未来のあなたを守る減塩の話
佐々木敏の栄養データはこう読む!
第2章:「2 未来のあなたを守る減塩の話」より
世界52の地域に住む約1万人を対象として、尿中の食塩排泄量と年齢による血圧測定結果を調べた研究結果に基づくと、食塩摂取量と血圧上昇量の間の密接な関係が見て取れる。
すなわち歳を取るにつれて血圧が上昇するのは自然な加齢現象ではなく、
長年摂取してきた食塩量の影響を強く受けていることが分かる。
このデータに基づくと、1日当たり1gの食塩摂取で1年歳を取ると、0.058mmHgだけ血圧が上昇する計算になる。
つまり1日当たり食塩を10g摂取している人の血圧は、10年で6mmHg程度血圧が上昇することになる。
なお、この研究対象には「食塩非感受性」という食塩を摂取しても高血圧になりにくい遺伝子を持つ人も含まれている。
つまり、食塩非感受性の人の血圧上昇量はこれより小さい一方、それ以外の人の上昇量はもっと大きいと考えられる。
現在35歳で収縮期血圧126mmHgの人を想定した場合、65歳になった際の血圧は、
食塩摂取量が14g/日:126+0.058×14g×30年=150mmHg
食塩摂取量が7g/日:126+0.058×7g×30年=138mmHg
と計算されるが、これを別の見方で捉えると、
1日当たり14g食べ続けていたらおよそ50歳で超えてしまう血圧に、1日当たり7gの場合は65歳になってやっと達するといえる。
減塩は1日に何gと考えるのではなく、長い年月の積み重ねで考えるべきものである。