獣医師が苦手と思う犬種や猫種はある?
今日の一言。
「好きの反対は嫌いじゃないよ。」
犬や猫とひとくちに言っても、その種類は様々だ。
人間より大きい犬もいれば、うさぎくらい小さな犬もいる。
毛の長いふわっとした猫もいれば、ほぼ毛の生えていない猫もいる。
そんな中で、獣医師として、治療がしづらいなどの理由で「苦手だな」と感じる犬種や猫種はいるのだろうか。
もちろん、獣医師それぞれで得意や不得意はあるし、そもそも非協力的(暴れる、噛む、など)な動物は苦手以前の問題だ。
今日は私が「苦手だな」と感じたり、一般的に苦手とされやすそうな犬猫の種類について列挙していきたいと思う。
手足の短い犬猫種
例)ミニチュアダックスフント、マンチカンなど
血管確保(留置。血管に注射用の管を設置すること。)がけっこう難しい。
足が短く血管が蛇行していたり、筋肉に埋もれて目視しづらかったりするため血管への注射が比較的難しい。
特に救急時などはもし血管確保(留置)ができなかったら死を待つのみ。
そもそも人間より小柄で血管の細い生き物なのに、さらに蛇行していたり見えなかったりするのは難易度が高すぎる。
そこをなんとかするのが獣医師だが、ぶっちゃけ、血管はせめて針の長さくらいはまっすぐであってくれ、と思ってしまう。
超小型犬種
例)ティーカッププードル、チワワの超小柄な子など
私の場合は、手足の短い種類と同じ理由で苦手だ。
血管が細すぎる。
下手したら針より小さいことだってある。
そこをなんとかするのが獣医師だが、老眼になったら見えないんじゃないか、と今から不安である。
短頭種(鼻の短い犬種、猫種)
例)フレンチブルドック、パグ、チワワ、ペルシャ猫、エキゾチックショートヘアなど
麻酔時にリスクとなりやすい。
鼻の長い種と比べて気道が狭くなりがちなので、麻酔覚醒時に窒息を起こす可能性がある。
短頭種気道症候群を起こしやすく、症状の強弱はあれど、常に呼吸困難と共に生きている状態になりやすい。
軟口蓋過長を起こしていたりすると、いざという時の気道の確保もしづらい。
そこをなんとかするのが獣医師だが、慢性的な呼吸困難と一生涯付き合う姿を見るのは、なんとも心が痛い。
犬にも猫にもたくさんの種類が存在するが、大概は人間が作出したものだ。
その中で本来の犬猫の姿から遠ざかっていくほど、身体的なトラブルも起きやすい。
だって、自然界を生き抜く上で長い年月をかけて進化してきた姿から遠ざけるんだから。
生まれてきた子たちに罪はないし、足が短かろうが鼻が短かろうが、かわいいことには変わりない。
ただいつも思うのは、自分も含め「人間って勝手だな」ということだけだ。
私の経験談?
以前、全く血管が見えない超短足マンチカンに速攻で留置を入れられた時に、「1年分の運を使い果たしたかな。」と思った経験があります。
その年のおみくじは末吉だったから、運の残高は少なかったのかも。
宝くじは当たりませんでした。
週末まであと少し。
頑張りましょう!