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J2第6節 V・ファーレン長崎戦 プレビュー
前節、ホームで町田に敗れ今シーズン初黒星を喫した甲府。
今節の相手はアウェイで長崎との一戦となる。
1.対戦成績
長崎は2013年にJリーグに加入したが、当時甲府はJ1におり対戦は実現して来なかった。
2018年に甲府がJ2に降格したが、長崎がJ1に上がったことでまたも対戦ならず。
翌年長崎がJ2に降格してことで、初めて対戦が実現しそこから天皇杯含めて5度の対戦を経てきた。
共にホームで勝ちを収めてきたが、昨年長崎の地で初めて引き分けとなった。
なお、その試合で長崎のJ1昇格の夢が絶たれることとなった。
通算成績は上記に全て載っているように2勝1分2敗。
五分五分の成績となっている。
共にホームで勝利を収めてきたため、甲府は長崎の地でいまだ勝ち無しとなっている。
昨年の対戦で初めて引き分けに持ち込むことができた。
2.前節
甲府
開幕から4戦負け無しで、3連勝とスタートダッシュに成功した中でホームに町田を迎えた一戦となった。
残念ながら為す術なく敗れてしまった。
試合内容についてはレビューをご覧下さい。
長崎
前節琉球戦からスタメンを5人変更して望んだ一戦。
立ち上がりから共にボールを握り試合を進めたい一戦となるが、お互いにシュートまでは至らない。
ピッチを広く使い長崎守備陣を広げていく大宮が17分にハスキッチの得点で先制する。
秋野を中心にボールを動かしていくが、コンパクトに自陣にブロックを作り守る大宮に対し、効果的な攻撃ができない長崎。
一方、大宮は前線でハスキッチが起点となりサイドチェンジを多用し長崎を揺さぶっていく。
32分にはカウンターから大宮に追加点が生まれる。
長崎はボールは持っているが外回りにしかボールが回らず、ミスも多いことでゴールに迫れない展開が続く。
前半は形を作れないまま終えてしまう。
長崎は後半開始から江川、加藤大に代えて加藤聖、ルアンを投入する。
立ち上がりは攻勢に出る長崎だが、次の得点も大宮。
54分にDFラインを破られ、最後は小野に決められてしまう。
58分には名倉に代えて富樫を投入する。
65分に大宮は石川、黒川に代えて三門、松田を投入する。
69分には大宮がまたも2人交代する。
中野、ハスキッチに代えて大澤、矢島を投入する。
大宮の442で構えるブロックを崩せない長崎は隙を見せ、4点目を奪われる。
大宮ボールのスローインという判定に対し、長崎の選手は抗議のため足を止めたことで失点となった。
75分にはエジガルジュニオに代えて玉田を投入する。
90分には大宮が小野に代えて翁長を投入する。
ミスが多く、4点目はセルフジャッジで失点と全くいいところが無く連敗となった。
3.今季成績
両チーム比較
前節今季初黒星を喫し、順位を4位に下げた甲府だが悪くないスタートを切ることはできた。
一方の長崎は開幕からわずか1勝と昇格候補に挙げられながらも、苦しいスタートとなっている。
順位も19位とまさかの降格圏に沈んでいる。
アウェイで負け無しの甲府とホームで負け無しの長崎の一戦となる。
甲府
毎試合書いているため、今後は甲府側は軽めに書きたいと思う。
直近5試合の成績
5節終了時点のため、今シーズンの全試合となるが3勝1分1敗と良い成績となっている。
昨年出来なかった4連勝に挑戦した前節だが、またも失敗に終わってしまった。
再度勝ちを積み上げ、改めて挑戦したい。
前節までと比較すると負けたこともあり、数値を落としたものが多くなった。
一方で、パスの本数は町田にボールを持たされていたこともありボール支配率と共に増加した。
主体的にボールを握ることでパス数、ボール支配率を高めるようにしたい。
長崎
直近5試合の成績
昨年は4位以下を大きく突き放しての3位と昇格候補に挙げられたチームだが、開幕から勝ちきれない試合が続いている。
ここまで1勝1分3敗と監督交代が裏目に出た苦しいシーズンとなっている。
攻撃面のスタッツは軒並み優秀であることがわかる。
唯一ゴールを除いて。
パス数、ボール支配率を見てもボール保持をベースにしているチームであることが伺える。
ドリブル数、クロス数も多く攻撃的なチームと言えるが得点が入っていない。
5試合で4得点と攻撃面のスタッツ、攻撃陣のタレントから考えても低調な数字となっている。
上記で触れた得点の内訳を見ていくと半数がセットプレーからとなっている。
共にCKから生まれた得点であり、キッカーである秋野からは質の高いボールが供給されている。
一方、攻撃面以上に深刻なのが守備面。
5試合で10失点と1試合平均で2失点となっている。
2試合連続で大量失点を喫していることが大きな理由であるが、開幕から全試合で失点している。
中でもクロス、こぼれ球からの失点が最多となっているが失点場面を見ていくとサイドを破られる場面が多くなっている。
得点が決まらないこと、失点が多くなっていることは上記でも触れたがシュート成功率、被シュート成功率を見てもデータ上にも表れている。
攻撃ではチャンスは作れており、シュートは打てているが、決定的なシュートシーンを作れず。
守備てもチャンスは作らせておらず、シュートも打たれていないが決定的なシュートを許す場面が多くなっているのだろう。
4.予想スタメン
甲府
前節、前線の動き出しに課題を持っただけに前線の選手を入れ替えてくるのではないか。
最前線には有田をシャドーには長谷川の起用を予想。
背後への動き出しが無かったことから宮崎の起用も考えたが、長谷川と予想した。
長崎が空けるであろうスペースを考えての予想である。
中盤には山田に代えて野澤を起用してくるのではないか。
長谷川と共にパスが出せる選手を起用することで、前線の選手が信頼をして背後へのランニングも増えてくるだろう。
また、別メニュー調整となっていた山本は合流しているとのことで復帰を予想した。
山本からも配球されるだけに前線の動き出しにも変化は生じるだろう。
長崎
前節から3人の変更を予想した。
2試合続けて失点が重なっている中、ハイプレスを掛けたいスタイルと後方の連携面を考えエジガルジュニオとフレイレに代えて富樫と新里を起用してくるのではないか。
また、左SBには加藤聖の起用を予想。
毎熊、亀川とJ2屈指のコンビを欠いているようでSBを固定できずにいる。
前節プロ初出場を果たし、積極的なプレーを見せていただけに苦しむ長崎にきっかけを与える存在となるかもしれない。
5.注目選手
甲府
泉澤仁
前節泉澤を封じられたことで攻撃の停滞を招くこととなった。
甲府最大の武器である泉澤の存在に依存しがちだが、泉澤が相手を引き付けることで味方を活かす場面も見せたい。
そのためには泉澤にボールを集め、時間を作ることが必要となる。
今節の泉澤にはドリブル突破以上に荒木や野津田を「使う」プレーに期待したい。
長崎
秋野央樹
長崎のキャプテン。
昨シーズン長崎の地で甲府と引き分け、昇格を絶たれた後見せた涙を覚えている甲府サポーターの方もいるのではないか。
J1でも充分通用するだけの実力者だが、今シーズンも長崎でのプレーすることを決め昇格することを目指しスタートしたシーズンであったはず。
チームは開幕ダッシュに失敗したが、巻き返しを図るためにはキャプテンの存在は必要不可欠であろう。
6.展望
長崎がボールを保持し、試合を進めていく展開が予想される。
ボールを保持する際には、秋野がDFラインに下がり両SBを高い位置に押し出す形へと可変する。
これにより、両サイドの選手が内に入りボランチ脇のスペースでボールを引き出すことを狙う。
甲府としては、長崎のビルドアップに対し両シャドーがプレスに行くことで自由を与えないことを狙うだろう。
長崎としては、中盤での数的優位を活かしボールを保持し前進を試みていきたい。
甲府は同数でのプレスとなるため、回避されず徳重に下げさせ蹴らせる展開としたい。
秋野、二見、新里は足元も巧みでキックの精度も高いため、彼らに蹴らせてしまうと町田戦の失点場面のようなボールが出てくるリスクはある。
そのため、足元の技術やキックの精度が高いとは言えない徳重に蹴らせる場面を多く作りたいところ。
気をつけなくてはいけないのが、ボランチ脇(甲府ではホールと呼んでいる)で両サイドの選手がボールを引き出した場合。
CBが出ていくことでその背後を突かれる危険性が出てくる。
前節コミュニケーション不足から失点を許したが、今節はハッキリとしたプレーが求められる。
出て行かざるを得ない場面は出てくると思われるが、なるべく中盤のスライドで対応したいところ。
個々の能力が高い長崎相手にはゴール付近でズレを生じさせたくはない。
そのため、中盤のスライドで対応することでゴール前に隙を作らないようにしたいところ。
シャドーの選手には守備面での貢献が多く求められる。
長崎のボール保持に対し、甲府としては中盤で引っ掛けカウンターへと繋げて行きたい。
この際、秋野が後方へと下がっているため、カイオの両脇は空く傾向にある。
昨シーズンは空けてもカイオの圧倒的な身体能力により、問題とはならなかった。
だが、今シーズンはコンディションが上がりきっておらず、潰しきれないことが多くなっている。
敢えて長崎にボールを持たせ、意図的にカイオの両脇を空けさせ突いていくことを狙う可能性もある。
ボール保持の局面では甲府も可変を行うチームである。
今節スタメン予想した山本をアンカーへと上げ、荒木が前節も見せた内よりのポジションを取る形でのビルドアップを行うと予想する。
長崎はハイプレスを仕掛け、高い位置でボールを奪うことを狙うチームである。
それに対し、甲府は5人でビルドアップすることで、長崎の2列目から前の4人に対し数的優位を保ちボールを保持し前進を図りたい。
また、両サイドは泉澤と関口が張り相手のDFラインを広げたい。
カイオはセットして守る場合でも持ち場を離れてボールを奪いに出てくる。
上記で触れたように、昨シーズンはカイオの身体能力に助けられた場面は多かったが、コンディションが上がりきっていない今シーズンはマイナスに作用している。
上の図は泉澤にボールが入った時のイメージとなる。
長崎としては前節、町田が見せたように泉澤に対し、人数を掛けて守ってくるだろう。
対面する鍬先と名倉のプレスバックにプラスしてカイオが出てくることが想像できる。
これにより、全体が甲府の左サイド方向へとスライドしてくるが秋野の周辺は空いてくる。
伊藤ヴァンフォーレを語る際に出てくる「ホール」を甲府としては突いていきたい。
泉澤に人数を掛けて守ってきた町田に対して、効果的に「ホール」を突いていくことができなかった。
サイドから泉澤の突破一辺倒では、得点に繋がる場面はなかなか作れないことは前節わかった。
上記のように、長崎はサイドでの守備やクロスからの失点が多くなっているため、狙いどころとしたいが長崎としても警戒を強めてくるところ。
サイド攻撃に強みを持つ甲府としては、囮に使うことで攻め手を増やしたい。
そこで、大宮戦のように泉澤が外に引っ張り、「ホール」に荒木が飛び込んでくる形を増やしていきたい。
そのためには、前節欠けていた背後へのランニングを増やしたい。
最前線の有田が飛び出すことで、「ホール」で浮く野津田を活かす形。
シャドーの野津田が飛び出すことで、CBを吊り出しそこへ荒木が飛び込む形。
バリエーション様々に「ホール」を突いていくことができる。
ボールを持たれていても、ボールを持っていても長崎の「ホール」は空いてくる。
そのため、「ホール」でのプレーに強みを持つ長谷川の起用を予想した。
左サイドでは3人のコンビネーションで崩し、右サイドでは長谷川のプレーメイクに期待したい。
また、町田戦では取らなくてはいけない立ち位置を取れずやりたいことが出来なかった。
まずは伊藤監督が積み上げてきたものを振り返り、原点に立ち返り迎える一戦としたい。
そして、最大の鍵は長崎のタレント力にいかに対応できるかとなる。
J1のチームに交じっても、見劣りしないタレントを揃えている。
予想したスタメンはハイプレスや連携面を考慮したメンバーとなったが、ルアンや玉田、大竹といった違いを作れる選手、都倉やエジガルジュニオと決定力に長けている選手も揃えている。
チームとして上手くいっているシーズンではないが、チーム状態関係なく一発で仕留められる選手は多くいるだけに警戒しなくてはいけない。
7.あとがき
前節の悔しさはまだ晴れてはいない。
この悔しさは勝つことでしか晴らせない。
それはお互いに感じながら望む試合となる。
特に長崎としては昨シーズン昇格を絶たれた相手でもあるだけに、モチベーション高く望んでくるだろう。
愛媛、町田とモチベーションが高い相手に続けて苦戦をしているだけに厳しい試合となる。
これだけのタレントを揃えた長崎が降格圏に沈むタフなリーグに簡単な相手はいない。
一戦、一戦が勝負であり、毎試合が難しい試合となる。
サッカーは相手があるものであり、研究もされるもの。
上手く行かなくてもサポーターにできることは応援し、支えること。
長崎まで行かれる方もDAZNで観戦される方も一丸となり、応援しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。