ワンちゃんの発作。どうやって対処したらいいの?
ワンちゃんの発作と聞くとこんなことを連想します。
ワンちゃんの発作>35年の経験
詳しく説明しますと私の実家では犬を数頭飼っています。みんな元気な犬でして手前味噌ではありますがとてもお利口な子たちです。ある日、買い物から帰宅するとそのうちの1匹の子がケージ内で粗相をしておりました。普段は庭でする子なのでおかしいな…と思いつつも我慢できなかったのかな?程度にしか考えてませんでした。
その数日後、事件が起きました。突然奇声を上げる我が子。駆けつけると手足をバタつかせておりました。体の制御が全くききません。バタつかせていたと思いきや今度は手足が伸びきり固まった様子がしばらく続きました。数分後に収まりましたが本人は呆気に取られておりました。ふとケージ内を見るとおしっこが…。そうです、はじめにケージ内に粗相していたのは留守中に発作を起こしていたからでした。
母は35年間獣医師をしておりましたが、さすがにこの時は我が子の突然の変わりようにパニクってしまったようです。35年間経験してもパニクってしまうくらい強烈なインパクトが発作にはあります。
さて発作についての思い出はここまでにしておき、実際に発作が起きた時にはどんな対処をすべきなのかを本記事でお伝え致します。
発作ってなに?
まず、発作とは一体どのような状態なのか?それは一言で言いますと
脳細胞の異常な興奮
となります。伝わりづらいかと思いますが、大切なのは『異常な』興奮です。この異常な興奮は脳細胞に多大なるダメージを与えます。発作が何度も続くことでダメージが蓄積され、死に至る場合もあります。
つまり発作は起きたらすぐに止めなくてはなりません。
ちなみに若齢の子でも起きることはあります!
発作を止める方法は?
これは大きく分けて3種類になります。
・坐薬を使うor注射薬を直腸に注入する
・注射薬を血管に投与する
・吸入麻酔薬を投与する
このうち、ご自宅で制限なくできるのは『坐薬のみ』になります。今回はこの坐薬についての説明になります。
発作が起きた際の大切なポイント
坐薬は病院によって様々な坐薬が用意されてますが基本的には効能は大きく変わりません。
大切なポイントは4点あります
・まず深呼吸
・ストップウォッチなどで時間を計る。
・動画撮影をする
・坐薬を肛門から注入したら3分ほどそのまま指で坐薬を押さえる
深呼吸は自分を落ち着かせるためです。先述しましたが獣医師歴35年でもパニクってしまうので大切な行動です!!
その後、ご家族がいらっしゃる場合にはその発作が何分間続くのか時間を測定する人、どのような発作だったのか動画撮影する人と役割分担をしましょう。診察の際にかなり貴重なデータとなります。
お一人の時に発作が起きた場合は迷わず坐薬を注入しましょう。ただし、中には発作が起きて体の制御がきかず、噛み付いてしまう子がいます。その場合は発作が落ち着くまで待ち、その後に坐薬を注入しましょう。
※坐薬を注入しても効果は30分ほどかかります。また、発作の時にはパニクってしまい、坐薬の場所を忘れてしまうので普段からワンちゃんが行動する範囲に坐薬を点在させておくといいと思います。
そのあとの対処
発作が治まっても数分後から数時間後に再度発作を起こす場合があります。
これを群発発作といいます。また、一度の発作が5分間以上続いた場合を重責発作といいます。
どちらかが当てはまる場合にはすぐに病院に連絡しましょう。まずは発作を止めることが重要です!!(夜間に起きた場合には夜間救急へ!!)
5分も続かないけれど3~6ヶ月に複数回起きた場合にも病院へ連れていきましょう。精密検査をおすすめいたします。原因を掴むことで発作の頻度を下げることが出来るかもしれません。
発作の原因とは?
発作の原因は大きく分けると2つです。
・脳の異常
・脳以外の異常(血液や心臓など)
このどちらにも当てはまらない場合にはいわゆる『てんかん』が疑われます。脳の異常やてんかんの診断はMRIが必要になります。(MRIは動物界では全身麻酔が必要になります。)たいていの病院では脳以外の異常がないか評価するために血液検査やレントゲン検査などをします。そこで異常がなければMRIを実施するかMRIをせずに暫定的に『てんかん』として抗てんかん薬を使います。
まとめ
発作が起きた時の我が子の姿の変わりようは何度見ても慣れないものです。
パニクってしまうと思いますがまずは心を落ち着かせましょう。そのあとで坐薬を入れられるのであれば注入し、心に余裕があれば時間を測りましょう。5分以上続くあるいは何度も起きてしまう場合にはすぐに病院へ連れていきましょう。
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