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J2第38節 ギラヴァンツ北九州戦 プレビュー

3連戦の最終戦はアウェイでの北九州戦。
昇格圏との差は開いてしまい、昇格は厳しくなってしまったがまだ可能性は絶たれていない。
残留争いに巻き込まれている北九州の覚悟に飲まれず、勝点を積み上げ諦めず戦いたい。

1.前回対戦

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ホームJITリサイクルインクスタジアムでの一戦。
前半から主導権を握った甲府が先制するが、後半一瞬の隙を突かれ追いつかれてしまい引き分けとなった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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通算で8度の対戦で甲府の4勝2分2敗となっている。

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アウェイでも甲府の2勝1分1敗と勝ち越している。
2017年に開場したミクニワールドスタジアム北九州では昨シーズン初めて対戦し、勝利を収めている。

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こちらは過去8試合の試合結果となる。
初対戦は2010年。
2012年の対戦時には現在甲府でキャプテンを務めている新井が在籍していた。
北九州がJ2復帰後は甲府の2勝1分と負けが無い。
また、先程アウェイでは1敗しているとお伝えしたが、天皇杯での対戦は甲府のホームスタジアムである山梨中銀スタジアムが会場となったが北九州のホーム扱いとされていた。
そのため、北九州の地では1度も敗れていない。

3.前節

甲府

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東京ヴェルディに敗れ、昇格圏との差が開いた中で迎えた岡山戦。
立ち上がりの2失点を取り返すことができず、悔しい結果となってしまった。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

北九州

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前節からスタメンを5人変更して水戸に乗り込んだ北九州。
立ち上がりはボールが落ち着かない流れの中で、球際は激しい展開となる。
共にボールを保持し、試合を進めていきたい狙いを持つが北九州の方が握る時間は長くなる。
ビルドアップの形を変えながら幅を取り、背後も積極的に狙いピッチを広く使いながらボールを保持していく。
水戸の守備が嵌らないこともあり、北九州がボールを保持する時間が長くなるがゴール前の精度が低くシュートシーンは作れない。
飲水タイムを経て水戸が守備の強度を上げたことで北九州陳内に攻め込む回数が増えていく。
36分には中盤でセカンドボールを拾った山根からのスルーパスに安藤が抜け出し、シュートを放つが枠を捉えれない。
前半最大のチャンスを逃した水戸だが、畳み掛けるように押し込んでいく。
だが、共に大きなチャンスは作れず前半をスコアレスで終える。
後半に入り、水戸は中盤のサイドにいる山根と森のポジションを入れ替える。
前半と変わらず共にボールを保持しながら攻め手を探るが、チャンスは作れない。
55分に水戸は安藤と森に代えて中山と松崎を投入する。
直後に水戸に決定機。
新里がエリア内の中山に縦パスを通すと反転しようとした所に黒石が飛び込み、シュートを放つが田中が防ぐ。
水戸に流れを掴まれた北九州は59分に佐藤颯汰に代えて富山を投入する。
60分には水戸が藤尾と山根に代えて奥田と伊藤を投入し、攻撃陣を入れ替える。
水戸が中山を中心に攻勢を強めていく一方で、北九州はボールが奪えない時間が続く。
67分には右サイドで松崎がタメを作り、黒石のオーバーラップからクロスを入れると逆サイドから大崎がボレーで合わせるも枠を捉えられない。
直後に北九州に選手交代。
佐藤亮に代え、前川を投入する。
飲水タイムを経ても流れは変わらず、水戸が続けてチャンスを作っていく。
73分には右サイドから松崎がミドルシュートでゴールに迫る。
76分にCKのセカンドボールを拾った高橋がミドルシュートを放つが、これが北九州にとって後半最初のシュートとなる。
79分に北九州が最後の交代を行う。
六平と椿に代えて針谷と新垣を投入する。
耐える時間が長かった北九州だが、86分にビッグチャンス。
右サイドから野口が前線の富山に縦パスを通すと左サイドを駆け上がった新垣へパスが通るがシュートはゴールの上へと外れてしまう。
88分には水戸が平塚に代えて古宿を投入する。
直後にCKからチャンスを作るが古宿のシュートはDFに当たってしまう。
93分には左サイドからのクロスに中山がダイレクトボレーを放つも田中の正面。
結果的に水戸の猛攻を北九州が凌ぎきり、勝ち点1を分け合うこととなった。

4.今季成績

両チーム比較

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勝ち点67で4位甲府と勝ち点32で21と降格圏に位置する北九州。
共に昇格、残留と目標圏との差が開いており、厳しい状況となっている。
北九州はホームとアウェイで大きく成績は変わらないが、甲府はアウェイを苦手としている。
今シーズン8敗の内、6敗がアウェイとアウェイでの成績が昇格圏との差を生んでいる。

甲府

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3勝1分1敗と勝ち越してはいるが、ここ2試合は勝ちがない。
いずれの試合も1点差以内のゲームとなっており、競った試合が多くなっている。

前節先制され2点リードを許し、勝ち点を失ってしまったが先制された際の結果を見てみたい。

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13試合で先制を許し、1勝4分8敗と多くの勝ち点を失ってきたことがわかる。
先制した試合は無敗と先制点の持つ意味合いは強くなっている。
この中でも開始10分までに失点を喫した試合が5つあり、試合の入りは気をつけたいところ。
では先制点を与えないために気をつけなくてはいけないのは何か。

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しつこいくらい触れてきたが、セットプレーからの失点が最大となっている。
失点の半数以上がセットプレーからとなっており、後述するが北九州はセットプレーからの得点が多い。
また、前節のようにミスからの失点は無くしたいところ。
立ち上がりはアラートに戦わなくてはいけない。

北九州

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2分3敗と勝ちがない。
特に相模原、大宮と残留を争うライバル相手に敗れたことは痛かった。

残留争いを強いられている北九州だが、シーズンのスタッツを見てみたい。

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FKの本数やクリア、インターセプトといった守備的な項目で上位にはいるが軒並み下位に低迷している。
だが、これらの項目がリーグトップクラスであることは守備面ではアグレッシブさは持ち合わせたチームであるといえる。
一方でシュート数、クロス数、CK、オフサイド数が少ないということは攻撃面ではアグレッシブさを発揮できていない。
ボール支配率は8位、パス数は9位となっているためボールは持てるチームではあるが思い切りに欠けると言える。

攻撃面の消極性は得点数にも現れている。

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昨シーズンはリーグ4位の得点数を誇った北九州だが、今シーズンは下から5番目と低迷している。
そんな北九州だが、いかに得点を挙げているか見てみたい。

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先程も触れたようにセットプレーからの得点が多いことがわかる。
1/3がセットプレーからの得点となっているが、注目したいのはクロスからの得点数。
全体で2番目に多い6点を挙げているわけだが、クロス数はリーグ21位と少なかった。
クロスからの決定率が高いことがわかる。
セットプレーとクロスには警戒が必要だろう。

5.予想スタメン

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甲府
サンニチに予想スタメンが載ってしまったが、私の予想は前節から3人の変更。
関口、山田、長谷川とパワーを出せる選手の起用を予想した。
連戦のため、コンディション次第でメンバーは変わる可能性はあるだろう。

北九州
前節から3人の変更と予想。
永田、針谷、富山の起用を予想した。
前節は5人を変更しているだけにまた大幅に変わる可能性もある。

6.注目選手

甲府

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浦上仁騎
浦上は2019年シーズンにJ3で北九州と対戦経験もある。
大宮アカデミー時代の恩師伊藤監督に呼ばれ、今季加入したがDFラインに無くてはならない存在となっている。
前節はオーストラリア代表のミッチェルデュークの前に自身のプレーを発揮出来なかっただけに今節に懸ける気持ちは強いだろう。
「雑草魂で日々全力で取り組みます。」
加入時に出したコメントだが、この姿勢はサポーターに心にも届いているだろう。
前節の悔しさを晴らすにはプレーで返すしかない。

北九州

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高橋大悟
屋久島出身の小柄なファンタジスタは清水エスパルスから期限付き移籍で北九州に加入し、3年目のシーズンとなっている。
1年目はJ2昇格、2年目にはJ2で躍進の立役者となった。
3年目の今シーズンは開幕からフル出場を続け、チームトップの8ゴールを挙げる活躍を見せている。
だが、チームは残留争いに巻き込まれているだけにチームを救う活躍を見せたい。

7.展望

北九州は昨シーズンの躍進から一転、残留争いに巻き込まれ苦しいシーズンとなっている。
だが、昨シーズンと特別やっていることが変わっているわけではない。
特にボール保持へのこだわりは強く持っている。
丁寧にショートパスを繋ぎ、前進を図っていくチームだがビルドアップは相手の状況を見て使い分ける。
まずは、ベースとなる442の形でのビルドアップ。

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甲府が541でブロックを敷く場合には陣形を崩さずボールを回していくのではないだろうか。
また、甲府のように可変をしながらビルドアップをすることもある。

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3バックの選手が中盤に上がる甲府とは違い、北九州はボランチの選手が降りてくる形でビルドアップを行う。
サイドで幅を取る役割はSBが担い、前線の選手は中央に密集する形でポジションを取る。
甲府はボールを奪いに行く際にボランチの野津田が前線にまで上がり、プレスを掛けていくがこの際には可変を行うビルドアップは有効となるだろう。
特に中央に人が密集する形となるだけに山田の脇が空きやすくなる。
シャドーの選手が中を締めることは意識しなくてはいけない。
北九州は密集した中央へ縦パスを差し込み、前向きにサポートした選手を使い前進していく。

丁寧にビルドアップし、前進することを狙うチームであるが強度高くプレッシャーを掛けられるとミスから自陣でボールを失うことも見られる。

この場面は大宮が連動しながら強度高くプレスを掛けたが、北九州は前線に高さがあるチームではないためハイプレスを掛けられると逃げ場が無くなってしまう。
そのため、無理に繋ごうとしてボールを失い先程の映像の場面のように自陣で失うことも出てくる。
無理に繋ぎに来たところを狙い撃ちし、ボールを奪いカウンターに出ていくことが理想だが、ロングボールを蹴らなくてはいけない状況に追い込むことで前線に蹴ったボールを跳ね返し、セカンドボールを拾う流れも作りたい。

ビルドアップから前進を図れると幅を使い、ゴールに迫る。
SBからのクロスでゴールに迫る形も作っては来るが、幅を取ることの最大の狙いは相手DFラインを横に引き伸ばすこと。

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DFラインを引き延ばし、相手のSBあるいはWBを吊り出すことで空けた背後のスペースへ2列目の選手が飛び出すことを狙う。
特にメンデスの背後はどのチームも狙ってくるもの。
北九州の右サイドでは高橋がサイドに張り、福森がインサイドから入ってくる甲府の左サイドで見せるようなプレーもあり北九州の狙いも嵌まるため、警戒しなくてはいけない。
WBと連携しながらメンデスを吊り出されない状況を作りたい。
逆にSBが高い位置を取ってくるため、背後にはスペースはあるので素早く突きたい。

甲府がボールを保持する展開となると北九州は442の形でブロックを敷き、前線から規制を掛けながら中央を封鎖する。

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昨シーズンとの一番の違いは守備の強度ではないか。
ハイプレスを掛け、相手に自由を与えない守備をしていたが強度が落ち簡単に前進を許すことが増えた。
ボールを失った直後に奪い返しに行くことは今シーズンも行っているが、継続性も昨シーズンと比較すると落ちている。
前線がボールを奪いに行くのに合わせ、DFラインも連動してハイラインを敷いたり、相手を捕まえにいきたいが今シーズンはあまり上手くいっていない。
ボールを奪いに行く際はブロックを組み2トップで中央を封鎖しながらSHが出ていき、SHが出たエリアにはSBが縦にスライドする形でポジションを上げ、相手選手を掴めに行く。
SBの裏のスペースはCBが埋めるのではなくボランチが中央から流れた選手に付いていくことで空けたスペースを消していく。

この場面でもわかるが、連動してはいるものの遅れてついていくことが多くプレスに出ていくことで相手に前進を許すきっかけを与えていることもある。

この場面では前からプレスに出ていったが、強度は低くプレスバックも遅くなり回避されたことでライン間からの前進を許した。

良いチームではあるが、強いチームとはいえないのが今シーズンの北九州ではないか。
良いチームではあるだけに噛み合えば力を発揮するが、上手くいかなくても勝ち点をもぎ取る強さは持ちきれていない。
だが、残留争いから抜け出すために必死に戦ってくるだろう。
事実、前節は苦しい試合ながら勝ち点を持ち帰っている。
北九州に対し、勝ちたい気持ちで上回り隙を与えず戦い抜きたい。
連戦の最終戦となりコンディション的には厳しいことが予想されるが、チームの総合力を活かし勝点3を掴み取りたい。

8.あとがき

昇格の可能性は2戦足踏みをしたことで遠のいてしまった。
それでもまだ可能性はあり、残り試合昇格の有無に関わらず戦い抜いて欲しい。
まずは目先の一戦。
泣いても笑ってもこのチーム、このメンバーで戦う試合は残り5試合しかない。
伊藤監督に続投要請をしたと報道にも出たように来シーズンに向けて人事も動き出している中、甲府の一員として来シーズン戦ってくれるかは定かでない選手もいる。
選手達には悔いなく、シーズンを終えて欲しいと思うがサポーターとして2021シーズン甲府の一員として戦ってくれた人達の勇姿を目に焼き付けたいと思っている。

北九州は昨シーズンの躍進から一転、残留争いに巻き込まれ崖っぷちに追い込まれている。
残留圏との差は勝ち点5。
簡単に埋まる差ではないが、J3の結果次第では降格チームも減る可能性はあるだけに勝ち点を積んでいきたい。

最後に今シーズン限りでプレビュー、レビューを書くことを辞めようと思います。
何度も辞めることは考えてきましたが、その都度もう一度頑張ってみようと続けてきました。
中断期間にはやり方を見直し、負担では無くなってきましたが来年はアウェイ観戦を増やしたいと考えており両立は厳しいと思っています。
ただ、昇格したら来年もやります笑
やはりJ1でやってみたい思いはあるので。
来年続けるとしたら昇格した場合かまた感染が広がり現地観戦が困難になった場合です。
昇格して続ける未來が来たら最高です。
2シーズン頑張ってきましたが、たくさんの人に見てもらいたいと思う反面SNSが自分に向いていないこともあり悩みも多くありました。
ただ、続けてきて良かったと思っています。
文章を書くことに楽しみは見出しているので観戦記シリーズは続けたいとは考えております。
未來ある選手を紹介し、クラブスローガンでもある未來へを自分なりの形で表現出来たらなと思います。
残り5試合最後までお付き合いいただけると幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。


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