子犬の甘噛み対策について
子犬の甘噛みで悩んでいる飼い主様は結構多いと思います。
今回の記事は
なかなか子犬の甘噛みが無くならずに困っている方
子犬の躾け方に悩んでいる方
家のものをボロボロにしてしまうので、甘噛みをやめさせたいと思っている方
噛み癖があるので、外で他の犬や人を噛んでしまわないか心配な方
に向けて作成しました。
甘噛みをしないようにするための方法や甘噛みされてしまった時の対策などを書いていきたいと思います。
少しでもお役に立てば幸いです。
<子犬が甘噛みをする理由>
甘噛をすることは子犬にとって正常であり、意味のある行動です。
生後4~6ヶ月くらいまでは様々なものを噛むことで学習したり、乳歯から永久歯に変わる時期でもあるので、噛むことで乳歯が抜けやすくなったりもします。
また、その狩猟本能から動くものを追いかけて噛もうとします。
そのため、人間の手・洋服の裾などのひらひら動くものにはつい甘噛みしてしまいます。
この時期を過ぎると甘噛みが減ってくる傾向にありますが、
この時期の子犬の甘噛みを正常であるとして全て許容してするのは良くありません。
甘噛みをする時期は同時に「人間を噛んではいけない」と教えなければいけない時期でもあります。
<甘噛みが問題化しないために>
前述の通り、噛むという行動に対しての教育は生後4~6か月で早期に行っていくことが重要です。
通常、子犬は母犬や兄弟犬との遊びの中で噛む強さなどを学習していきます。
強く噛みすぎたり、しつこすぎれば怒られ、怒られることで学んでいきます。
ですが現実には、学ぶべき時期には母犬や兄弟犬と離れて暮らしている場合が多く、特にあまり一緒に遊んであげれる時間が少ない子犬ではその学習機会が無いので、将来的に問題行動となってしまうケースが多く見られるようになってしまいます。
つまり、”適切な時期”に”適切な方法”でしっかりと遊んであげることで学習させてあげることが重要になります。
では、”適切な時期”とはいつで、”適切な方法”とはどのような方法なのか見ていきましょう。
①適切な時期
これは前述の通り、生後4~6ヶ月になります。
②適切な方法
『おもちゃを使って遊ぶ』
子犬の噛みたいという欲求をおもちゃを使って発散してあげましょう。
おもちゃには「人と一緒に遊ぶおもちゃ」と「ひとりで遊ぶおもちゃ」の2種類があります。
・人と一緒に遊ぶおもちゃ
→ロープで引っ張り合いっこする
→ボールを投げて取ってこさせる
投げたり引っ張ったりしながら一緒に遊ぶことでコミュニケーションをとりつつ、噛みたいという欲求を発散してあげましょう!
・ひとりで遊ぶおもちゃ
留守中などの暇になる時間には、ひとりで遊べるおもちゃを与えてあげましょう。
暇なときに遊ぶものがないと、周囲の家具などの噛んではいけない場所を遊びながら噛んでしまう確率があがってしまいます。
コングなどの、中からおやつが出てくるようなおもちゃなどをケージやクレート内に入れておきましょう。
*遊ぶ際の注意点
子犬が飲み込めるような小さ過ぎるおもちゃは避ける
噛んで欲しくないもの(靴下/クッション/スリッパ/服など)は与えない
人間の手など、体の一部を噛ませたりする遊びはしない
『犬同士のふれあいの機会を作る』
他の犬とのふれあいの中で嚙みつきの抑制を学ぶことが出来ます。
ですが、相手との相性などによっては他の犬に対してトラウマを持ってしまう可能性があったり、ケンカで怪我をしてしまうこともあります。
そのため、近所で開催されているパピークラスなどに参加するのがオススメです。
定期的にパピークラスを開催している動物病院もあるので、近くの動物病院のホームページをを覗いてみてください。
<甘噛みされた時の対処法>
残念ながら頑張って対策しても多少の甘噛み癖が残ってしまうこともあります。
そんなときにも諦めず、しっかりと対処してあげることで甘噛みを抑制できる場合があります。
①オススメの対処法
”甘噛みされてしまったときにははっきりとした声で「痛い!」と言ってそのまま無視もしくは遊びの場から退出して、少ししたら(1分程度)子犬の元に戻る”
これによって子犬は「人を甘噛みする=遊んでもらえなくなる」と学習します。
ここで大事なこととして、家族間でこの対応を統一しておくことです。
ひとりが正しい対応をしていても、他のご家族が甘噛みを許容してしまったら子犬は人間を噛むことがいけないことだと学ぶことができなくなってしまいます。
また、甘噛みされて遊びを辞めるときには走って移動したり騒いだりしないようにしてください。
子犬は人間が走ったり騒いだりすると、それも遊びと捉えてしまう場合があります。
どうしても家具やスリッパなどをボロボロにしてしまう子に対しては「噛みつき防止スプレー」などを利用してみると良いかもしれません。
スプレーには苦い成分が含まれているので味を嫌がって噛まなくなっていきます。
②オススメできない対処法
オススメできない対処法としては、強く叱責する・叩くなどです
これらによって逆に人間に恐怖心を抱かせてしまい攻撃行動を加速させてしまう恐れがあります。
<急に噛むようになってしまった場合に考えられること>
今まで噛まなかった子が急に噛むようになってしまった場合、もしかすると病気が隠れている可能性があります。
どこかに、
「痛みや違和感があり、触られることで痛みが生じて噛むようになってしまう場合」、
「違和感によるストレスで噛むようになってしまう場合」
などが考えられます。
実際の臨床現場で経験のある例を幾つか書いみると、
破折(歯が折れる/割れる)/口の中の腫瘍/重度の歯周炎などで口の痛みが生じていて顔周りを触ろうとすると怒って噛む。
脊椎疾患/椎間板疾患などで首の痛みや腰の痛みがあり、触ろうとすると怒って噛む。
慢性的なアトピー/アレルギー性皮膚炎、外耳炎による痒みからくるストレスで性格が変化してしまった(凶暴になった)。
頭蓋内疾患(脳の疾患)で性格/行動が変化してしまった(凶暴になった)。
急に噛むようになってしまった場合には何か病気が隠れていることもあるので、動物病院で一度相談してみましょう。
<まとめ>
甘噛みは子犬にとって正常な行動だが全てを放置するのはNG。
甘噛みを抑制するためには早い時期(4〜6ヶ月齢)における対応が重要。
適切な方法で遊ぶことで噛みたい衝動を発散させつつ学習させよう!
甘噛みされた時の対処法は家族全員で統一しよう!
体罰はダメ!
成犬になって急に噛むようになってしまった場合には病気が隠れている可能性もあるので必ず病院へ!
子犬の頃にしっかりと躾しとけばよかったと後悔する患者様が少しでも減ってくれたら幸いです。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。