大丈夫のポジティブ効果 23
最近、スーパーやコンビニで、気になることがある。
「袋、おつけしますか?」
「結構です。」
「袋、悪りますか?」
「結構です。」 .... 「要りません。」
どうやら、 最近の若い日本人には 「結構です。」が通じないらしい。
「袋、お付けしますか?」
「大丈夫です。」 ーーー通じた!
いったい、いつから、こうなったの?
私は、 数年前から一緒に中華料理を食べに行った、若い子達に「もう少しいかが?」とテーブルを回すと 「大丈夫です。」と言われることに内心「要るのかいらねえのか?どっちなんだよ?」 と思っていた。その断わり方は失礼だと感じていた。
「せっかくですが、もう結構です。美味しかったです。もうお腹いっぱいです。」とか言ってくれたら、いいのに・・・思っていた。
しかし、いつのまにか、 大丈夫という言葉の意味が変化ているようだ。以前読んだ『舟を編む』にも書いてあったっけ。
言葉とは、時代と共に変化すると。
検索してみると、「大丈夫」 安心していられるほどに、危なげないこと。
つまり、 「大丈夫です」 とは、肯定的に使う言葉だったはずだ。
それが、 今は、 いらない時やその相手と一緒に 行かない時に、 「大丈夫です」が使われるとある。
へぇ〜。 目上の人間が、彼らの気持ちを察して差し上げなきゃならないのね?
まだ、退院して間もない時、ラグビーF選手引退間近の試合を観ていた。相手チームの選手と接触したF選手が倒れて、メディカルの人達が走り寄る中…
脳震盪?
スクリーンに映し出されたF選手の口元が動いた。「だい...じょ…う…ぶ」私の希望的観測!?
ちっとも、だいじょばない状況で、もちろん選手交代したけれど、これぞ 「大丈夫」の正しい使い方!! と私は思った。 彼は、 あの瞬間、チームメンバーに、 応援に来てくれた観客に、そして、自分自身に大丈夫と言ったのだろう。
これこそ、 立派な「大丈夫です」だ。
その数カ月後、私は、投薬治療だけで、落ち着いていた病状がおかしくなり検査の結果、 転移発覚。
日本の医療スゲーな。 最初にこの薬が効くのは1年半から2年 って医者が言ってた通り、ピッタリじゃーん!ーーーそこ、感心してどーする?!
で、放射線治療をすることになった。
たったの10日間だけ。
それでも、イヤだ。コワイ!
Nさんに報告。
「大丈夫だって!人間1回しか死なねぇんだから!」
ーーーいやぁ、あの、まだ死にたくないよーっていう電話してんですよ〜
Kさんに報告。
「そっか。大丈夫!ご褒美ランチ いつ行けるの?」ーーーいつでも、行けちゃいます!!
To先生にセカンドオピニオンを伺う。
「やって、大丈夫だよ。選択技がまだあるんだから、良かったじゃない!?」
「それって、究極の慰めですか?」「そんなこと言わないの。大丈夫だから。」と言って肩を叩かれたら、安心出来る。
苦しい治療の甲斐あって、 転移したところのガンちゃんキレイに消えたので、毎日、お散歩するだけの平穏な日々に戻ったのだが、 ぐーんと寒くなって、風が冷たい。
この秋晴れの中を歩くのは、気持ち良いのだが、 冷たい風が吹くと目が痛い。
悲しくないのに涙がポロポロは、この治療でも治らなかった。
足腰が弱くなるのを防ぎたい私は、考えた。
そうだ。歯みがきの時に片足立ちでやろう!そもそも、目眩してるってえのに!? でも、簡単に出きるじゃん。
やってみたら、片手ついてたら、できる、出来る!
あ、 イタッ、 歯ブラシで歯の裏側を突いてしまった。
ぷっ(笑) そこで思い出した。
あれは、何年前?
私が、まだ、ジャカルタで元気に店に出てた時の事。
「おはようございます。」
「おはよう。」お早くなくてもこの業界はオハヨウだ。
ふと見るとMの左頬に青アザが? なぐられたような大きさではなく、小さい?
「どしたのそのアザ?」
「あっ、これ、今朝、急いで歯みがきしてたら、こぉ…歯ブラシで」
「ええー!?」
「やりません?」
「やりませーん!」 ーーーフツウ、 やらねぇよ!
「大丈夫です! ほっときゃ、治ります!」
ーーーん、まぁ、ほっとくしかないわな。 ハハハハハッ
この「大丈夫です」のお蔭で私は、今でも笑えるし、闘病中の今、歯みがきタイムのたびに、コレを思い出してクスッと和む。
私も、 無理は、しちゃいけないけれど、チームメンバーの為に、応援してくれる人に、そして、自分自身に「大丈夫!」と言える私でいたい。そう思う。