動物病院の裏側その2。ペットたちのリアルな扱われ方。

今日の一言。
「他をおもんばかるというのは実に難しい。」


前回は動物病院の裏側事情として、診察室の向こう側とお金の事情をお伝えした。


今回は、診察室の向こう側、飼い主さんの見えないところでペットたち(患者さん)がどう扱われているか?についてぶっちゃけて話したいと思う。



突然ですが、皆さんはどんな想像をしますか?



もちろん、優しく扱ってくれるよね?
いやいや、実はブラックな事してるんじゃないか?


かわいい我が子が誰かに預かられるというのは、とても心配なことだと思う。

一体、診察室の向こう側ではどんなことが繰り広げられているのだろうか?



まず、どんな検査をするにも必要になってくるのが「保定」という作業だ。


注射針を刺されたり、大きい機械を目の前にしてお腹を見せたり。


「じっとしててね。」

と人間の言葉で伝えるだけでじっとしてくれる動物なんて、出会ったことはない。

(ごく稀に怖すぎて固まってしまう子はいるが・・・)


保定とは、看護師さんたちに動物が動かないように抑えてもらうことだ。


針を刺した瞬間に大暴れでもしたら、患者さんも獣医師・看護師も大怪我をしかねない。


動物が検査台から落ちたりなんかしたら、怪我どころじゃ済まなくなることだってある。


保定のコツは「関節ロック」をすることなのだが、抑えている時の見た目は正直、優しそうには見えない。


たとえ猫ちゃんでも全身を使って保定してもらう必要がある。


病院によっては、できるだけリラックスしてもらうために、飼い主さんに同じ部屋にいてもらったり、針などの危険な道具を使わないエコー検査などは手を持っていたもらったりすることもある。


(レントゲンは放射線を扱うので、登録されたスタッフしか撮影部屋に入れないが。)


逆に全く飼い主さんの見えないところで検査を済ませることもあるが、これはぶっちゃけ先生の好み・病院の方針次第だ。


検査時の様子を見たことがない飼い主さんも結構な数いると思うので、各検査の時の様子を説明したいと思う。


病院によって差異はあるかもしれないが、だいたい以下のような感じで検査が進められる。


◯血液検査の時


犬猫で主に採血する部位は後ろ足、前足、首である。

後ろ足から血液を取る場合、犬なら立ったまま看護師さんに抱きしめられるような形で肩関節と後ろ足をロックされる。

猫なら、内股からの採血となるので、手足を持って寝転がった状態になる。

前足、首はおすわりの態勢でマズル(口と鼻のところ)や腕をホールドする。


◯エコー検査の時


立ったまま検査するか、寝転がってお腹を上にして検査をするかは、重症度や本人の性格、先生の意向による。

腹部検査では基本はエコーベッドの上に寝転がってお腹を上にして検査をする。

(毛が密な場合や精査の場合はお腹の毛刈りをする)

前足と後ろ足をそれぞれホールドする。

かなり暴れる子や大型犬さんは2〜3人掛かりでの保定もある。

心臓エコーは横たわる形で寝そべって保定するが、これも基本的に特に前足(と後ろ足)をビヨ〜ンと伸ばしてもらう形になる。


◯レントゲン検査


写したい部位によるが、基本はエコーと同じで前足と後ろ足を持って伸ばし、動かないようにする。



いずれの検査も、安全のため、正確な情報を得るためには患者さんの協力がとても重要なのだが、動物はそんなことわかるわけもない。


暴れまわって噛まれたり引っかかれたり、スタッフ側が流血沙汰になることもしばしば。

(さすがに患者さんを怪我させることはほぼないが。)



それでも、獣医師や看護師は動物をひっぱたくようなことはしない。

している人やしそうな人は、私は今まで一度も見たことはない。


もちろん、怒ることはゼロではないし、人間なので協力性皆無な場合はイラっとすることはあるだろうが、基本みんな冷静に対処している。



怪我などの事故を未然に防ぐために、エリザベスカラー(噛まれないように首の周りに巻く)や、保定袋(引っかかれないように手足を出せないようにする)を使ったり、場合によっては鎮静剤を使うこともある。


鎮静剤は麻酔の一歩手前のようなものなので、抵抗のある飼い主さんもいるかもしれない。



しかし、暴れることが患者さんと術者のお互いにとって危険であることはもちろん、そもそも暴れるということは相当怖いし、嫌なことをされているということだ。


この「恐怖」がやわらぐという意味で、動物たちのためにも、鎮静は積極的に使うべきだと私は考えている。


心臓病などの持病がない限り、鎮静剤は基本的には安全に使える。


飼い主さんたちにも、検査にもかなりの労力が必要で、お互いのためにも工夫をさせてもらう必要がある、ということを理解してもらえると、とても助かる。


まとめると、保定は動物が抑えらている状態だが、安全な検査のために必要なことであり、力を加える必要はあれど、強い痛みを伴うようなことはないので安心してほしい。


また、どんなに犬猫が暴れても、噛み付いても、引っ掻いても、動物に乱暴するような人は動物病院にはいない(というか、会ったことが無い)ので、こちらも安心してほしい。


動物は私たちの検査の目的までは理解できない。

それをスタッフ側は理解している。

でも、あくまで人間なので「こら!!」と怒ったり、イラっとしてしまうことくらいは許してほしい。



私?

私は猫になら、たとえ血だらけにされても許せます。

ワンちゃんはしつけトレーニングをしたくなるかな。



明日から月曜ですね。

また1週間、頑張りましょう!

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べてりなりあん
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