LIBERTA Perfume : 陰鬱

フルーティー(中でも柑橘は特に)
フローラル
アクア
の香りがあまり得意ではない。

そんな私が探し始めたのは
雨の香りのする香水
香料になんの知識もない私でも
Google検索に頼ればいくつか候補は絞れた。

ビュリーのリケンデコス
ネビアのフィッタ

この辺が気になる、嗅いでみたい…!
と1人で悩むも気軽に嗅ぎに行けるような店舗が無い
香水に詳しい友人、というか友人自体居ない。
香りも嗅がずに購入
(これを後にブラインドバイと呼ぶ事を知る)してみるか…?
と考えるも値段に怯み勇気が出ず。
Twitterで香水アカウントを作成し、
有識者の方々のツイートを見る中で偶然見つけたのが
LIBERTAPerfume さんのオーダー香水
価格はそんなに変わらない、
香水とはなんたるかも
香料の知識もなく
ペトリコールとゲオスミンしか知らない癖に
ここなら…!という謎の安心感を感じてサイトにアクセス、
注文し己の脳内にある
理想の香りをフォームに書き込む

重たい雲が広がりじっとりと湿っぽく永遠と雨が振り続ける森の奥にある半分朽ちたような礼拝堂や寺院の一室で蹲るようなイメージ。
香水を身につけたいのですが世の中には華やかで明るい香りが多くオーダーという形を取らせて頂きました。
陰鬱で鬱屈とした重たい香水を作って頂ければと思います、どうかよろしくお願いします。


今見返せばとんでもないなぁ、と思う。
勢いって大事。
未だに香水って華やかな物だなって思っているのでちょっと知識を得始めた今なら言えないオーダーかもしれない。
知識もないあのタイミングでオーダーして本当に良かった。

担当して下さったのは山根さん。
知識のない私でも理解できるようイメージが湧くよう
オーダーの際に使った言葉を折り込みつつ
ていねいに香りの説明をして下さる。
そんな優しさの滲むメールの文面を読みながら細長いムエットを嗅いで浮かぶ情景や色味を頭の中に思い描き、
それの感想と変更したい箇所を私の拙い文章にて送り返す。
香りのジグソーパズルをしながら連想ゲームをしているようだった。

せっかくなので掘り出したメールの内容を載っけておく。
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▷送っていただいたベースでイメージに近い香り

・ウッディ
最初に来るレモンの爽やかな香りだけイメージと外れてしまうのですがそれを超えたあとの香りはとてもイメージに近いです。森のような香りの後、最後にふわりと来る薄ら甘い感じは好みです。

・ウッディオリエンタル
寺院をメインに置くのであればこちらの方がぴしゃりとハマる感じがします。その分湿っぽさと草っぽさが薄れてしまうのでしょうか、そこが残念です。

‎ ‎𐰷チューニングしたい方向性
・ウッディ
より良くしたい点: レモンの香りを減らす、無くす事は可能でしょうか?
その代わりに重たく湿った香りか草の香りが入ると嬉しいです。

・ウッディオリエンタル
より良くしたい点:森、草、湿り気が増すと嬉しいです。
雨のような重い湿り気はなんの香料になるのでしょうか??

トッピングのご提案の中では
B8/B17/サンダルウッド
の3種が好みでした!!
可能であれば新規追加香料の
アガーウッド/ヒノキ/パチュリ/ベチバー
のムエットを送っていただく事は可能でしょうか?

追加でムエットを送っていただく、
年末に被りバタバタとして間が空いてから
感想を伝える

早速嗅がせて頂きました!
ベチバーは湿った土を。パチュリからは辛気臭さ…?喉の奥に絡みひっかかるような感覚を感じれたので可能であれば強め、加えて?頂けると嬉しいです。
そして混ぜて送っていただいたムエットの
ジュニパーベリー、ブラックペッパーのジリリとした感じがとても好みでした。
どちらかで構いませんので、後味の悪い粘ついた感じにアクセントとして加えて頂く事は可能でしょうか?
イメージとしては悪夢を見た時の寝起きの悪さや、苦い薬を飲んだ咥内の後味の悪さのような感じです。


寝起きの悪さと後味の悪さを香水にしようとする
完全に欲を出している人間の文章ですね。

香料のフィードバックをどうもありがとうございます。
いただいた内容を踏まえながら、3つの処方を検討してみました。

パターン①
17_Warm Woody
08_Dry Oriental
単_Patchouli
単_Vetiver

ベースのウッディを柑橘を抜いて分解すると、
17と8のベース+Patcholiにて構成される処方になります。
少しパチュリの重みを増やしつつ、ベチバーの土っぽさが入ることで、
よりアーシーな陰鬱さを演出できるかと存じます。
Juniper Berry / Black Pepperを加えてトップノートを作るのもおすすめです。
前者は針葉樹林のような印象、後者は寺院のような印象を深めます。

パターン②
ウッディオリエンタル
08_Dry Oriental
05_Herbal Green
単_Patchouli
単_Juniperberry

ウッディオリエンタルに8のベースで森感を、
5のベースで草感を出しながら、パチュリでじめっとさせています。
元々少し寺院のようなインセンスっぽさがあるので、
Juniperberryを入れると8のベースとの相性がいいです。Sandalwood / Agarwoodをさらに加えてもユニークです。

パターン③
ウッディオリエンタル
17_Warm Woody
単_Patchouli
単_Agarwood
単_Black Pepper

寺院の路線を踏襲しつつ、さらにじめっと重くしたような印象です。比率によっても変わりますが、パチュリを多めにするとユニークです。Agarwoodが苦手でなければこちらも多めに使えると面白いかと思います。

優しいんですよ、滅茶苦茶なオーダーを飲んでくれてるんです、どれだけ懐の深い人なんだ…と山根さんに思いを馳せたりするなどする。

とても詳しいパターンの提案ありがとうございます!

パターン①は後者の寺院感が強い方が好みな気がします、
重く土っぽいのはとても理想的です。

パターン②は草感が出るとの事でとても気になります、
sandalwoodの追加でお寺感が強められる感じでしょうか?

上記2つもとても魅力的なのですが、パターン③が個人的にはとても刺さりそうな気がしております!!Agarwood苦手では無く、癖が強くなっても問題ありませんのでパチュリと共に多く配合して頂けたらなぁと思いました。

ジグソーパズルの最後の1ピースがぱちん、とハマった感じがしてもうワクワク、
サンプルを頂きじっくり試す、
結果的に刺さった順で1.3.2だったので
フルボトルでは1を小さいサイズで3を購入。

結果、落ち着ける最強香水が出来上がりました、
あれじゃないこれじゃない!ってなった時にでも
シュッとすれば気持ちの落ち着く1本です。
そしてレイヤードに使っても良いんですよ…これ。

フォロワー様にも嗅いで頂いたのですが、
その感想もまた面白くてホクホク、
興味のある方には是非嗅いで頂きたいし
好みの近いお鼻の方には配合まで教えたい。
そんな1本です。

安心と信頼のリベルタさん、
刺さる香水がないなぁ、好きな匂いはあるんだけどなぁ、
って方に是非おすすめしたいです。

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