元海上自衛官から外資系金融企業へのキャリアの作り方(no.12)
プロフィール
荒井 舞さん
現職:外資系金融証券会社インターナル IT
自衛隊在職時最終役職:海上自衛隊海士長
経歴
ーー本日はお忙しい中、退職予定自衛官、元自衛官のキャリアを考えるインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず、荒井さんの経歴を教えていただけますか。
荒井さん:都内の大学卒業後、海上自衛隊に入隊しました。自衛隊勤務時代は海上自衛隊初のコンピュータ/ネットワーク関係の部隊で勤務し、海士長で退職しています。
自衛隊勤務で携わったコンピュータ/ネットワークの可能性に魅せられて、民間企業でより発展的にコンピュータ関連に携わる仕事をしたいと考え、民間企業へ再就職しました。当時、海上自衛隊では、そういったコンピュータ関連の職種は正式に職種化していなかったためです。
その後は、学生時代から学んできた英語を生かし外資系企業の社内IT部門でキャリアを積み、転職によるキャリアアップもしつつ、現在は外資系金融証券企業のIT部門で勤務しています。
また、会社員として働く傍ら、ライフワークとして、自身も長年苦しんできた、摂食障害の克復サポートカウンセラーになるための勉強をしている毎日です。
ーー大学卒業してから、入隊されたんですね。自衛隊に入隊された背景と在職時の職務内容を教えていただけますでしょうか。
荒井さん:大学生活がわりとゆるい感じだったため、自分を律するような生活の仕事ができるようなと就職先を考えていました。その中で、自衛隊少年工科学校出身の方との出逢いがあり、その方との出逢いを通じ、私もその人のような、自分をしっかりともった人間になりたいと強く思い自衛隊に入るひとつきっかけになりました。
また、別の理由に、実は大学の時に摂食障害を発症していたのですが、通院したり、治療的なこともしていたものの、なかなか思うようにならず、この疾患を克服したいという思いからも、環境を変え、心身鍛えよう、と入隊へのきっかけへとつながっていきました。
入隊後は、海士教育を受けた後に、主に海上自衛隊の電子整備や正式に職種化する前のコンピュータ/ネットワークの仕事を行っていました。
海上自衛隊なので海での訓練がきついかといますよね?それが違うんです。
ーー摂食障害克服も目的のひとつだったんですね、そうして入隊した自衛隊ですが、自衛隊在職中の思い出・エピソードを教えていただけますか。
荒井さん:術科学校の訓練が大変でしたね。広島の江田島で訓練を行っていたのですが、もう大変でした。大学卒業するまで、あそこまで大変な思いをすることがなかなかありませんでした。
海上自衛隊なので海での訓練がきついかといますよね?それが違うんです。江田島にある山を登るんですよ。登るというより「走る」という表現が適切です。しかもなだらかな山ではなく、大股で石をまたぐような山です。吐きそうになるくらい毎回きつかったですね。体力と精神力がかなり鍛えられましたし、また、訓練期間中は冬だったので、寒さも応えました。毎朝7時30分から8時に国旗が掲揚される海辺での30分間の直立不動は耐え難いほど寒く、我慢強さも相当鍛えれました。
海上自衛隊は白いピシッとした制服のイメージが強いと思いますが、まさに服装へのこだわりも強いんです。服装点検になるととくに指導が厳しく、入隊直後の教育教育中は一日2回(朝と昼)アイロンをかけていました。当時、隊舎の4階に住んでおり、アイロンを掛けても階段を降りる際にどうしても多少歩きシワがつきます。このシワも指導対象になるんです。連帯責任で指導を受けました。
一人1シワにつきスクワット10回で、20人近くいたため、200回近くスクワットをやったこともあります。スクワット以外に腕立て伏せ、腹筋など一人(10回)×メニューのように種類豊富です。アスファルトの上でやるため、腹筋をやり過ぎてお尻の皮が剥けたほどです。ただ、今となってはどんなこともよき思い出です。
ーーすごい鍛錬ですね。そうした充実した自衛隊生活でしたが、なぜ自衛隊から民間企業へ再就職されようと思ったのでしょうか。
荒井さん:司令部のコンピュータ/ネットワーク関連の部署に配属されたことがきっかけですね。今から約20年前に海上自衛隊がはじめての立ち上げた部署だったのですが、当時はトライアンドエラーの繰り返しで、大変でしたが、いろいろと操作をさせてもらう中で、コンピュータ/ネットワークの可能性に魅了されました。その業界に携わって生きていけば、時代の最先端に常に入れる、と直観的に感じたのです。
そこで、本を読んで勉強したり、上司から話を聞いて、コンピュータ/ネットワークに関するこをとことん勉強しました。勉強すればするほど、コンピュータやネットワーク関する仕事に携われれば、時代の最先端にいられると考えていました。ですが、残念ながら、当時の自衛隊では、職種化するかはまだわからないという状況でした。
電話回線でインターネットが普及しはじめた時代で、民間企業ではコンピュータ/ネットワークを活用していこうという時代です。そのため、最先端の仕事をしたいと再就職を決めました。
再就職活動に必要なのは、コミュニケーションと信頼関係
ーー在職中の転職活動は情報収集、スケジュール、準備等大変だったと思います。どのような準備をされましたか。
荒井さん:私の場合、進む道はコンピュータ/ネットワークを使う仕事と決めていたため、関連する情報収集をまず行いました。まず雑誌を見て、転職エージェントとコンタクトを取り、オフィスに足を運び、その後はPCメールでやりとりをして、たまにオフィスに行っていました。横須賀の基地勤務のため、就職活動は比較的しやすかったです。それでも情報収集は綿密に行いました。活動しはじめたのが8月で、3月に退職したため、退職までに半年近く情報収集や、どういった雇用募集があるか、という調査をしていたと思います。
その他、希望職種対して、どのようなスキルが必要かを転職エージェントに確認、相談していました。ただ、私の場合、ほぼ、未経験なチャレンジだったので、スキルというより、アピールできるマインドセットのようなものを、エージェントから教えてもらっていた気がします。あとは、ひたすら関連分野の勉強をしていました。
当時は担当のエージェントにどれだけ覚えてもらえるかが大事だと思い、とにかく、密にコミュニケーションを取りました。そうすることで、信頼関係の構築をしていました。
エージェントの方も人ですので、候補者の実力が同じであれば信頼している候補者を書類通過でプッシュしてくれる可能性が高まります。そのため、信頼関係の構築というのは大事かと思います。私の知人で転職エージェントをしている方がおり、スキルがあっても人間的に信頼できないと企業へ紹介できないと言ってました。
仕事を任せられるかに繋がってくる=信用に繫がる=仕事を紹介できる、という構図が成り立ちます。
人間関係をしっかりと築く意味でも、コミュニケーション能力は大事なことだと思います。
コミュニケーション能力があると、人から教えてもらう機会を作りやすく、自分の能力以上のものを習得する機会に恵まれるため、自己成長が止まることはありません。企業に入ってからも使える能力ですし、どこでも、どんなシーンでも必要なことです。
また、企業研究をする中で、ここで働きたいと明確に就職したい企業を決めると思います。ただ、私はあまり執着しない方がよいとも思います。就職活動は、ある種、お見合いのような要素もあり、合うときは合いますし、お互いがお互いを観察するくらいの方がうまくいくと思うのです。
逆にその企業イメージに執着するがあまり、面接時に取り繕ってしまっても、その企業の文化や社風に合わない場合、入ってから苦しいと思います。面接を受けるには、もちろん準備は必須ですが、基本は自然体で臨まれるのが一番よいです。
私も採用面接を幾度となく経験してきましたが、ある程度は、職務経歴書などをみればわかります。その上で、具体的なシーン別の質問をし、そこでその方がどういう方か、チームに馴染むかを大事に考えて面接をします。自衛隊から民間に転職される場合は、未経験で再就職に臨まれることが多いと思いますが、ご自身の人間性や自衛隊で培われた、経験に基づいたソフトスキルを伝えればと私は思いますし、一貫性を持った方は評価が高いと感じます。
ーー面接のコツを教えていただきました。荒井さんは、難易度の高い外資系金融企業でキャリアを進めていますが、外資系企業でのキャリアの積み重ね方について現在のお仕事や今後のキャリアとともにお聞かせください。
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