観戦記⑬
13回目はレモンガススタジアム平塚に向かった。
DENSO CUP SOCCER第19回大学日韓定期戦、全日本大学選抜対全韓国大学選抜の一戦。
将来のJリーグが集う一戦を観戦してきた。
1.スタメン
全日本大学選抜
スタメン
GK 1.飯田 雅浩【国士舘大学】4年
DF 2.奥田 勇斗【桃山学院大学】3年
DF 3.岡 哲平【明治大学】3年
DF 5.中野 就斗【桐蔭横浜大学】4年 *サンフレッチェ広島加入内定
DF 13.三浦 颯太【日本体育大学】4年 *ヴァンフォーレ甲府加入内定
MF 7.泉 柊椰【びわこ成蹊スポーツ大学】4年 *ヴィッセル神戸加入内定
MF 11.齊藤 聖七【流通経済大学】4年 *清水エスパルス加入内定
MF 14.熊澤 和希【流通経済大学】4年
MF 17.植村 洋斗【早稲田大学】3年
FW 9.木村 勇大【関西学院大学】4年 *京都サンガF.C.加入内定
FW 10.落合 陸【東京国際大学】4年 *柏レイソル加入内定
ベンチ
GK 12.近藤 壱成【法政大学】4年
DF 4.相澤 佑哉【駒澤大学】4年
DF 16.速水 修平【常葉大学】4年
DF 18.高木 践【阪南大学】3年
DF 19.関根 大輝【拓殖大学】2年
MF 6.オナイウ 情滋【新潟医療福祉大学】4年
MF 15.倍井 謙【関西学院大学】3年
MF 22.藤井 海和【流通経済大学】2年
MF 23.小酒井 新大【中京大学】3年
FW 8.山田 新【桐蔭横浜大学】4年 *川崎フロンターレ加入内定
FW 24.小森 飛絢【新潟医療福祉大学】4年
全韓國大学選抜
スタメン
GK 1.キム ソンドン
DF 2.チェ ガンヒ
DF 3.キム フンミン
DF 4.チョン ヒョンビョン
DF 6.チョ ソングォン
DF 22.パク ジウ
MF 9.オ ジュニョプ
MF 12.パク ジュンベ
MF 14.チャン ジュニョン
FW 10.キム ゴノ
FW 16.パク ファンヒ
ベンチ
GK 21.キム テジュン
DF 5.キム カンヨン
DF 18.ユ ドンヒョン
DF 20.イ ドンジン
MF 7.コ ミンソク
MF 8.イ ジョンユン
MF 11.ノ テソン
MF 13.キム ドングォン
MF 15.ソン ジュミン
MF 17.ファン イルファン
MF 19.パク ハンイル
MF 24.イ ギュビン
FW 23.チョン スンベ
2.試合展開
日本のキックオフで始まった一戦。
5分に日本は木村選手が右サイドからドリブルで運びクロスを入れると最後は落合選手が合わせるもGKのキム ソンドン選手が防ぐ。
立ち上がりから共にセットプレーが多く、試合が止まる流れとなる。
11分に日本が先制に成功する。
奥田選手が右サイドを突破すると中野選手がクロス。
こぼれ球を齊藤選手が押し込み先手を取る。
先制を許した韓国はギアを上げ、球際激しく戦うようになる。
日韓戦らしい熱い試合となり、共に強度の高い試合となっていく。
14分には左サイドを木村選手が突破してシュートを放つもキム ソンドン選手が防ぐ。
19分にも日本のチャンス。
三浦選手がドリブル突破からクロスを上げるとキム ソンドン選手が弾いた所に落合選手が詰めるもDFがライン上でクリアする。
韓国はフィジカルや球際の激しさだけでなくテクニックを持った選手も多く、テンポの良いパス回しでプレス回避する上手さも見せる。
だが、韓国はミスも多くチャンスを作るまでは至らない。
一方の日本もボールは持てるがチャンスは作れない展開となり、均衡した流れとなる。
終盤はオープンな展開となり韓国もゴール前に迫れそうにはなるが決定機を作ることができず前半を終える。
後半開始からは共に選手交代は行わず同じメンバーでキックオフとなる。
前半同様の流れで日本のボール保持が多いもののチャンスは作れない流れとなる。
54分には韓国が最初の交代を行う。
チェ ガンヒ選手に代えてファン イルファン選手を投入する。
しかし試合を動かしたのは日本。
56分飯田選手のロングボールを奥田選手が落とすと植村選手のスルーパスに抜け出した木村選手がキム ソンドン選手をかわし、追加点を決める。
57分に日本は落合選手と泉選手に代えて山田選手と倍井選手を投入する。
59分に中盤でボールを奪った熊澤選手からのロングボールに抜け出した山田選手が右足に持ち替えてファーサイドへクロスを送ると木村選手がヘディングで合わせ、日本がリードを3点に広げる。
このゴール後に韓国が2人の交代を行う。
チャン ジュニョン選手とチョン ヒョンビョン選手に代えてコ ミンソク選手とイ ドンジン選手を投入する。
62分には日本も交代を行う。
植村選手に代えて小酒井選手を投入。
66分には韓国がキム ゴノ選手に代えてチョン スンベ選手。
続けて68分にも交代を行う。
キム フンミン選手に代えてソン ジュミン選手を投入する。
72分に日本は奥田選手からのロングボールに右サイドを抜け出した山田選手がグラウンダーのクロスを入れるとまたも木村選手が合わせ4-0とする。
これで木村選手はハットトリック達成となった。
直後に日本は齊藤選手に代えてオナイウ選手を投入する。
ここからそのオナイウ選手が自慢のスピードで魅せていく。
75分にワンツーから右サイド抜け出したオナイウ選手のクロスに山田選手が合わせるもDFがクリアする。
直後のCKでは三浦選手からのボールに合わせるもポストに当たり得点ならず。
81分にもオナイウ選手からのクロスに熊澤選手がボレーで合わせるもキム ソンドン選手が防ぐ。
ここで日本は熊澤選手に代えて藤井選手を投入。
その直後のCKでオナイウ選手からのボールを三浦選手が折り返すと山田選手がボレーで合わせ、リードを5点に広げる。
このまま日本がリードを守りきり、勝ちきった。
まさに日本の圧勝。
先日のAFC U23アジアカップに続いての快勝とこの世代は日本がリードしていることを示した。
3.注目選手
全日本大学選抜
2.奥田 勇斗
サッカーを良く知っているなと感じるSB。
ビルドアップに加われるタイプの選手。
1点目の場面のように幅を取っても仕事ができ、中央に入ってもパスを捌くこともできる。
味方を活かす側にも活かされる側にも回ることができ、使いやすいタイプの選手だ。
まだ3年生ということもあり、SBが欲しいチームから争奪戦となりそうな逸材。
川崎フロンターレやFC東京、横浜F・マリノスといったチームにフィットしそうだ。
小柄な選手でも活躍できることを証明する選手だ。
5.中野 就斗
サンフレッチェ広島への加入が内定しているCB。
CBとしてフィジカルの強い韓国人選手相手にも負けない強さを持ち、SBでもプレーできそうなスピードも兼ね備えている。
桐蔭横浜大学の選手らしか足元も上手いタイプであり、守るだけでなく攻撃面での貢献度も高い選手となりそう。
3バックを採用する広島へのフィット感は高いだろう。
広島のCBは代表クラスの選手も多いだけにポジションを掴めば一気に代表入りの可能性も出てくるはず。
代表では大学の先輩山根視来選手のようにSBで活躍するのではないだろうか。
6.オナイウ 情滋
日本代表経験もあるオナイウ阿道選手の弟であるが、プレースタイルは全く異なっている。
縦に行くとわかっていても止められないスピードとキレを持ち、その圧倒的なスピードは見るものを惹き付ける魅力を持っている。
また、少ない時間でもインパクトを与えられるプレイヤーであり、終盤の苦しい時間帯に出てくると嫌な選手だ。
WBや3トップでWGを採用するチームは是非獲得を検討して欲しい。
8.山田 新
川崎フロンターレへの加入が内定しているストライカー。
開幕前、甲府のキャンプにも参加し加入が期待されたがJ2のクラブが獲得できるようなレベルの選手では無かった。
スピードを活かした裏抜けからゴールに迫る形は今すぐでもJリーグの舞台で通用しそうだ。
残留を争うクラブでは攻撃を一任できそうな雰囲気もあるが、川崎ではゴール前でのプレーに専念できるはずなのでゴール量産は期待できるだろう。
アカデミー出身の宮代大聖選手、宮城天選手との3トップを川崎フロンターレで見てみたい。
9.木村 勇大
京都サンガF.C.への加入が内定しているストライカー。
この試合で最も輝いた選手であることは間違いない。
ハットトリックを達成したが、裏抜け、ヘディング、ワンタッチゴールとそれぞれ違った形のゴールであった。
多彩な得点パターンを誇り、点の取り方を知っている選手でもあるためパスさえ出てくれば結果は残せる選手だ。
得点以外でも馬力のある仕掛けや競り合いの強さも見せた。
ウタカ後もこの選手がいれば京都はFWに困らないだろう。
13.三浦 颯太
この選手が来シーズン甲府に加入するのかと驚き続けた90分。
安定した足元の技術、対人の強さ、前への推進力、落ちない運動量。
時間が経つ毎にその存在感は増していった。
荒木翔選手の良さも小林岩魚選手の良さも兼ね備えている印象。
WBが主戦場となるだろうが、ボランチや3バックの左でも起用できそうだ。
個人的には3バックの左で見てみたい。
あの時期に内定を出していなければJ1クラブに取られていたはずだ。
既に開幕戦でデビューはしているものの本格的な合流が楽しみでならない。
甲府サポーターの皆様、三浦颯太期待して問題ない選手です!
17.植村 洋斗
日大藤沢高校出身のボランチ。
全日本大学選抜のポゼッションの中心を担った。
高校時代にはテクニックを活かしたドリブルを武器にしていたイメージだったが、ゲームを作るタイプに変わってきた印象を受けた。
安定したパスワークもさることながら2点目のアシストとなったスルーパスのように得点に絡める選手。
来シーズン大学サッカー界の顔となっているかもしれない。
全韓國大学選抜
1.キム ソンドン
安定したシュートセーブでゴールマウスに君臨した守護神。
結果的に5失点を喫しているが、この選手で無ければもっと多くの失点をしていた可能性はある。
それだけ多くのシュートを止めていた。
また、キック力も魅力の選手であり一発でDFラインの背後まで蹴れるのは大きな武器だ。
4.チョン ヒョンビョン
韓国らしいフィジカルに優れたCB。
とにかく対人、空中戦に強く激しさを伴った選手。
だが、激しすぎる側面もあり試合がヒートアップしていたら退場になっていた可能性もある。
この激しさや強さを上手く活かせると今後楽しみだ。
10.キム ゴノ
小柄なテクニシャン。
足元の技術に優れ、韓国の中で唯一違いを作れる存在であった。
また、体幹が強く自身よりも大きな相手にも簡単に当たり負けしない強さもある。
周囲との連携に苦しんでいた場面もあったが、波長の合う選手やチームでプレーできるとより魅力を増すはずだ。
4.あとがき
未来のJリーグの見本市のような試合。
三浦選手を見に行っただけでも価値はあったが、他にも気になる選手を見つけることができた。
特に奥田選手の存在は楽しみであり、活躍を追いかけてみたいと感じた。
スタメンで出た飯田選手や熊澤選手と高校サッカーで活躍した選手の進路も正式に発表されていないように動向が気になるところでもある。
Jリーグへの内定が決まっている選手も含めてJリーグでプレーする日が待ち遠しい。
1日3試合の観戦はさすがに疲れた。
だが、いずれも素晴らしい試合であり是非お読みいただいた方にも大学サッカーの観戦に訪れて欲しいと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。