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J2第12節 モンテディオ山形戦 プレビュー
前節金沢に勝利し、琉球戦のモヤモヤを晴らす一戦となった。
今節の相手は山形。
監督解任後2連勝と厄介な相手だが、連勝して上位追撃といきたい。
1.対戦成績
過去の対戦成績は14勝10分20敗と負け越している。
J2降格後の成績を見ても1勝2分3敗と分が悪い。
アウェイでの成績は5勝3分14敗と大きく負け越しており、苦手な相手と言える。
だが、過去10試合に絞ってみると3勝4分3敗と五分五分の成績となっている。
伊藤監督就任後でみてみると1勝2分1敗とこちらも五分五分の成績で、そこまで苦手意識はないかもしれない。
2.前節
甲府
ホームに金沢を迎えた一戦。
琉球戦の鬱憤を晴らすような完勝となった。
詳しくはレビューをご覧ください。
山形
アウェイ群馬に乗り込んでの一戦。
前節から2人スタメンを変更。
前節スタメンだった熊本と中村がベンチにもいないことを考えると怪我の可能性もある。
立ち上がりは共に強度の高い入りとなる。
互いにプレスが速く、立ち上がりということもありロングボールが多い展開となる。
切り替えの速さで群馬が上回ることで押し込んでいくが、クロスの質を欠きシュートにまで繋げられない。
徐々に山形は後方からのビルドアップで前進を図る形へとシフトしていくが、群馬のプレスの速さに思い通りにはいかない。
結果、前線に蹴っていくことになるが群馬の畑尾、川上と高さのあるCBに跳ね返される。
最初のチャンスは19分。
國分のクロスに林が合わせるが、惜しくも枠を外れる。
続けて20分にもペナルティエリア内で林がシュートを放つ。
山形は山田康太が足を痛めた影響もあり、前線からの守備の強度が落ちるが群馬も活かすことはできず飲水タイムに入る。
飲水タイムを経て山形はギアを上げていく。
プレーテンポ、強度が増し群馬ゴールに迫っていく。
31分には山形に決定機。
ハーフウェイライン付近でボールを奪うとカウンターを仕掛ける。
林、山田と繋ぎ最後は國分のシュート。
シンプルな攻撃だが前向きな選手を使っていき、勢いを持った攻撃となった。
35分にも連動した攻撃から最後は山田がゴールに迫る。
徐々にゴールに近づく中、山田のシュートから得たCKで先制に成功する。
ゾーンで守る群馬に対し、山形はショートコーナーを使い中原のクロスに藤田が合わせて得点を挙げる。
後半開始から群馬は高木に代えて中山を投入する。
同点に追いつきたい群馬だが、山形が立ち上がりに群馬の出鼻を挫く。
48分に林の得点でリードを広げる。
自陣ペナルティエリア内でのシュートブロックから山田拓巳が持ち上がり、山田康太からのスルーパスに抜け出した林がシュートを決め追加点を挙げた。
55分にも山形がゴールに迫る。
右サイドを中原と半田で崩し、クロスに國分が合わせるが岩上がブロックする。
57分に群馬が平尾に代えて吉永を投入する。
直後に群馬に決定機。
吉永から山形DFラインの背後を突いたパスに田中が抜け出し、GKと一対一となるがビクトルが防ぐ。
61分には山形に大きなチャンス。
山田康太のパスを受けた藤田のミドルシュートは惜しくも枠を外れる。
74分にも山形に決定機。
山田康太のクロスに藤田が落とし、最後は林のシュート。
清水のビッグセーブで防ぐ。
77分に山形は林に代えてルリーニャ、群馬が川上と内田に代えて渡辺と進を投入する。
直後にルリーニャに決定機。
群馬のパスミスを奪い、ロングカウンターからルリーニャが抜け出しシュートを放つも清水の正面へ。
81分に群馬は藤井に代えて久保田を投入する。
84分に群馬が1点を返す。
大前からのCKにファーサイドの田中が合わせ、一点差に迫る。
87分に山形は中原に代えて松本を投入。
91分に山形は國分と山田康太に代えて栗山と吉田を投入し、守りを固める。
試合はこのまま終わり、石丸監督解任後2連勝となった。
3.今季成績
両チーム比較
甲府は勝ち点18の5位につけている。
開幕ダッシュこそ成功したが、失速気味の中前節勝利を収めここから巻き返したいところ。
山形は勝ち点13で13位と開幕前の期待値から考えると低迷と言える。
だが、3勝の内2勝はここ2試合で挙げたもので監督交代が成功している。
また、ホームで多くの勝ち点を落としていることがわかる。
甲府
過去5試合成績
あまり勝ててない印象だが、直近5試合でみると2勝2分1敗と勝ち越している。
前々節は完封負けを喫したが、5試合で8得点と決定力不足からは抜け出しつつある。
いつものデータであり、1試合では大きな変化はないがCK獲得数がリーグトップとなっている。
セットプレーからの得点が圧倒的に多く、CKを獲得するだけでなく得点に繋げていることがわかる。
山形
過去5試合成績
9節の長崎戦での敗戦を受け、石丸監督の解任を発表した。
開幕前は大型補強を敢行し、昇格候補にも推される注目チームであったが7試合勝ちがなく監督交代を決断した。
10節磐田戦では佐藤尽コーチが暫定で指揮を取り、勝利を収めた。
その後、ピーター・クラモスキー監督と川井健太コーチの就任を発表し新体制が確立したがクラモスキー監督は就労環境が整うまで指揮を取れない。
続く群馬戦でも勝利を収めたが、体制に変化があったため、今季のデータは参考にはならないと思うので監督交代後2試合のデータを見ていきたい。
こちらは前々節磐田戦のスタッツとなる。
磐田戦ではボール支配率でも上回られ、シュート数含めスタッツでは磐田に圧倒されていたことがわかる。
磐田の攻勢に耐え、勝利を掴んだ。
こちらが前節群馬戦のスタッツとなる。
群馬戦ではボール支配率では上回られたがシュート数や30mライン、ペナルティエリア侵入回数では上回り効率の良い攻撃できていたことがわかる。
2試合とも共通して言えるのは、ボール支配率では上回られ、被攻撃回数が多くなっていること。
後述するが、速く攻めたいのが山形の特徴であり、そのことがボール支配率やパス数、被攻撃回数の多さに繋がっている。
4.予想スタメン
甲府
前節から3人の変更を予想。
負傷交代した山本、野澤と合流したばかりのリラに代えて新井、山田、有田の起用を予想した。
新井は金沢戦は欠場したものの、練習には合流しているようなのでスタメンに復帰するのではないか?
山田はここまで全試合出場と不安はない。
有田はリラの活躍に刺激を受け、活躍を期待したい。
*サンニチに記載されてしまったため、前日までに考えたものとなります。
山形
前節と同じメンバーを予想した。
監督交代後ベースは同じメンバーで戦っているが、熊本と中村の状態がわからないため継続を予想した。
怪我明けの栗山や新加入のルリーニャを起用する可能性もある。
5.注目選手
甲府
浦上仁騎
新井の復帰は予想したものの小柳が別メニュー、山本が前節負傷交代と開幕から中心となっていたDFラインのベテラン陣にアクシデントが発生している中で新たなDFリーダーとして期待がかかる。
相模原、金沢とスタメンで出た試合は積極的な声掛けでDFラインをコントロールし無失点に貢献。
連勝のために浦上の活躍は必要不可欠である。
山形
山田康太
今シーズン横浜F・マリノスより期限付き移籍で加入した選手。
年代別代表の経験は豊富でU20W杯にも出場した実力者だが、マリノスでは力を発揮できず。
昨年プレーした水戸で才能を開花させ、今季は山形でのプレーを選択した。
「ハマのプリンス」とも呼ばれていた選手だが、今では「山形のキング」とも呼べるだけの存在感を示している。
チームにパワーを与えるエンジンとなる存在だが、山田の活躍が勝利には必要となる。
6.展望
先程触れたように監督交代により、チームスタイルにも変化が生じるため展望は難しい。
昨シーズンはクラモスキー監督がJ1の清水エスパルスで、川井健太コーチが愛媛FCで指揮を取っていたが共にボール保持をベースにした攻撃的なサッカーを標榜していた。
まだ、クラモフスキー監督は指揮を取れないようなので佐藤尽コーチが指揮を取ることになりそうである。
クラモフスキー監督、川井コーチはボール保持にこだわるタイプの指導者であるが石丸監督解任後の2試合は先程も触れたようにボール支配率では下回り勝利を収めている。
クラモフスキー監督が指導できるまでは、ボールを保持し試合を支配する戦い方はできないのではないか。
山形らしい戦い方への回帰とも言えるが、慣れ親しんだ戦いだからこそ結果にも繋がっている。
山形は監督解任という劇薬でチーム状態を高めたのに対し、甲府は前々節の判定を巡る一連の騒動が活力となっている。
共に大きなきっかけを経て、チーム状態が上向きにある中勢いを止めたくない一戦となる。
山形は攻守にパワーを持ち、ハイテンポに試合を進めるチームである。
相手から素早くボールを奪い、素早く攻めきる。
こちらは前々節磐田戦の先制点。
磐田のミスからだが、プレスを掛けたことで誘発したミスとも言える。
こちらも磐田戦から。
敵陣で失ったボールに連動してプレスを掛け、ショートカウンター。
こちらは前節群馬戦での決定機。
連動したプレスから中盤でボールを奪い切り、カウンターへと繋げた。
山形としてはこのような形を多く作りたい。
山田康太がプレスのスイッチ役となり、連動してボールを奪いにいく形が多い。この際、藤田が中盤で睨みを利かせ潰し役となりボールを奪い、回収していく。
甲府としては連動したプレスを回避し、山形を自陣に押し込んでいきたい。
そのためにも今節も相手のプレスを回避するため、捕まらない立ち位置が大事となる。
前節の金沢のように極端なマンツーマンではないため、連動したプレスにハマらないために距離感が大切となる。
広がることで守備側とすると連動してプレスに出ていけないが、その分の甲府側にもリスクはある。
味方との距離が遠くなるということはパスカットされるリスクも高くなる。
そのため、パススピードはもちろんキックフェイント等を駆使し、相手に的を絞らせない配球が必要となる。
前への意識が高いことが仇になる場面も見られる。
いずれもシンプルな形でラインの背後を突かれて前向きにゴールに迫られている。
90分通して高い強度を保ってプレスを掛け続けることはできない。
ましてや中3日の連戦でもあり、足が止まる時間は出てくるだろう。
甲府としては立ち位置でプレスにハマらないだけでなく、緩くなったプレスを見逃さず山形の背後を取っていく作業をしていきたい。
山形は押し込まれると全体的に守備意識が高いこともあり、トップの林が孤立する形となる。
速く攻めたい意識を持つが、前線に一人で孤立する形となると厚みのある攻めはできない。
だが、この場面のように林は孤立しているが2人、3人だけで自陣深くから得点に結びつけられる個の能力を持っている。
群馬の守備対応は悪かったが、甲府としてはこのようにオープンスペースを走られる前にファールで止めることも必要となる。
速く攻められないとポゼッションして前進を図るが、國分や南とパスの出し手はいるだけに甲府としては失った瞬間の切り替えが大事となる。
孤立した林へのロングボールを蹴らせる展開としたい。
ポゼッションへと移行すると厄介なのが山田康太の存在。
広範囲に動き、相手に捕まらない立ち位置にポジションを取り攻撃の起点となる。
山田康太からはゴールに直結するパスも出てくるため、山田康太にボールを触らせない展開としたい。
また、セットプレーにも警戒は必要となる。
前節群馬戦の先制点の場面。
ゾーンで守る群馬に対し、ショートコーナーから目先を変え得点に繋げた。
甲府もゾーンで守るチームであり、昨年の対戦でもショートコーナーから2失点を喫している。
当時はマンツーマンで守っていたが、山形としてはいいイメージは持っているだろう。
ハイテンポで試合を進めたい山形と陣形を整えゆっくり試合を進めたい甲府。
オープンな展開で行ったり来たりする形となると山形が優勢に進める試合となるだろう。
甲府としては山形のプレスを回避し、敵陣に押し込む形を作りじっくりと攻め込む展開としたい。
どちらのリズムで試合が進むかがポイントとなる。
7.あとがき
前節金沢に完勝し、琉球戦のモヤモヤを晴らすような内容ともなった。
チームとしての一体感が生まれ、リラとバイヤが合流と上向けるきっかけの試合とできるかは今節に掛かっている。
まだまだ昇格圏との差は勝ち点10以上。
道のりは険しいが、勝ち続けることでしか道は拓かれない。
山形は順位こそ中位だが、何度も触れているように監督解任を機に2連勝している。
試合内容も攻守にパワーがあり、相手を押し込む強さを持つ。
毎節言っているが、山形も力があるチームである。
クラモフスキー監督が合流後はガラッとチームの色は変わると思うが、今後上位に上がってくる可能性は大いにある。
最後に私事ではありますが、今回の記事が記念すべき100記事目となりました。
昨年、コロナ禍で自分に出来ることは無いかと始めたことではありますが、ここまで続けて来られたのは読んでくださる方がいらっしゃるからです。
いろいろありましたが、変わらず楽しみにしているとコメントをいただいたり、直接話しかけてもらったりとありがたいお言葉もいただきました。
ありがとうございます。
また、前節金沢戦でのレビューでは初めて収益が発生しました。
決してお金を払うような価値のあるものではないと思っており、申し訳ない気持ちです。
続けてきたことに意味があり、続けてきて良かったと皆様に教えていただきました。
もっと良いものを作りあげる努力を続けていき、これからも一つでも多くの記事を書き、皆様と共にサッカーを楽しめたらと思います。
今後もよろしくお願いいたします。
たくさんの方に読んでいただきたいので、気にいっていただけたらぜひ拡散してください!
コメントもいただけると嬉しいです!
今回もお読みいただき、ありがとうございました。