見出し画像

観戦記③

3回目の今回は前回の続き。
第100回全国高校サッカー選手権大会山梨県予選準決勝、第2試合日本大学明誠高校対韮崎高校。
第98回大会の山梨の王者と山梨県では最多の34回の出場を誇る名門校の一戦。
ヴァンフォーレの試合開始時間に間に合わないが、生観戦を優先した。

1.学校紹介

日本大学明誠高校
☆全国大会成績
・全国高校選手権出場1回
1回戦敗退(19年度)

☆今季成績
・県下高校サッカー新人大会 ベスト16
・県高校総体サッカー大会 ベスト8
・全国高校総体サッカー競技県予選 ベスト4
・県リーグ1部 5位 

☆主なOB
無し

画像1

韮崎高校
☆全国大会成績
・全国高校選手権出場34回
準優勝5回(第18回大会、第31回大会、第58回大会、第60回大会、第61回大会)、4強5回(第34回大会、第46回大会、第48回大会、第59回大会、第62回大会)
・全国高校総体出場30回
優勝1回(75年)、4強2回(76、81年)

☆今季成績
・県下高校サッカー新人大会 4位
・県高校総体サッカー大会 準優勝
・関東高校サッカー大会Bグループ 準優勝
・全国高校総体サッカー競技県予選 準優勝
・県リーグ1部 3位

☆主なOB
大柴克友(ヴァンフォーレ甲府コーチ)
仲田建二(FC岐阜ヘッドコーチ)
中田英寿(元日本代表)
石原克哉(ヴァンフォーレ甲府U18コーチ)
柏好文(サンフレッチェ広島)

画像2

2.スタメン

画像3

日本大学明誠高校
1.永田 優斗【FC杉野】2年
2.津田 祐秀【FC府中】3年
3.星野 孝侑【FC府中】2年
4.安達 敬亮【FC府中】3年
5.柴田 匠【FC多摩】3年
6.橋本 凛【FC Branco 八王子】2年
7.佐々木 秀斗【FC府中】2年
8.神田 健太【GA FC】3年
10.大月悠希【FC町田ゼルビア】2年
11.平田 周【FC町田ゼルビア】3年
9.粟生田 快【FC GABE】3年

韮崎高校
1.名取 拓海【若草中】3年
2.平賀 大輝【日本航空学園FC.甲斐CIELO】3年
3.岡田 聖亜【フォルトゥナSC】3年
4.大野 孔之【ヴァンフォーレ甲府】2年
5.渡邉 優星【FCラーゴ河口湖】3年
6.土屋 葉月【若草中】3年
7.佐藤 寧峰【韮崎SC】3年
8.萩原 悠翔【ヴァンフォーレ甲府】2年
19.赤池 駿【増穂GlanzSC】2年
10.鈴木 斗真【一宮中】3年
11.熊谷 顕士【フォルトゥナSC】3年

3.試合展開

立ち上がりは韮崎がテンポ良くボールを動かしていく。
だが、先手を取ったのは日大明誠。
左サイドを抜け出した粟生田選手がゴール前にクロスを上げると大外から飛び込んだ大月が合わせ、日大明誠が先制する。
先手を取られたこともあり、韮崎がボールを保持し日大明誠がカウンターから活路を見出すこと展開が強まる。
韮崎は幅、深さを取りボランチが縦関係となりながら2トップがライン間でボールを引き出しながら前進を試みる。
追いかける韮崎だが、26分にCKから同点に追いつく。
右サイドからのCKを渡邉選手がゴール前に送ると岡田選手が合わせ試合を降り出しの戻す。
追いつかれた日大明誠だが、続け様にCKを獲得し得点を取りにいくが韮崎が耐え抜く。
その後は日大明誠がボールを保持する流れとなるが、ミスも多くなり韮崎ゴールに迫れない。
両チーム共に10番を中心に攻撃を仕掛けていくが、スコアは動かず同点でハーフタイムを迎える。
後半に入り、日大明誠が右サイドからの攻撃を多く仕掛け勢いを持った立ち上がりとなる。
48分に韮崎が最初の交代を行う。
熊谷選手に代えて坂本選手を投入する。
坂本選手が前線にスピードと勢いをもたらしていく。
53分に日大明誠は神田選手に代えて高橋選手を投入する。
57分には韮崎が土屋選手に代えて外川選手を投入する。
共に選手交代を行い攻勢を強めていく。
すると両チームに決定機が訪れる。
まずは韮崎。
DFラインの背後へ抜け出した坂本選手がシュートを放つが、枠を捉えられず。
直後には日大明誠に決定機。
右サイドからクロスが上がるとファーサイドで折り返し中で合わせるがゴールライン上で名取選手が抑える。
飲水タイムを経て会場もヒートアップしていく。
盛り上がりを見せるスタンドに合わせ、共にセットプレーからゴールに迫るも得点は奪えない。
73分には韮崎がCKのピンチからカウンターでチャンスを作る。
萩原選手のパスを受けた坂本選手がシュートを放つが永田選手が防ぐ・
直後に韮崎は赤池選手に代わり平井選手が投入される。
これにより、平井選手は2トップの一角に入り坂本選手が右サイドにポジションを移す。
74分には鈴木選手からのCKにファーサイドで萩原選手が合わせるがポストに阻まれる。
日大明誠も78分に星野選手のクロスを受けた粟生田選手が合わせるが枠の外へ。
同点のまま80分を終え、延長戦に投入する。
すると延長前半2分に韮崎がリードする。
右サイドいら岡田選手がロングスローを入れるとゴール前で混戦となり、こぼれたボールはゴールマウスの中へ。
得点者は不明だが、オウンゴールか?
リードを奪ったのも束の間、日大明誠が追いつく。
左サイドからのCKは津田選手がゴール前に入れる。
すると柴田選手が合わせ試合は振り出しに戻る。
延長後半になると最初にチャンスを掴んだのは日大明誠。
中央を繋いで崩すと粟生田選手がシュートを放つが枠を捉えれず。
2分には平田選手に代えて久保選手を投入する。
5分に韮崎がリードを奪う。
左サイドからのクロスから始まった攻撃は平井選手からのパスを受けた大野選手がゴールに蹴り込み韮崎が勝ち越す。
9分に日大明誠に決定機。
右サイドからのクロスを受けた粟生田選手が冷静に切り返しDFを倒すもシュートは枠の外へ。
リードを保った韮崎が決勝戦の切符を掴み取った。

4.注目選手

日本大学明誠高校
2.津田 祐秀

攻撃参加が持ち味の選手。
前半はバランスを取っていたが後半に入り積極的なオーバーラップでチームに勢いをもたらした。
後半の立ち上がりの姿勢に甲府は後手に回った。

4.安達 敬亮
左利きの大型CB。
高さを兼ね備えるだけでなく、ビルドアップにも貢献できる現代的なCB。
左利きで大型な足元の上手いCBはそれだけで価値の高いタイプである。
全国レベルでのプレー経験は少ない選手であると思うが、今後の環境次第では化ける可能性を持った選手である。
これからの活躍に期待したい。

6.橋本 凛
左利きのプレーメーカー。
セットプレーのキッカーも務め、攻撃の起点となる存在である。
常にバランスを意識する選手であるが、機を見て攻撃参加し攻撃に厚みをもたす存在であった。

10.大月悠希
2年生10番。
日大明誠の2年生10番と言えば97回大会の五十嵐圭暉をイメージさせられるが、違ったタイプの選手となる。
スピード豊富に攻守共に献身的な姿勢を見せる。
左右両足を使えるアタッカーであり、来年度の活躍を見せたい。

9.粟生田 快
最前線で相手を背負ってのポストプレーよりもDFラインの背後へ抜ける上手さを持ったストライカー。
献身的な姿勢も兼ね備え、自ら得点を挙げるだけでなく味方を活かすこともできるチームプレイヤー。
だが、得点に無欲なわけでもない。
気持ちを全面に出して戦う姿も魅力な選手であった。

韮崎高校
1.名取 拓海
精度の高いキックが持ち味の選手。
攻撃の起点となり、一発で局面を変えられるキック力も備えている。
ビルドアップに参加する回数を増やしても面白そうな選手である。
キックがウリの選手だが、本業のGKとしての活躍も見逃せない。
強烈なミドルシュートを弾くのではなく、キャッチした場面は驚いた。
安定感のある安心できるGKである。

4.大野 孔之
決勝ゴールを決めたこともあり、目立つこととなったが試合を通して最も目立たないタイプの選手ではないか。
派手さは無いが、目立つミスも無い。
カバーリングや読みでピンチを未然に防ぐため注目を浴びることは少ないかもしれない。
だが、目立たないことはDFによっては大事なことである。

7.佐藤 寧峰
韮崎の心臓。
ボールある所に佐藤ありと言っても良い程、常にボールに絡み続ける選手。
無駄に走り回るだけでなく、読みも鋭く、小柄な摂取ではあるがヘディングやフィジカルも弱くない。
一学年上の真壁龍輝(神奈川大学)に似たタイプの選手であり、サッカーを続けるかわからないが大学でも活躍が期待できる。
味方を鼓舞する姿勢を含め、メンタリティーも素晴らしく心技体揃った選手だ。

8.萩原 悠翔
佐藤が「動」のボランチなら萩原は「静」のボランチだ。
ヴァンフォーレのアカデミーに所属していた時には10番を背負い前線でプレーしていたが、攻守に貢献できるボランチに成長した。
技術力も高く、サッカーIQも高い選手であるためセンターラインならどこでもこなせる器用さも持った選手だろう。

10.鈴木 斗真
全てがハイレベルな万能型のストライカー。
ボールを持っていてもいなくてもチームに貢献できる選手で、ゴール前ではDFの頭越しに浮き球のパスを出すアイディアや意外性も持っている。
セットプレーのキッカーとしても優秀であり、CKから直接ゴールに向かうボールをいくつも蹴っていた。
今後が楽しみな選手で柏好文(サンフレッチェ広島)以来のJリーガーとなれる可能性を秘めた選手だ。
名前を覚えておいて損は無いだろう。

5.あとがき

県下最大の部員数を誇る日大明誠の戦いは準決勝で幕を下ろすこととなった。
近年は安定してベスト4に上がってきており、再び全国の舞台に立つ日も遠くは無いだろう。
東京に近い上野原市に学校があるだけに、日大明誠が安定して全国に出られるようになると有望な選手が集まりやすい環境でもある。
山梨のレベルがより上がるためには日大明誠の存在は必要不可欠だろう。

韮崎は新人戦を除き、主要大会は全て決勝進出を果たすこととなった。
これまでは全て決勝で敗れ、シルバーコレクターとも言われているが記念すべき100回大会に韮崎が全国大会に出ることを期待するサッカーファンは多くいるだろう。
決勝の相手は山梨学院。
新旧山梨の雄の激突は100回大会にふさわしいカードである。

高校サッカーの魅力が詰まった試合であった。
レベルの高さは第1試合の方が高かったかもしれないが、面白さはこちらの方が大きかった。
もっと長く試合を見ていたい。
そう思わされる試合であった。
小瀬に来て良かったと思える2試合だった。
サッカーは面白いものである。
決勝戦たくさんの人に見てもらいたいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!