、はじめましての方にも多く見ていただいたようで、ありがとうございます。
なぜでしょうね、「大学」とか「早稲田大学」のタグでいらしてくださったのでしょうか。

ということで、早稲田大学演劇博物館の隣にあった国際文学館(村上春樹ライブラリー)はこんな建物でした。

うにょんとカーブしているところが1階入り口です。

入り口を入ると正面に地階へ行く階段があります。
その両側の壁が本棚になっていて、いろいろな本がずらりと並んでいます。
この階段部分をメディアで何度が観たことがありました。
「魔女の宅急便」の角野栄子さんの番組で、学生たちと語り合う回もここだったと思います。

入り口の右手が受付で、左手のほうにいくと村上春樹の本がずらりと。
真中にテーブルがあったり、椅子があったり、自由に読むことができるようです。
日本語だけでなく、海外で翻訳されたものなども。
村上氏の記事や書評などの関連資料だけでなく、蒐集したCDやレコードなども収蔵されているようです。

最初にはっきり言ってしまうと、私は村上春樹が苦手です。
若いころに何冊か読んだものの、いま手元にあるのは「遠い太鼓」の文庫本だけ。ギリシャとイタリアが舞台だったのでなんとなくとってありますが、それもほとんど読み返すことはありません。
今、出版されている作品を読んでみたら、なにか感じることが違うのかなぁ。

そういうわけで、このライブラリーもノーマークだったので、アートの展示をやっているとは全く知りませんでした。
もちもちさんの記事のおかげです。ありがとうございます。

2階に上がると展示ギャラリーがありました。
平日のせいなのか、最初はほとんど私ひとり。
係の方がときどき来られるくらいで、なんて贅沢な。
そのうち、1人、2,3人・・と次々来場者がありましたが、基本的に静かで、ゆっくりみることができました。

版画を刷る前には紙を水に浸けて湿らせるので、刷ったあとにこのように板に張り付けてまっすぐに乾かすのだそう。アトリエの状況が再現されていました。
私が体験したことがあるのは、銅版画のドライポイントという技法と、紙版画です。でも限られた時間でここまでしっかり乾かす作業はしなかったですね。

写真は自由に撮らせていただくことができましたが、
あとで見返していると、自分の好みのものばかり撮ってしまって、まあ偏っていること・・。
というか、私のスマホのシャッター音がうるさいので、極力好きなものだけ撮りました。
単なる私の好み・・ということでご覧ください。

時期的にクリスマスのものが目についてしまいます。
村上氏が翻訳したトルーマン・カポーティの小説に山本容子さんの挿画が入った3冊の本、「あるクリスマス」「クリスマスの思い出」「おじいさんの思い出」の原画が好きでした。

「あるクリスマス」トルーマン・カポーティ―より 村上春樹訳

特に「クリスマスの思い出」の挿画は、どれもこれも好きで撮りまくり。
こんなに撮るなら本を買おうと思いました。

「クリスマスの思い出」トルーマン・カポーティ より
どうしてもガラスの映りこみがうるさくて、上からの角度で。
「クリスマスの思い出」
手に持ったヒイラギの小さな赤い実がちらっと効いています。
この絵はポストカードが販売されてました。
「クリスマスの思い出」
部屋の様子がとにかく可愛くて、ベッドの下にもぐっている様子もユーモラス。

よく見ていただくとわかると思いますが、版画でよく使われる紙はハンドメイドペーパーで、端がぎざぎざになっています。
デックルエッジといって、紙を漉きあげたまま断ち切らないので、いい感じの風合いがあります。
カリグラフィーでもよく使われていて、独特の雰囲気が大好きです。
(手漉きの和紙などで、紙を濡らしてわざと手で切るようにしてこの風合いを出すやり方もあります。)

バッグの模様が素敵。
日常的な動作がアートになっているのが好きです。

いやここまでほぼ「クリスマスの思い出」でしょ・・
用紙のサイズ感も大きすぎず、すごく好みだったのです。

「哀しいカフェのバラード」カーソン・マッカラーズ著 村上春樹訳
表紙の原画
ゲーテの「ファウスト」ですね。
「ファウスト」より
もろびとこぞりて・・の言葉と、聖母子や天使などクリスマス的な絵が好きでした。
「ファウスト」のそれぞれの絵にゴシック調のカリグラフィー的文字が入っていますが
直筆ではなく印刷フォントかと思います。でもいい雰囲気。
「night cut」という作品。
なんだか妙に惹かれました。
マンドリン・・・リュートかなあ??
版画は小さいものでも魅力的なところが好きです。
ふと気づいたんです、版画用紙に山本さんの刻印があるのを!素敵。


小型のプレス機が置かれていました。


もっとカラフルに彩色されたものも展示されていたのですが、
惹かれたのは淡く色づけされたものや、線画のみのものでした。

気づいたのは、日常的な情景や光景が版画になっているものが好きかもしれない、ということ。
そういえば、山本容子さんのもっと若いころの作品では、バンドエイドが描かれたものなどが有名でしたね。

この展示は来年の5月(!)まで続くようです。
途中展示替えがあるようなので、是非また行きたいと思います。

さて
アートを見終わったらカフェです。
お茶を飲みながら、いま見たものを思い返してみるのが好きです。

さきほどの本棚のある階段を降りて地階にいくとカフェがありました。
(地階といっても地下ではなく、斜面に建っているので地上です)
橙子猫(オレンジキャット)というカフェで、
なんと学生さん達がすべて運営を任されているのだそうです。

村上夫妻が学生時代に経営していたジャズ喫茶「ピーターキャット」の由来になっているピーターという猫がオレンジキャットという種類だったそうで、そこからちなんで命名されたそうです。

きれいでおしゃれ、ゆったりした感じのカフェで
パスタなどの食事もできたり、スイーツもありました。
私は、ほうじ茶ラテを。
ミルクフォームがなめらかで、美味しかった。

版画展でアンケートに答えて、山本さんのステッカーをもらいました。
マンドリン(リュート?)のやつが欲しかったけどな・・(笑)

一般の人もいらしてましたが、
ふたつとなりの席には、学生さんと教授が研究の話をしていて、いいなぁこの雰囲気・・・と思いました。

カフェには展示のポストカードやグッズが少しですが置いてあります。
展示を見たあとは、こちらでお茶がおすすめかも。

来春までは山本容子さんの展示ですが、
これからここの展示もチェックするようにしようと思いました。

もちもちさんの記事には、私が撮っていない作品がたくさん載っていますので、ぜひそちらもご覧ください。

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フランチェスカ
書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。チップは自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。