J2第11節 FC琉球vsヴァンフォーレ甲府

前節終盤に追いつかれた甲府。
それでも5試合負けなしが続いている。

一方の琉球は2連勝中で4戦負けなし。
ホームでは未だ勝てていない。

アウェイで勝てない甲府対ホームで勝てない琉球の対決。
過去の対戦は昨年の2試合のみ。
いずれも甲府の勝利となっており、特にアウェイではJ3時代から続いていた琉球のJリーグホーム無敗記録を止めている。

1.立ち位置

スタメンはこちら。

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甲府は前節から8人変更。
甲府の注目は法制大学コンビ。
関口は水戸戦で推進力を発揮しチームを引っ張った。
長谷川はプロ初先発。
どれだけボールに触れチャンスを作れるか注目。
また、前線は太田が最前線、ラファエルがシャドーとなった。

琉球は前節と同じメンバーとなった。
元甲府の阿部拓馬が4ゴールを挙げ琉球の得点源となっている。
ベンチに入った幸喜祐心は15歳3ヶ月の選手。
出場すればJリーグ最年少出場記録を塗り替える。

また、甲府の荒木と琉球の山口は日本航空高校、国士舘大学の同級生。
初対戦となりこの2人のマッチアップも注目。

11分に甲府は太田とラファエルのポジションを入れ替える。
一方の琉球はボランチが左右固定ではなく流れの中で入れ替わる。

甲府の保持時と琉球の非保持時の立ち位置。

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甲府は右サイドでは関口が幅を取り、太田がハーフスペースで間受けを狙う。
逆に左サイドは基本は荒木が幅を取り、長谷川がハーフスペースという形だが荒木がインサイドに入り長谷川と入れ替わる場面も見られた。
これは内田、泉澤のコンビでも見られる形でチームとして右はある程度決まった形、左は流動的にという決まりごとがあるのかもしれない。
また、新井から山本に代わってもCBが1列上がる形は継続。

琉球はオーソドックスに44のブロックで待ち構える。
山本を消しながらCBにもプレッシャーに行きたいが規制がかからず44ブロックで構える形しかない。

琉球の保持時、甲府の非保持時の立ち位置。

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琉球は幅取りは基本SBであるが両サイドMFはSBの位置により大外に出てくる。
阿部は自由にポジションを取りフリーマンのような形で自由が与えられている。

甲府は54でブロックで待ち構える形。
前線ではラファエルが献身的に前線からプレッシャーをかけてくれる為中盤が連動し待ち構えるだけでなくブロックの外へ追い出すことに成功する。
最終的に蹴らすことによりボールを奪う。

2.2人目の救世主

水戸戦で特別指定選手の関口がチームを牽引。
今節は同じく特別指定選手の長谷川がチームを引っ張った。
最初の見せ場は9分。

52秒頃より。

CKから精度の高いボールを入れる。

続いての見せ場は21分。

1分35秒より。

才能の片鱗を見せたシーン。
自陣センターサークル付近からドリブルで50m近く運び最後は大外でフリーの太田へのクロス。
得点にはならなかったが決定的な場面を作り出す。

51分には山田の楔からラファエルがターンしスルーパスに長谷川が抜け出す連動した形からCKを獲得。

キッカーは長谷川。

伝家の宝刀CKから先制。
質の高いボールから素晴らしい逸らし。
ニアで合わせる形は甲府の1つの形となっている。

ライン間で受けられ、チャンスメイクできる選手が現状いない為貴重なアクセントを加えられる選手である。

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ボール保持時の甲府の立ち位置は上述した通りであるが、琉球のボランチが甲府のボランチを潰しに来た時に琉球ボランチの背後や間に顔を出しボールを引き出そうと試みていた。
伊藤監督の目指すサッカーに置いてライン間でボールを引き出せる長谷川は活きるのではないか?
この先もどれだけ帯同できるかはわからないが関口と共に必要不可欠な戦力である。

3.若手躍動

9分、21分、30分、54分と決定機を決められない太田。

52秒、1分35秒、2分29秒、3分23秒から。

9分、21分のシーンは上記より。
30分のシーンはハーフスペースで長谷川が起点になり大外荒木からマイナスのクロスに太田。
前節サイドからのクロスに松田がニアに飛び込み、バホスがニアで待ち構えるシーンが見られたがチームとしてニアとマイナスのエリアには入っていく決まりごとがあるのだろう。
このシーンでは大外に関口も来ており厚みのある攻撃が見られた。

54分のシーンはGKからのビルドアップでスタート。
小柳が相手FWからのプレスを回避しラファエルに長いボールを入れる。
ラファエルが競り勝ち太田がGKと1対1となったが止められてしまう。

試合後の伊藤監督のコメントより。
『勝ち点3を嬉しく思う。前半、相手はターンオーバーしていない3日前のメンバーで後半に足が止まったときに勝負しようという気持ちがあった。アタックのところは出来ていた。後半に入って右サイドの攻撃を変えようということでSBの裏を狙っていった。そこから2点目が取れてよかった。チーム全員で戦っている。勝ち点3を取る経験ができてよかった。チームの底上げができたと思います。』

後半からは相手の左SB裏を狙いにいったとある。
そのシーンが出た場面である。
約1分後伊藤監督の狙いがハマる。

5度目の正直で太田にゴールが生まれた。
素晴らしい崩しからのゴール。
自分たちで主体的にボールを持ち最後は相手を崩してのゴール。

65分頃に実況の方から
「甲府の若手躍動してますね」と。
10年近くそのようなことは言われて来なかったのではないか?

実際に若手の躍動が見られた試合であった。
若返りを進めた今シーズン。
第11節の時点で相手側の相手側の方からのこの発言。
チームが間違った方向には進んでいないことの証明ではないか?

ボランチの2人は試合に出るごとに成長が見られる。
ヴェルディ戦では水戸、琉球を経てアグレッシブに戦える選手になってきた。
ボランチコンビは武田、野澤で現状は鉄板だが下からの突き上げにウカウカできなくなってきた。

関口、長谷川はもう大学生と見てはいけない。
完全に戦力になっており出来れば返したくない存在。
次いつ来てもらえるかわからないがこの先も楽しみな存在である。

太田は最多5本のシュートを放ち最もゴールに近かった。
決定的な場面に顔を出す回数も増えてきているだけに後は最後の質の部分が上がればもっとゴールを挙げられるのではないか。

荒木はここまで悔しい思いをしてきた。
松本戦では終盤自分のサイドから失点を許し、ヴェルディ戦、水戸戦も同様に。
しかし、今節は荒木のサイドから決定的な場面は作られずドリブル回数もトップと積極性を見せた。
小林岩魚の復帰も近いことから1列前に上がる可能性もあるが任されたポジションで今節のような積極性を見せ続けて欲しい。

今津は絶対的なレギュラーと言えるので上記の選手たちとは少し立場が違うかもしれない。
しかし、シーズン前は同じような立ち位置からスタートしていた選手。
今節は終始疲れが見えていたように思う。
身体というより頭が。

4分20秒頃から。

PKを与えてしまったシーン。
厳しくも感じるがスライディングに行く必要があったのか?
これもまた勉強である。

4.あとがき

長谷川、関口の特別指定コンビの活躍は見事であった。
一方で若手が躍動した背景には山本や小柳、ラファエルの存在は大きかった。
彼らが要所を締め若手にプレーしやすい環境を与えていた。
特にラファエルの存在は大きかった。
ここまで怪我もあり出場機会も少なく出場しても存在感を発揮出来なかったが今節は前線で起点になり守備も献身的でありゴールまで決める活躍。
また、金園の復帰もあった。
甲府で最もゴールに飢えている男。
得点力もさることながら守備にも献身的であり終盤の逃げ切りたい時間には守備にハードワークをし、ボールを収める活躍。
若手の活躍が光った試合ではあるがベテランの存在も忘れてはいけない。

MOM 長谷川元希
1アシスト。
結果もさることながら相手の間で常に顔を覗かせ潤滑油となり続けた。
前線にはいないタイプなだけにこれからも必要な戦力である。

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