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ソウル親子留学2003年⑦クセ強め便利屋さん社長

語学留学のため(子連れ)ソウルでアパートを借りた。家財道具を調達しなきゃいけない。

が、節約もしなきゃなので、知り合った人からタダであげると言われたものは、なんでもありがたく頂戴した。

そのうちのひとつ、洗濯機が動かなくなった。完璧につぶれたようだ。(壊れた)

仕方ない。また楽々に頼もう。

『楽々サービス』は、日本人駐在員御用達の便利屋さんだ。たいていのことは引き受けてくれ、なかでも、帰国時に家具や小物を一手に買い取ってくれるサービスが人気だ。

お店に行くと、日本の家具や電化製品から子供のおもちゃ、アニメビデオまでが並び、まるで日本のリサイクルショップである。

アパートが決まってすぐ、私もここで安い電化製品や小物を買った。

韓国人社長が日本語を話せるのも大きい。

ただしこの方、かなりクセ強め発音で日本語を話すのだ。


電話すると、開口一番

「だっからあ! ワタシが言ったでしょ? ターダは気をつけてくっださいってぇぇ」

怒られてしまった。

そう。最初にこの店で電子レンジとトースターを買ったとき、冷蔵庫と洗濯機は大丈夫かと聞かれたので

「はい、それらは、ただで貰えるんです」

と、答えたら

なぜか
めっちゃ疑わしき横目で私を見てきて

「そうれ……タイジョブ? ターダてのはねぇ、良っっっくないことぉ多いです。私もよっく、タダでいいから引き取ってくれぇ言われることあります、けれど、それはね。たいったい、使えないものばーーーーーーーーっっっかり」

喉からすごい空気を飛ばす発音(韓国語ではそういう発音の仕方が多い)で警告されていた。

それなのに、翌日

タダで貰った冷蔵庫が到着したら、案の定、かなり古く異臭もして使えないと分かる。

私はさっそく社長に電話し、やっぱり冷蔵庫を買いますから、これ(売り物にならないであろう冷蔵庫)を処分してくださいませんかと、お願いした。

「ほっっっっら、みなさい」

と、言われた。

そこから
ひと月しないうちの“洗濯機”なので

「だっからぁ!」

と、始まったのだ。

「まっさか、まただったですかぁ。まったうちで処分ですかぁ。あれねぇ、処分するのにお金かかるんですよぉぉもぉぉ」

電話の向こうでまだブツブツ言う社長。
薄い横目が見えるようだった。

が、さすが楽々サービスさん。
今日中には届けてくれるという。壊れた洗濯機回収も(イヤイヤながら)引き受けてくれた。

助かったありがとう楽々さん。マジャヨ(おっしゃる通り)社長の言った通りだ。

タダには気をつけよう。

続く

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