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着物は息が長いと言うけれど
ホントに息が長いです(笑)
写真の着物は余裕で30年以上前に用立てた振袖です。流石に今は訪問着になってます。最後に着付けたのは2年半前?かな。前回の一時帰国の際にお手入れのため日本に持って帰ったので、手元にはありませんが、お気に入りの着物の一つです。
仕立てたのはまだ中学生の頃だったと思います。突如として呉服屋さんが反物を携えて実家に現れ、あれよと幾つかの反物が広げられ、どれが好きかと聞かれたのを覚えています。そして選んだのが抹茶色の辻が花(刺繍)。最後の最後まで『こっちの赤い着物じゃなくていいの?』と尋ねられ、頑として譲らなかった事も…覚えています。高校の進路といい、随分と頑固な子供だったのだなと思うのと、よく親が口を挟んで来なかったなと思いました。
今にして思うと、この物凄く早い振袖の仕立ては祖母の意向だったのかなと。多くの親が成人式を迎える前の19歳とかで仕立てる、或いはレンタルで済ませるのが主流になりつつあった頃、父方の叔母が何故か振袖反物を買ってきちゃった。しかも当時では型破りのモリハナエ、紫と青を基調とした派手な蝶々の柄。叔母さんの家は、男の子ばっかりだもんね!一目惚れして買ったはいいけど、着る娘はいない、ならよく言う事を聞く弟の娘x2のどっちかが着るでしょ、ぽーん。
想像するに、祖母は焦ったのではなかろうか。
孫の着物を選ぶ楽しみが、いきなり横から奪われたというか。叔母に「別に要らないって言われたら、しばらく眺めて過ごすからいいわ」と言われたからって、まあ付き合いもあるし、何より姉がそれでいいと言っちゃったのか何なのか。とにかく姉用に仕立てられる事になっちゃった。まずい。第二の反物が降ってくる前に用立てよう!そういう事だったのではと着物を縫うようになってから思ったのです。
佐古先生と、この振袖の袖を切るか切らないかで相談した記憶があります。私は結婚した経験がないので、昔の風習に準えるなら長いままでいいとも言えるますし、夫が欲しいわけでも無いので年齢的にも短くして支障もない。結局、その時には切りませんでした。綺麗すぎて切るのが躊躇われたからです。
それでも流石に数年前に袖を短くしました。その方が着る機会が増えるというのが一つ。もう一つは、姉が結婚した為、モリハナエの振袖が私の所に来たのです。母・姉曰く「一応、独身だし、カナダだったら着ることもあると思う。日本よりは確実に」だそうです。正しいな。
残念なことに、モリハナエの振袖も今は日本です。手入れの難しさも然り、私のアパートに着物を収納する場所が無いのです。
いつか広い家(というか、たぶんコンドミニアム)に引越して、日本から着物を持ち出すのが夢といえば夢です。