2022年春季東都大学野球2部 東洋大学×立正大学 1回戦
最近はサッカーばかり観ていて、野球を観るのは昨年の神宮大会以来。
観たい投手がいて、東都2部の東洋大学vs立正大学に足を運んだ。
Go To 神宮
東都大学野球は4部まであるが、それぞれのカテゴリに自動昇格・降格がなく、上位カテゴリの最下位と下位カテゴリの優勝校が入替戦を戦って昇降格を決める。
つまり昇格枠は0.5。2部を優勝しても1部に上がれないこともある厳しいリーグだ。
1部は「戦国東都」と言われるほど力が均衡したリーグだが、それは2部も同様。プロ入りできる力を持った選手が各校にいて、鎬を削っている。2部リーグのレベルの高さは全国トップだと思う。
1部は神宮球場で全ての試合が行われるが、2部は逆に神宮で1試合もできない。2部の選手たちは神宮でプレーすることを夢見て、リーグ戦に臨んでいることだろう。
優勝争い
春季リーグは通常通り2戦先勝の勝ち点制で行われている。
リーグは最終週を迎えており、優勝の可能性があるのは勝ち点4の東洋と勝ち点3の専修に絞られている。
東洋は立正との戦いで2つ先に勝てば勝ち点を獲得すればその時点で優勝、入替戦の切符を得ることができる。
最強投手陣
今年の東洋は投手陣がウリのチーム。
東洋の投手陣が強かったといえば2018年。
上茶谷(DeNA)、甲斐野(ソフトバンク)、梅津(中日)、藤井(楽天)と同い年に逸材を揃えてリーグ優勝を果たした。
村上(阪神)が大黒柱だった時期も懐かしい。
その後1部から2部に降格したものの、今年の投手陣は1部のチームに引けを取らない陣容となっている。
筆頭は来年のドラフト1位候補・細野(3年・東亜学園)。しなやかな左腕から150kmオーバーのストレートを投げ込んで、三振の山を築く。
4年生には大黒柱の松澤(帝京)、最速156kmを誇る羽田野(汎愛)、ストレートとスライダーのキレで勝負する河北(浦和学院)など主戦級の投手が勢揃い。
下級生にも150kmオーバーの力強いストレートで押す一條(2年・常総学院)、甲子園優勝経験もある岩崎(2年・履正社)が控えており、来年以降も細野と彼らで安心できる。
2部で全員150kmオーバーの投手リレーをしてしまうのだから恐ろしい。
冒頭の観たい投手は細野のことだが、誰が投げてもいいな、くらいの気持ちで上尾市民球場へと足を運んだ。
投手戦
東洋の先発は松澤。ここまで主に第2戦の先発を担ってきたが、一番安定していた投手。大事な一線で先発に指名された。
力投派のサイドハンドで、重いストレートと変化量の多いスライダーと落ちる球をコーナーに投げ分ける。高校時代は最後の夏前までオーバーハンドだったが、サイドハンドが板に付き、制球が安定している。
立正の先発は梅田(2年・横浜隼人)。オーソドックスなオーバーハンドだが、変化球の制球が冴えてほぼ完璧なピッチングだった。来年以降も楽しみ。
東洋は2回表にランナーを溜め、9番橋本(3年・花咲徳栄)の勝負強い打撃で2点を先制。
しかしそれ以降は両投手が持ち味を出し、終盤まで2-0のまま試合は動かなかった。
立正は7回から門馬(4年・藤岡中央)が登板。高校時代からドラフト候補として騒がれた選手だ。スケールは小さくなったものの、制球力が非常に向上した気がする。
8回からは土屋(3年・関東一)がマウンドへ。土屋は高校時代から制球力が高かったと思うが、さらに磨きがかかっていた。
立正は今の金剛監督がコーチに就任した2017年くらいから、右投手の育成が非常にうまくなったように感じる。とくに制球力を高める指導に長けているイメージだ。
誤算
東洋は8回表に土屋から1点をもぎ取り、3-0にしてから、8回裏からは細野を投入!
ただその細野が誤算だった。疲労からか腕の振りが一定でないように感じた。制球が安定せず、ストライクとボールがハッキリとわかる球が多かった。
積んでるエンジンが桁違いなのはわかったので、本調子を取り戻してほしいところ。
8回裏は相手のバント失敗や牽制アウトでなんとか0点に凌いだものの、9回裏、立正に2点を返され試合の行方がわからなくなった。
なおも1死1塁と同点のランナーを出したところで、河北にスイッチ。
非常にプレッシャーのかかる場面だが、河北は動じず後続を断ち、東洋大学が辛くも逃げ切った。
投手陣の層の厚さで勝ち切った印象。
両チームとも投手が目立った試合だったが、野手ではリードオフマンが躍動した試合でもあった。
東洋は松本(4年・龍谷大平安)、立正は奈良間(4年・常葉大菊川)で、どちらも野手の間を抜く力強い打球を放ち、ともに2安打。チームの攻撃のギアを上げていた。
それと毎回書くことだけど、立正のベンチの雰囲気はマジで好き。能力以上の力を発揮できる環境をつくれていると感じる。
Most Valuable Player
松澤 海渡
7回を投げて被安打1、四死球1で無失点。立正打線を完璧に封じた。満場一致のMVP。
コーナーへの投げ分けが熟練してきている。
今日のピッチングができるのであれば、上のレベルでも実戦力の高い投手として活躍できるはず。