メロン(4歳)のひとこと#赤ちゃん
______面白かった娘の言動。
メロンは一人っ子だ。流産しかかって入院したり退院後もずっと横になってたり、おまけに難産で最後は頭吸引だったり。
それでも高齢出産そのものに関しては、日々医療が進歩、昔ほどのリスクは無い。
ただ高齢になるほど、生んでからの数か月がキツい体力勝負だ。産後の本能ドーパミンでなんとか乗り切ったけれど、二人目を生む体力気力ともに残っていない。
寂しい思いをさせてるのは時々見ていて分かるので、申し訳ないなと思うけど
そのぶん
ひとりっ子を謳歌してさ
ひとりっ子お得クーポンを享受してねと願う。
が、彼女は大の赤ちゃん好き。外で赤ちゃんを見つけると、近寄っては手や足をナデナデ。
その夜は必ず
「メロンも赤ちゃん欲しい、ママ早く産んで」
と要求がくる。
メルちゃんとしまじろうがおるやんかと、人形の世話へ誘導するが、さすがにもう4才。こヤツらは人間の赤ちゃんでないと知っている。赤ちゃん欲しいモードのときは、彼らにとても冷たい。
というわけで
切り抜けるのに毎回ひと苦労だ。
「ママはね歳もとっててさ、もう産めないんだよ。二人産んだら病気になるかも」
同情を誘ってみたり
「今は韓国語の勉強しないといけないから。ママ頑張ってるから応援して」
パッションを見せつけたり
「赤ちゃんできたらメロンのこと抱っこ出来ないよ?」
子供心に付け込んだり
手を変え品を変える
が、ソウルに来てからも赤ちゃん見ては、同じことを言われ、とうとうネタ切れとなった。
私はウーンと唸り目を閉じた。
ここでキッパリお断りするのも、かわいそうな気するし、かといって安請け合いは出来ない。
いつになく長考悩める母をしばらく凝視していたメロン大王、スクっと仁王立ちなさり
「じゃあさ、買えばいいじゃん! 赤ちゃん買いに行こう!」
私のバッグを掴み、玄関で靴を履きだす。
あああ買う気満々の背中じゃないか。
あちゃー。
終わり