六甲山のサセンは『あんたやったんかのバラード』
さらさらロン毛に大きな目をした世良さんを初めて目にした遠い日。日本中のティーンエイジャーが秒で撃たれた。
【あんたにあげた愛の日々を、いまさら返せとは、言わないわ🎶】(詞・曲:世良公則)
あんたに何をあげるの?
愛の日々てどんな日々?
返す返さへん問題がでてくんの?
理解出来ないけれど、多感な青春期の本能が煽られる。
親に頼みこんで人生初のファンクラブへ入会。特典で、ツイストボウリング大会への参加抽選権があったからだ。
基本的に運の良いタイプ。その時【も】ボウリング大会が当たる。
その時【も】というのは、人生二度目のファンクラブ入会(BTS)したら、昨秋の釜山コンサートに当選。が、オープニングを見逃すという悲劇に見舞われる。noteにも書いたので、よろしければお読みください。
せっかくの当たりを活かしきれない運命なのか。当日朝、熱を出してボウリング大会には、参加出来なかった。泣。
が、コンサートは行ったようだ。チケットが出てきた。↓これは、たぶんデビュー翌年春のツアー。裏面に「京」が見えるから、京都会館だったのかな。
〈そういえば昨年の紅白。桑田佳祐さんの『時代遅れのRock 'n' Roll Band』Char、佐野元春、野口五郎、そして世良さん登場セッションて最高っ‼︎桑田さんありがとう、紅白さんNHKさんありがとう。久々に、TV画面前正座状態で拝観・拝聴最高‼︎〉
で、チケットや写真を見ながら、ひとりニヤニヤしていたら、ハタと気付くことが。
ん?
これって前日リハ?
私ったらサセンしてましたんか?
【サセン】とは、K-ポップ界隈で使われている言葉で、プライベート空間まで追いかけ回したり、度を越した行為をする迷惑ファンのことを指すようです。
プライベートを追いかけてないが……入れないはずの場にいる私。
そうだ、思いだした。
私と親友アキは、万全の態勢で望むため、前日から会場近くに宿をとった。11時開場の自由席。早朝から並ばないといけない。
チェックイン後、明日、スムーズに行けるように下見へ出かけた。
音楽が聞こえてきた。せ、せ、せ世良さんの声も!我を失った私たちは、気付くと道なき山肌(崖)を登り始めていた。
若さって怖い。笑。
虫やデッカい葉にヒャーヒャー言いながら、必死のパッチで、山勘頼りに音の方へ。
と、転がり出た先には
何台もの楽器車が並んでいた。
ウヒャゲーッ、えらいとこ来てしもた?
とつぜん野ざらしにされた動物のごとく取り乱していると
リハーサルを終えた世良さん&ツイストのメンバーが現れた。
時代はまだ大らか。私たちを制止するスタッフも警備員もいない。
世良さんをパシャリしてから、
上擦った声で
「せ、せらしゃ〜ん!」
こちらを見た世良さんは、大きな目をさらに大きくして
「や? びっくりした」
田舎の高校生が、ご本人の声をナマで聞いたらどうなるか。
「いやー! いやっー!」
「こっち見た! こっち見た!」
まるで襲われたみたいに手足をばたつかせる。
「明日、が、頑張ってください」
そのわりに、普通のことを言う。
「ありがと……でも君たち、どっから入ってきたの?」
そりゃ疑問だろう。
今日はリハだ。一般人(ファン)は入ってこれないはず。道は無い。
「へぇ(わてら)!あの山越えてきましてん」
山を見てしばし無言の世良さんたち。
ジーパンは汚れ、ひょっとすると頭にヤモリが乗っかってたかも。(いろんな意味で、申し訳なかったです)
そのあと楽器車に乗り込んだピアノの神本さんは少し会話してくれた。カーリーヘアなのに、こぼれるような清潔感。色白の神本さんのこともファンだったので嬉しかった。
(昨年、世良さんのライブに出演されてたのをTVで拝見。カチっとした短髪になっていたが清潔感は変わらずで綺麗な紳士だった)
大満足の私たちは、また来た山へと戻っていった。
泊まった安旅館がいけなかった。厨房の不良バイト君たちがナンパしてきた。
若さって怖い。笑。の二回目。
夜遅くまで遊んでしまい、ほとんど寝ずに早朝宿を出る。
無事に入場。
ホッとした私たちは、レンタル座布団を並べて開演まで、ちょっと横に。
芝生。ポカポカ。はい爆睡。
『グィングィングィーンキュイーーーーン!』
『キャー‼︎』
ハッと目を開けると、ライブはとっくに始まっていて、ぎゅうぎゅう詰めの足足足に囲まれていた。(よくまあ踏まずに避けてくれていた。すいません)
逆デジャヴだ。半世紀前にもオープニングを見逃していたんやな。大馬鹿野郎の自分と
証拠写真により
サセンは
あんたやったんかのバラード1978六甲山。
追伸
協賛ダイエーとある。
ダイエーで、リンリンランランのショーを観た記憶がよみがえる。
おわり
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