金儲けより信頼を――プロフェッショナルの提案力
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金曜日の朝、いつも通りゴミ出しから一日がスタートした。回収時間が営業時間前ということもあり、軽トラに乗って近くの集積場へ運ぶのが私の役割だ。以前はすべて自分で準備していたが、今では前日にゴミをまとめてくれるようになり、だいぶ助かっている。こうした小さな変化が、朝の負担を軽くしてくれる。
午前中は、現在車検で入庫中のシビックタイプRの整備相談でオーナーが来店した。この車両は年式が古く、メンテナンス箇所が多岐にわたるため、見積もり金額も高額になる。少し気まずい空気になるかと思いきや、オーナーは驚くほど落ち着いており、「これでお願いします」と即決した。その一言に、愛車に注ぐ熱い思いと深い信頼を感じた。
とはいえ、全ての作業を一度に進めるのは負担が大きい上、将来的に重複する作業のリスクもある。そこで私は、あえて今回見送るべき作業や、将来部品が廃盤になる前に確保しておくべきものを提案した。もちろん、すべてをやる方が会社の利益になるのは明白だが、それを優先することは私の仕事のスタンスに反する。私たちが行うのは単なる金儲けではなく、オーナーにとっての最適解を導き出すことだ。決断は最終的にオーナーの手に委ねるが、私の経験をもとにした提案が役立つことを願った。
午後は、GTOのタイミングベルト交換に取り掛かった。この車は整備性が悪いことで有名で、エンジンルームのスペースのなさが作業を一層難しくしている。正直、この車両の作業にはいつも気が重い。しかし、手を動かし始めると当時の三菱の技術力や、最先端を追求したエンジニアたちの誇りがひしひしと伝わってきた。難易度が高いからこそ、職人としての腕が試される。その挑戦に向き合う中で、作業への没頭と楽しさが生まれていくのを感じた。完成への道のりはまだ長いが、一つずつ丁寧に確実に進めていく。
並行して、GR86のアライメントセッティングやハブボルト・ブレーキパッドの交換も行った。ネオクラシックな車両から最新モデルまで、そして街乗りからサーキット向けまで、今日も多種多様なニーズが飛び交う現場だった。
こうした忙しさの中でも、オーナー一人一人の期待に応え、その車にとっての「ベスト」を追求する日々。プロとしてのプライドを胸に、今日も仕事を終えた。振り返れば充実感とともに、次なる挑戦への意欲が湧いてくる。