色無地の仕立て
色無地の仕立ては緊張します。何故かというと、誤魔化しがきかないから。
というのも、色無地って当然ながら柄が無いんですよね。なので、縫目の粗さとか、弛みとか緩みとかが一目瞭然になるんです。全体に大きな柄があったりすると、仕立てがイマイチでも柄に紛れて目立たないのですが。それでも仕立てた本人は分かってしまうので、仕立てがイマイチの着物を見るたびに心がもやっとするのですけど。
昨日は胴裏と八掛の経ち切りをしていました。要するに、着物の裏地となる二枚の布を切り分けていたのです。彼氏くんに「何がそんなに難しいの」とい聞かれたので、こう答えました。
「見頃、つまり着物の外側で袖でない部分は6枚の長方形の布から出来てるの。でも裏側は、元々2枚の長方形の布だったのを、全部で13枚の長方形の布に切り分けた上で、それを縫い合わせて出来てるのよね。切るのを失敗したら取り返しがつかなくなるから緊張するの」と。
厳密に言えば、失敗しても誤魔化せる場合が多いけど、失敗した時の精神的打撃は結構大きい。立ち直るのに数日かかっちゃったりするから、出来たら避けたい。佐古先生がいたら『あら~やっちゃった!人生あるある、よ!どうにかなるわよ、ほらほら、見せてごらんなさい‼』って言ってくれて、二人でさくさく次に進めるのだけど、先生はもういない。寂しい。でも縫物をすると、不思議と落ち着く。先生と過ごした時間を、もう一度なぞっているみたいな感じがします。
次は胴裏と八掛の剥ぎ合わせです。