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どうして犬や猫の肩甲骨は発達していないの?
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四足歩行の動物では前足も移動に重要で,大きな筋肉が必要になります。そのため犬や猫などでは前肢の運動に関わる肩甲骨は大きく発達し,肩甲骨の動きを阻害する鎖骨は退化しました。
鎖骨は三次元的な動き(水平面での前後運動や肩をぐるっとまわす回旋運動など)に重要で,肩甲骨の動きを制限する骨でもあります。
四足動物である犬や猫の肩甲骨と上腕骨から形成される肩関節は主に前後の振り子運動が主です。また,犬や猫の肉球をみても明らかなように彼らの掌では物を掴んだり投げたりといった複雑な動きは難しいです。歩行という特性を伸ばすには,振り子運動の邪魔になる鎖骨を小さくして歩行に使う筋肉が付着する肩甲骨を大きくするのが理にかなっているのです。
また人の肩甲骨にみられない犬猫の肩甲骨の特徴に肩甲棘という盛り上がりがあります。これも前肢の筋肉が付着する部分を増やす役割があると思われます。
解剖学の教科書でも犬や猫でも痕跡的に鎖骨はあるとされ,猫では2~2.5cm,犬で0.6~1.2cm程度で筋肉の癒合部の中に埋れていると記載されています。私自身,胸部のレントゲン写真でもはっきり鎖骨を認識したことはありません(撮影時に足を引っ張っているので重なっているのかもしれませんが,,,)。機能はなく退化しているものと考えられます。
ちなみに肩甲骨は筋肉だけで胴体とつながっているので,無理に開いたりしないように気をつけてください。
参考
・加藤嘉太郎, 山内昭二, 新編家畜比較解剖図説 上, 養賢堂, 2003年
・佐原 亘 ,菅本一臣 ,節の 3 次元動態 ,鎖骨,肩甲骨の バイオメカニクス ,Jpn J Rehabil Med 2016;53:750-753
・宮 本 俊 之 et al,上肢挙上時における鎖骨の動き , 整 形外 科 と災 害外 科 46: (3)890~893, 1997.
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