「たすき問題」について調べてみた
「選挙前の風物詩?」
4月に迫った統一地方選。選挙が近づくとTwitterで見かける共産党の「たすき問題」について気になる発言があった。
「政党の政治活動中のタスキは問題がありません」とのこと。
そして、警察官がそばを通っても注意してこなかったから大丈夫。という主張だ。
しかし、公職選挙法を確認すると明確に違反だ。
原則として、選挙期間でなくても政治活動は自由に行うことできる。
しかし、「政治活動用の文書図画」は、「選挙での当選を目当てとしたもの」にならないように、規制が加えられている。
該当箇所の「文書図画の掲示 第百四十三条」を読んでまとめると
選挙に出ようとしている人の名前の書いてあるものと、後援団体の政治活動のために使う政党の名前を書いたもので、次のもの以外は禁止する。
①立札や看板。政令で決められた数の範囲内。
②ポスターで、ベニヤ板やプラスチック板を使って掲示するもの。
③政治活動のためにする演説会の会場で開催中に使うもの。
④衆議院選挙と参議院選挙に出馬する人は例外がある。
たすきはこの中に入っていない。つまり、政治活動において本人の名前を書いた、たすきをかけての政治活動は禁止されている。
違反すると「選挙運動に関する各種制限違反、その一 第二百四十三条」の「第百四十三条又は第百四十四条の規定に違反して文書図画を掲示した者」でに当たり、「二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」とのこと。
では、冒頭の「警察官はスルーしていた」というのは何故か。
これは公職選挙法違反は、告発がなければ起訴されない犯罪だからだ。
だから警察官が前を通ってもスルーした理由は、公職選挙法違反でないからではなくて、「告発されていないから」に尽きる。
中村氏の主張について
明確に違反であるのに、なぜ中村氏は「問題ない」というのか。
主張の根拠としているのは、この画像だ。
出所不明の文書については置いておいて、大事なのは
政府は(中略)「政党の政治活動」の街頭宣伝におけるタスキの使用を認める答弁を行いました。
という一文が事実なのかという点と、政府答弁の読み取り方が正しいのかという点だ。
政府答弁について
政府答弁について見てみる。
調べたら出てきた。読みにくい上に長い文章だが、要約するとこうだ。
高木錬太郎(立民)議員:政党活動なら、たすきOKという自治体もあるようだが政府はどういう認識か?
安倍内閣総理大臣(当時):質問された「政党活動」の意味は限定できないが、選挙に出ようとしている人の名前が書いてあるものを政治活動で使う場合は公職選挙法に則るように。公職選挙法に書いてあるもの以外を使うのはNG。
しかし、後援団体でない党とか、それ以外の団体で政治活動をするために使うたすきは、一般的に選挙運動で使うたすきでないなら掲示してOK。しかし、違反かどうかは具体的に見てみて判断しないとわからない部分もある。
この答弁を読む限り、「政党の政治活動ならたすきの使用OK」という話ではない。「政党の政治活動なら公職選挙法にきちんと従え」という話だ。
この政府答弁でよしとされているのは、
①後援団体以外の政党その他の政治活動を行う団体の政治活動のためにたすきを使用する場合
②一般的には、選挙運動のために使用されるたすきと認められないものを使う場合
という話だ。
先ほどの中村氏が根拠とする資料では、政府答弁の読み取り方を変えて、たすきの使用を許可しているように書いているのではないだろうか。
主張と政府答弁を読んで
中村氏は共産党の名前を掲げて活動をしているし、共産党は中村氏の後援団体の政党だ。そして、名前と政党名がしっかり入っているので、選挙用のたすきだろう。
写真を見る限り、これは「後援団体以外の政党その他の政治活動を行う団体の政治活動」に当てはめるのは無理だし、「一般的には、選挙運動のために使用されるたすきと認められない限り」も無理だろう。
調べた結論は「アウト」でした
アウトはアウトだが告発がなければ野放しだ。
告発は告訴と異なり、誰でもすることができる。
今回のような「たすき問題」を発見したら警察に相談だ!!