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複雑なエンジンルームと向き合うGTO作業記
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朝の寒さが一段と厳しい。凍える空気の中、営業前に倉庫まで部品を取りに行ったが、窓ガラスが凍っており、作業の始まりから手間取った。自宅が立体駐車場であることのありがたさを、こうした瞬間に改めて感じる。
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週明けの最初の大仕事は、GR86の納車だ。今回の修理では予想外の出費がかさんだが、オーナーは「これだけサーキットに通っていたら、こういうこともありますよね」と、まるでトラブルすら趣味の一部のように笑顔で受け入れてくれた。車を楽しむということに対して、時間もお金も労力も惜しまない、そんな潔さを持つ人々には毎回心を動かされる。彼らは車にかかるコストや、メーカー保証が切れるリスクさえも覚悟のうえで趣味に没頭している。その姿勢には、自分も学ぶところが多い。
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納車を無事終えた後、GTOのタイミングベルト交換作業に取り掛かった。この車はいつもながらエンジンルームが複雑だ。古いゴムホースに触れるたび、プラスチックのように脆くなって割れていく。そのたびに部品を追加交換する手間はあるが、それも含めてこの車を整備する醍醐味だと感じる。時間がかかる作業ではあるが、ひとつひとつ丁寧に仕上げていくのは嫌いではない。
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並行して進めているのが、デモカーである後期型GRヤリスのテスト。これは弊社で進めている新しいチューニングプロジェクトの一環だ。ヤリスはこれからどんどん改造の選択肢を増やしていく予定で、どう仕上げていくかを考える時間には胸が躍る。完成したとき、どんな走りを見せてくれるのか――その期待が手を動かす原動力になっている。
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今日は新人たちの活躍も目覚ましかった。一人は車検を通すためにランエボを陸運局に持ち込み、問題なく合格させた。また、もう一人はデリカスペースギアの水温異常の原因を突き止めた。理論的な部分ではまだ発展途上だが、ディーラーメカニック顔負けの実践的な理解と対応力を発揮している。頼もしい仲間が増えたことで、自分はGTOのような時間のかかる作業に集中できる環境が整いつつあるのを感じる。
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夕方、工具を片付けながら今日を振り返った。寒さの中で始まった一日だったが、車たちと真摯に向き合い、顧客や仲間とともに前に進んだ手応えがある。こうして一日一日を積み重ねていくことが、車好きである自分の誇りでもあり、仕事への原動力でもあるのだ。