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J2第8節 松本山雅FC戦 プレビュー
8節の相手はアウェイでの甲信ダービーとなる。
共に苦しい状況となっているが、ダービーに順位は関係ない。
勝てばきっかけに、負ければズルズルと行きかねない一戦となる。
1.対戦成績
通算での対戦は10度あり、甲府の2勝2分6敗と相性の悪い相手となっている。
以下で過去の対戦を見ていく。
2012年に松本がJ2に参入して以降、9度の対戦とJFL時代の2010年に天皇杯での対戦と計10度の対戦を経てきた。
Jリーグ参入以降は初年度に先輩の威厳を示したが、それ以降は甲信ダービーの覇権は松本が握ってきた。
とくにアウェイでは一度も勝っておらず、苦杯を嘗めさせられてきた。
2.前節
甲府
連敗で迎えた北九州戦だが、またしても勝ちきれず。
試合内容はレビューをご覧ください。
松本
難敵秋田をホームで下し、初勝利を挙げた松本はアウェイ磐田に乗り込んでの一戦となった。
秋田戦からは先発2人を入れ替える。
大野、米原に代えて橋内、前を先発に起用。
ボール保持を狙う磐田に対し、ハイプレスを掛けていく松本。
2分に松本は敵陣深くでボールを奪い、ショートカウンターからシュートへと繋げていく。
磐田は前線から同数でハメていくことを狙うが、松本が可変することで磐田の守備をハマらせない。
ボランチの前が右SBの位置に降り、DFラインが左へスライドしWBを高い位置へと押し出す。
前がポジションを取れない時には、3CBが横に広がり磐田の前線3人を開かせる。
立ち上がりは前線からのプレス、可変で磐田の守備にハマらない狙いが上手くいき松本の流れで試合が進む。
今野をDFラインに下し、ビルドアップすることでボール保持は安定し出すが後ろが重く前進はできない磐田。
また、幅が取れず中央に多くの選手が集まることで松本としては守りやすい展開となる。
松本が押し込む展開が続くが、決定的な場面は作れずにいると磐田が先制に成功する。
サイドからのクロスをルキアンが収め、松本昌也のシュートは橋内の手に当たったということで磐田がPKを獲得する。
このPKをルキアンが決め、磐田が先制する。
後半も立ち上がりは松本のペースで進む。
52分にはクロスから鈴木がヘディングを放つ決定機を作るも、三浦に防がれる。
後半は左サイドを起点に磐田ゴールに迫っていくが、またしても良い時間帯に失点してしまう。
56分に左サイドからの松本昌也のクロスからオウンゴールで追加点を許してしまう。
だが、松本もすぐに1点を返す。
後半に入り、良い形を作れていた左サイドからのクロスに鈴木が合わせる。
クロスを上げた篠原、ヘディングを決めた鈴木の個人の質で奪った得点となった。
せっかく1点を返したものの、すぐに失点をしてしまう。
ショートコーナーから山本が上げたクロスを中川が折り返し、山田が合わせ追加点。
反撃したい松本は70分に前と河合に代えて安東と小手川を投入する。
76分に磐田は大津に代えて伊藤を投入する。
77分には松本が阪野に代えて高卒ルーキー横山を投入する。
80分には磐田がルキアンと大森に代えて小川と藤川を投入する。
この選手交代で磐田が差をつける。
直後に山田のクロスから小川に決定機。
86分にも松本昌也のクロスに小川がニアで合わせる。
88分には鈴木に代えて表原を投入する。
松本が前からボールを奪いにいくのに対し、磐田がプレスを回避しゴールに迫る。
小川のポストプレーを起点に山本のクロスに逆サイドから伊藤が走り込み、得点を挙げる。
途中交代で入った伊藤が得点を決めた磐田に対し、交代選手が大きな働きができなかった松本。
直後に磐田は松本昌也に代えて森岡を投入する。
試合はこのまま終了し、磐田が4−1での勝利となった。
松本としては悪くない試合を行いながら、不運もあり思わぬ大差がつく試合となってしまった。
3.今季成績
両チーム比較
甲府は開幕から4戦負けなしで、昇格圏とは勝ち点差2とスタートダッシュに成功も以降は3戦勝ち無しで6位に順位を落とした。
昇格圏との差が8と序盤戦ながら大きな差をつけられている。
一方の松本は、開幕から5試合で1得点しか奪えず勝ち点も1に留まりスタートダッシュに失敗する。
6節で初勝利を収めるものの、前節再び敗れ20位と降格圏に沈んでいる。
甲府
直近5試合の成績
連勝が途絶えて以降、3戦勝ち無しと苦しいチーム状況となっている。
シュート数とCKの多さが特徴となっているが、CKからの得点は5つを数え獲得するだけでなく得点に結びつけることができている。
だが、前節は11本獲得するも得点にできなかったように、相手も対策してきている中でいかに得点できるかが今後大崩れしないためにも必要となる。
松本
直近5試合の成績
秋田に勝利し、今シーズン初勝利を挙げたが前節は再び敗れてしまった。
順位通り、全体的に良くない数字が並ぶ。
だが、シュートは打てているだけに得点さえ入ればという見方もできる。
以下で詳しく見ていく。
シュートの本数は全体で7位と数は打っており、チャンス構築率も6位とゴールには迫れているのがわかる。
だが、シュートの決定率は21位となっており得点が奪えていないことが伺える。
守備のデータも悪いものではなく、得点さえ取れればというチーム状況なのがわかる。
得点と失点の内訳を見ていくとチーム状況がわかる。
まずは得点からみていくが、セットプレーからの得点が無い。
苦しい時間を支えるものが無いことから流れの中で得点が取れないと勝ち点を落とすことに直結してしまっている。
クロスからの得点が一番多くなっているが、阪野と鈴木の高さのあるコンビを活かす形で得点を取りたいことがわかる。
一方の守備面では、セットプレーからの失点が多くなっている。
PKを含めると失点の4割がセットプレーからとなっており、決めきれないでいるとセットプレーで先制を許す試合が3試合続いている。
クロスからの失点も3失点と多くなっており、甲府のストロングポイントとも重なるだけに修正をしてくるだろう。
4.予想スタメン
甲府
3連戦の初戦ということもあり、メンバーの入れ替えも考えられるが決定力不足は露呈したものの、内容は良かっただけに前節と同じメンバーを予想した。
状況を打破するきっかけを作れる相手なだけに、現状のベストで望むのではないか。
ハイプレスに来る松本に対し、ボールを運べる浦上やWBに負担が掛かっている状況なだけに金井の起用も考えられる。
松本
松本も同様に同じメンバーと予想した。
結果的には大敗となったものの甲府同様に、内容は良く決めきっていれば違った結果となっていただろう。
きっかけさえ作れれば、成績は上向くことが予想されるだけに前節のメンバーで結果を求めてくると予想する。
5.注目選手
甲府
三平和司
得点力不足のチームの中で、決めきれない象徴となっている。
ここまで、1得点とチャンスの数に対しては少ない得点数となっている。
明るいキャラクターでシーズン前からチームの雰囲気を変えてきた選手だが、ピッチ内では得点でチームの雰囲気を変えたいところ。
前線からのプレスや周りを活かすプレーでの貢献度は高いだけに、FWとして最も必要な結果でチームに貢献したい。
松本
佐藤和弘
2018年に甲府に加入し、2シーズンプレーした。
2020年にJ1大分へとステップアップをするも出場機会に恵まれず、シーズン途中に松本へと活躍の場を移した。
2シーズン目の今シーズンはキャプテンを任され、チームの中心となっている。
ピッチ外での気さくなキャラから甲府でも人気が高かった選手だが、ピッチに入れば攻守に運動量豊富で、長短のパスで試合を作り強烈なシュートで得点にも絡める対戦相手としては嫌な選手である。
攻守の要である佐藤の出来が試合を左右する。
6.展望
松本はハイプレスに特徴があるチームである。
このハイプレスの掛かる時間で畳み掛けられるかが、松本としてはキーポイントとなる。
甲府も前線からプレスを掛けていくチームだが、松本とは特徴が異なっている。
甲府は前線からサイドに追い込んで、SBやWBの所でボールを奪いにいく狙いを持つ。
一方の松本は追い込み、奪い所を作るのではなく直線的に人を捕まえにプレスに行き、奪い切るようにプレスを掛ける。
引いて構えるよりは、局面ごとに全力でプレスを掛けていくことも特徴となる。
また、攻撃面でも前へ出ていく動きやボールを受けにいくことで動いている時間が多くなる。
その結果、徐々に足が止まる傾向にある。
走れる、頑張れる選手が多いが走り過ぎてしまうことが仇ともなっている。
甲府としては、入りから勢いを持って出てくる松本をいなし、立ち上がりから揺さぶる展開を作りたい。
松本のハイプレスは、先程も触れたように直線的に前へ前へと出ていくため、その背後が空くことが多くなる。
特に523の形でプレスに行くため、3トップの背後、ボランチの脇が空く傾向にある。
甲府としては、3CBの形でビルドアップしていくと同数でハメられてしまうため、北九州戦のように可変を行い剥がしていくことを狙うだろう。
この時、サイドからの斜めのクサビのパスは有効となる。
直線的に人を捕まえに来るため、その背後を素早く突いていきたい。
そのためにビルドアップで相手を食いつかせ、WBから前線に斜めにクサビを入れたい。
こちらは開幕戦での決定機だが、山本が相手のプレスを引きつけ関口からダイレクトで前線に斜めのパスが入った場面。
開幕戦では意図的に見られた形だが、以降は少なくなっている。
このように斜めに展開する形とWBに対し、横へのサポートから空けたWBの裏を突くことも効果的となる。
これにより、ゴール前にいる松本の選手を減らすことにも繋がりサイドからのクロスもより効果を発揮する。
また、ハイプレスで来るということはDFラインも高い位置に設定されており、背後が空いていることにもなる。
シンプルに相手の背後へ長いボールを入れ込んでいくことも、相手がプレスを掛けにくくさせることにも繋がる。
直線的に来ることを逆手に取り、剥がしていくことを説明したが、直線的に奪いに来る守備にハマってしまうと一気にゴールに迫られてしまう。
北九州戦では、リスク管理を怠り失点してしまったこともありリスク回避のため、先程も触れたように松本のプレスの強度が高い時間はシンプルに蹴っていくことも必要となるかもしれない。
攻撃面での特徴は、ハイプレスからのショートカウンターと佐藤、阪野を起点としたサイド攻撃となる。
ハイプレスについては、先程から述べているのでサイド攻撃について見ていきたい。
甲府も同様にサイド攻撃を主体としているが、甲府のように特徴的な可変を行うことはない。
シンプルにWBを押し上げる形で、サイドの高い位置を取っていき佐藤から長短のパスが配球されていく。
佐藤は左右両足の精度が高く、ショートパスもロングパスも質が高い選手である。
また、運動量も豊富でプレーエリアも広い選手のため、捕まえづらい選手である。
この佐藤からの配球と阪野のポストプレーを起点にサイドからのクロスでゴールに迫る。
阪野には後方からロングボールを入れていく場面も見られ、ボールを収める力があるだけに起点となる。
松本がボールを保持する際は、共に同じ布陣で構えるためミラーゲームの形となる。
対面の選手がハッキリとするため、積極的にボールホルダーにチェックに行き配球やポストプレー、サイドで自由を与えないようにしたい。
北九州戦のような展開になる可能性はある。
だが、立ち上がりの勢いに圧されてしまうようなら厳しい展開となる。
松本は磐田戦、水戸戦と敗れてはいるものの失点するまでは押し込む時間が長くあった。
決めきれずにいると、先制を許し苦しい展開となり焦りから失点を重ねていった。
どちらもハンドの判定からのPKであり、結果は出ていないが、時間帯別に試合を分けて見ていくと順位ほどの弱さがあるチームでは無い。
突然崩れる脆さがあるため、20位と降格圏に沈んでいるが、甲府としては我慢する時間帯と勝負する時間帯を見極め、きちんと仕留めきる大人な試合運びをしたい。
7.あとがき
負けられない一戦。
絶対に勝ちたい相手。
悪い意味で正念場を迎えた一戦となった。
勝つことで全てが解決するわけではないが、勝つことできっかけを作れる相手である。
序盤であるため、内容も重要であるがチーム状況とダービーということで勝ち点3以外は必要無い一戦である。
とにかく勝つこと。
勝つことに執着しているシーズンなだけになおさらである。
松本としても同様のことが言える。
21人もの新戦力を迎え、勝負をかけたシーズンながらここまで降格圏に沈む低迷。
不本意なシーズンを送っているが、試合内容を見ていくと降格圏にいるのは不相応といえる。
不運もあり、勝てていない試合があるが決して弱いチームではない。
きっかけ一つで一気に順位を上げる可能性は秘めており、松本にとってもダービーはきっかけを作る最適な場となる。
個人的には昨年の開幕戦、町田戦以来のアウェイ参戦で気分は高まっています。
また感染者が増えてきているので感染症対策を充分にし、楽しんできたいと思います。
レビューは通常よりも遅くなるかもしれませんが、お許しください。
松本に行かれる方も、遠くから応援される方も一丸となり勝ちを掴みましょう!
絶対勝つ!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。