着物の型紙
一般的な女性の着物の型紙(パターン)は、基本形が一つ。それを着る人の身長や体型に合わせて調整する。
型紙は長着、羽織、道中着、道行、雨コート、袴…他に何かあっただろうか?そんな感じ。一般的な女性長着に使われる寸法は、約24、佐古先生は加えて2つの寸法を取り入れて着物を縫っていた。曰く「ちょっとの違いなんだけど、そうした方が着た時にしっくりきて気持ちいいのよ」だそうだ。なので私の仕立てもそれに倣っている。
着物は洋服のように、ほぼ無限に型紙がある訳ではない。これは着物が使い回しと再利用を重要視しているからだと思う。
着物は型紙がシンプルで、体に巻き付ける着方をするので、着るときに体型に合わせて微調整ができるようになったいる。身長が +/- 5 ㎝ なら確実に、それ以上でも、ファッションで着る場合には問題なく着付けることが可能。洋服で言うなら、Lサイズの服をMサイズの人が着られる、逆も然りみたいな。
そして「着物は息が長い」とも言う。頻繁に着てたら、傷むのも早いけど、作り直しが出来る。写真の中の着物は大島紬と言って、丈夫な生地という定評がある反物で作った着物。元々は母の着物で、祖母が仕立てたものだったのを、娘の私用に仕立て直したもの。その仕立てに問題があったので、後に佐古先生がもう一度仕立て直したもの(何が問題だったかは、また後日記事にします)。この反物が織られたのは、おそらく50年くらい前の筈だけど、その反物で作られた着物は今でも現役。他にも私のところには20年、30年前に織られた反物で仕立て上げた着物がいくつかあり、今でも着ている。
着物はTemu や Shein に代表される「ファースト・ファッション」とは真逆のところにある。そこも好き。愛おしいと思う。ひとつの着物が運ぶ思いとか、思い出とか、私にとってはすごく大事。
でも時々、すごく寂しくなるのも事実。私は佐古先生から受け継いだけど、私から受け継いでいく人はいないのではないかしら。私は子供が出来なかったし、いや、子供がいたとしても、継いでくれるとは限らないのだけど。
着物は続いていくとは思う。観光用のレンタル着物は大人気だそう。ただ日常の一部としての着物は消えて行くだろうと、それが寂しい。