犬と猫の再生医療について
皆様は犬や猫でも再生医療を受けられることはご存知でしょうか?
人医療では、iPS細胞やES細胞など、目覚ましく発展している分野ですが、犬猫でも間葉系幹細胞を用いた再生医療を行うことができる施設が増えてきています。
今回の記事では、犬と猫の再生医療における過去の報告や適応疾患、実際の臨床現場の実情について解説します。
この記事は
犬や猫の再生医療の存在を初めて知り、興味を持たれた方
現在の治療にプラスαで何かやってあげることの出来る治療を探されている方
再生医療を検討しているが、詳細がわからず踏み出せなかった方
に向けたものとして作成しました。
この記事を読むことで、
犬と猫の再生医療の概要について
犬と猫の再生医療に期待できる効果について
再生医療がどのような病気に対して適応となるのか
犬と猫の再生医療の実際について(安全性・投与頻度・費用など)
実際に再生医療を行なってきた獣医師としての個人的意見・感想
について知ることができます。
間葉系幹細胞とは?
そもそも幹細胞とは、様々な種類の細胞に分化する能力を持つ細胞をいいます。
幹細胞には多能性幹細胞と組織幹細胞があり、
多能性幹細胞は個体を形成する全ての細胞へ分化する能力を持ち、
組織幹細胞は分化可能な細胞の種類が決まっている幹細胞です。
つまり、簡単に言い換えると、
多能性幹細胞は基本的にどんな細胞にでもなれる細胞で、
組織幹細胞は数種類の決まった細胞にのみなれる細胞です。
有名なES細胞やiPS細胞は多能性幹細胞であり、
治療に使われる間葉系幹細胞は組織幹細胞に含まれます。
間葉系幹細胞は、一般に、筋肉・脂肪・神経・結合組織に分化する能力を持ちますが、他の細胞にも分化できることが複数の研究で報告されています。
獣医再生医療で使用される主な間葉系幹細胞とは?
獣医療で用いられる主な間葉系幹細胞には、
①骨髄由来幹細胞
②脂肪幹細胞
があります。
①はその名の通り、骨髄から採取した幹細胞を培養したもので、
②もその名の通り、脂肪から採取した幹細胞を培養したものです。
他にもありますが、過去の研究報告で多く使用されているのは上記2つで、実際の臨床現場では複数のメリットから、脂肪幹細胞が使用されることが多いです。
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