北米獣医師免許試験・備忘録92、一夜明けて 2 Yuzu: Vet in Canada 2024年6月25日 22:25 軋む体と、腫れた目と、ごちゃごちゃになった気持ち。試験から一晩明けても、まだ余韻が続いている感じがする。昨日の朝、あまり味のしない朝食を済ませて早めに試験会場に行くと、待合室にはすでに二人の女性が座っていた。二人の会話を拾い聞きして、彼女らもNAVLEを受けるらしいと見当をつける。そんなことをしている間に、次々と人がやってきて小さな待合室は一杯になった。殆どが新卒・獣医師のタマゴらしく、お互いに軽く挨拶をしている。少し心細くなった。会場係から整理番号を渡され、番号順に入場。ロッカーが割り当てられ、私物は全てそこに入れる。国際空港の身体検査並みのセキュリティーチェックを受け、各ブースへ。ブースにはヘッドフォン付きパソコンが一台。会場側が用意した筆記用具が渡され、試験開始となった。15分間の受験にあたっての説明が終わると、即座に最初のブロックが開始。この時点から秒読みスタート。試験は全部で6ブロック。各ブロックは60問からなり、与えられた時間は65分。つまり1問につき60秒だと思っていい。そこを甘く見ていた。第一ブロック、緊張のあまり問題の読み込みに時間がかかり、後半に時間が足りなくなるという失敗をした。30問ほど解いたところでギョッとしたのだ。残り時間が少ない!ざぁっと血の気がなくなり、心臓が喉までせりあがってきた。問題を読んでいる時間すらないかもしれない。でも選択問題で、選択をしない問題を残すのはあまりに愚かだ。軽くパニックになり、すぐそんなことをしている場合じゃないと思いなおす。そこから正直記憶がない。半分震えながら必死で問題を読み、問題を読めなかったものについては回答に目を走らせ、適当に答えを選んだ。受験者には各ブロックの間に合計45分の休憩を取ることが許されている。等分に配当すると、ブロックの間に9分間になる。出入室の度に署名とセキュリティーチェックを通過しないといけない。係員の人も心得ていた。入退室の度にそれらを手早く済ませてくれ、更に激励までしてくれたのだけれど、時間制限には容赦がない。何とか最初のブロックを終了させ、ブースが設置されている部屋から飛び出した。眩暈がした。ドクターネイトの言葉が響く。「とにかく水分補給をして、軽く食べて、トイレに行くといい」。その通りにして、再入室の前に窓から外を眺めて深呼吸する。済んだことは忘れろ。ともかく次だ。第二ブロックは最初から問題を読み込まないようにしようと思っていたのに、やっぱり時間が足りなくなった。叫びそうになる。最後の方で、病院の収支報告に関する問題が出てきた時には途方にくれた。こんなものをどうしろと。第一ブロックと同様に全部の問題を何とか答え、また飛び出す。今度は吐き気までしてきたような。最初の休憩で5分程度しか使わなかったので、少し座って休む。チョコレートを持ってきておいて、本当によかった。第三ブロック、無難に終了。何かの木の写真が出てきて、その名前を聞かれた。毒性を持つ植物らしい。知るかそんなの、と思ったけれど、乏しい植物の知識を総動員して回答した。第四ブロック、また時間が足りなくなった。この頃には Sensitivity & Specificity(感度 & 特異度)系の問題が出てきた時には精神状態の躍り上がり様が半端なかった。確実に正解が選べるし、問題にかかる時間は10秒以下。スーパーボーナス問題としか言いようがない。第五・第六ブロック。ここまで来ると、精神面を保つのが辛くなった。あ、これどっちだったっけ?と思ったって、悩んでいる時間なんかない。適当に選び、次に進む。その度に「もう嫌だ、絶対落ちてる」というパニックの波がやってくる。問題を読んでいた筈なのに、頭が真っ白になって何かに占領されていく感じがした。BCSEと全然違う。合計7時間30分の試験が終了した。終わった時には、また吐き気がしていた。試験が終わってからすぐに、粉々に壊れたかのような自分自身を拾い始めた。上手くできない。疲れているだろうに、頭はギリギリと音をたてながら眠ることを拒絶していた。押さえ込んでいた感情がマグマみたいに溶解して、噴き出して、どうしていいかわからなかった。グレッグと実りのない空しい話をし、更に落ち込み、実家に電話をしてみるものの収まらない。夜中の12時をまわる頃、ドクターケイトがテキストメッセージをくれた。試験がどうだったかを説明し、たぶん駄目だと思うと弱音を吐くと、返事が返ってきた。何だか安心した。そうだ、彼女もつい最近(去年?)NAVLEを受けたんだっけ。だからかな、試験の話をしていて楽なのはと思いつつ、メッセージのやり取りをしているうちに、ようやく眠れる気配がやってきた。夢は見なかった。今日は、まだ心がどこか折れているような疼きはあるものの、昨日よりは落着いている。でも、駄目だ。結果通知で目にするのは、きっと fail だと思う。2017.12.11 Mondayこれ、Nat-vet さんは最初の試験で合格したのです。すごい!そして、羨ましい!! 羨ましすぎる!!!! ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #北米獣医師免許試験 #NAVLE 2